イヌビエの駆除方法
駆除の理由
イヌビエの自生場所には数千~数万粒の種が落ちているといわれ、増えすぎると作物に対しさまざまな影響を及ぼします。駆除が必要な理由は、以下のとおりです。
作物の成長を妨げる
イヌビエは、土の中の養分をたくさん奪い速く成長します。そのため、ほかの作物の成長が遅れ、実りが少なくなるといわれています。
日陰になる
草丈の高いイヌビエによって陰ができ、農作物に日が当たらなくなります。不作や病害虫などのリスクが増すといわれています。
見た目の悪さ
株の大きさや丈の高さなどイヌビエは全体的に大型です。そのため、生い茂ると農地の見た目が悪くなります。
駆除方法①引き抜く
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見つけしだい手または専用の用具で株を引き抜き駆除します。イヌビエのように一年草の植物は、比較的引き抜きやすい特徴をもちます。しかし、イヌビエが群生している場合は時間がかかるため、ほかの駆除方法とあわせて作業することが有効です。
駆除方法②地中深く埋める
農地を耕す際、深く耕してイヌビエを地中深く埋めます。深く埋めるとイヌビエの種子が発芽しにくくなり、数の減少が期待できます。
駆除方法③除草剤
イヌビエに有効な除草剤を使って駆除します。日産化学工業の「ポルトフロアブル」は、除草処理の適応期間が長く、イヌビエの幼株から大きく成長した株にも使用でます。またイネ科以外の植物に除草効果が作用しにくいことから、効果だけでなく安全面でもおすすめの除草剤です。
ボタ爺
ボタニ子
いろいろな方法があるけど、完全に駆除するまで時間と根気が必要になりそうね…。
ボタ爺
そう気を張らず!気長に付き合うくらいの気持ちがよいぞい。
イヌビエの駆除方法まとめ
- イヌビエを手や専用の用具で引き抜く
- 地面を耕す際に地中深くイヌビエを埋める
- 除草剤で駆除する
- 田んぼの落水まで深く水を張っておく
イヌビエとヒエの違い
ヒエの基本情報
名前 | ヒエ |
和名 | 稗 |
学名 | Echinochloa esculenta |
分類 | イネ科:ヒエ属 一年草 |
草丈 | 60cm〜120cm |
開花時期 | 7月~8月 |
ヒエ(稗)はインドや日本が原産地とされる一年草の植物です。日本でヒエが栽培され始めたのは縄文前期といわれ、現在も農作物として畑や水田で栽培されます。用途は食用のほか、鳥の餌になります。
ヒエの特徴
草丈がイヌビエと同じく高くなり、まっすぐに成長します。葉の長さは約30cm~50cmほどで、幅は約10mm~15mm、葉の付け根部分が淡い黄緑色になります。葉表につやはなく、ざらざらとした質感です。小穂は先端部分が紫色、約3mmの長さで細かい毛がつきます。花が終わり実が熟すと、果実の殻は明るい茶色になります。
イヌビエとヒエの見分け方
見分け方①花序のようす
イヌビエの花序は広がってつくのに対し、ヒエは広がらず茎先にまとまります。そのためヒエの実が熟してくると実の重みにより、茎がお辞儀をするようにしなります。
見分け方②小穂の形
イヌビエの小穂は細長く先端が伸び、ヒエの小穂はふっくらと丸みを帯びます。開花後の実のサイズも、イヌビエよりヒエの方が大きいです。
イネ科植物の種類
最後に、そのほかのイネ科植物を紹介します。
(名前) | (特徴) |
ケイヌビエ(毛犬稗) | イヌビエより小穂につく毛が長く、草丈も大きくなる。 |
ヒメイヌビエ(姫犬稗) | 草丈が約30cm~60cmと小ぶりで、イヌビエより早く花が咲く。 |
タイヌビエ(田犬稗) | 小穂や、葉の筋と縁が紫色。別名「クサビエ」。 |
ヒメタイヌビエ(姫田犬稗) | イヌビエよりやや草丈が低く、小穂が丸く膨らみ、表面につやをもつ。 |
ボタ爺
イヌビエ・ヒメイヌビエ・タイヌビエ・ヒメタイヌビエの4種類を総称して、「雑草ヒエ」や「ノビエ」とも呼ぶぞい。
ボタニ子
どの種類も日本の広範囲に自生しているので、身近な場所で観察できますよ。
まとめ
水田や農地などに自生するイヌビエは、成長スピードの速い植物です。縄文時代には食べるために栽培されたといわれ、ロマンのあるエピソードをもちます。現代では雑草としての見方が強く、農作物の成長を妨げる厄介な植物として、駆除が必要になる場合もあります。旺盛な繁殖力をもつイヌビエの駆除は時間がかかり大変です。駆除方法を組み合わせ気長に作業することをおすすめします。
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田んぼでのイヌビエの駆除方法として、上記のほかに収穫前の落水時期まで深く水を張っておくと、イヌビエが発芽しにくくなるぞい。