記事の目次
- 1.春~初夏はイネ科雑草の見分け方が簡単!
- 2.イネ科雑草の見分け方
- 3.春~夏のイネ科雑草図鑑①チガヤ
- 4.春~夏のイネ科雑草図鑑②ヌカボ
- 5.春~夏のイネ科雑草図鑑③アワガエリ
- 6.春~夏のイネ科雑草図鑑④カモジグサ
- 7.春~夏のイネ科雑草図鑑⑤カニツリグサ
- 8.春~夏のイネ科雑草図鑑⑥スズメノカタビラ
- 9.春~夏のイネ科雑草図鑑⑦ネズミムギ
- 10.春~夏のイネ科雑草図鑑⑧オニウシケノグサ
- 11.春~夏のイネ科雑草図鑑⑨カモガヤ
- 12.春~夏のイネ科雑草図鑑⑩カラスムギ
- 13.春~夏のイネ科雑草図鑑⑪イヌムギ
- 14.春~夏のイネ科雑草図鑑⑫スズメノチャノキ
- 15.春~夏のイネ科雑草図鑑⑬ヒメコバンソウ
- 16.小さな種類が多い春のイネ科雑草
春~初夏はイネ科雑草の見分け方が簡単!
道端のイネ科雑草の種類を調べるなら、春~夏の季節がおすすめです。イネ科は雑草の中でも種類が多く、特徴があまりないため、冬の時期は葉ばかりで決定的な見分け方が多くありません。しかし、そのようなイネ科雑草も春になれば花や穂をつけるため、見分けやすくなります。
イネ科雑草の見分け方
見分け方①葉の形
イネ科雑草をほかの種類の雑草と見分けるためには、葉の形を確認するとよいでしょう。植物は双子葉植物と単子葉植物で葉の形が異なります。マメ科やキク科などの双子葉植物は、葉脈が網目状に広がっており、葉は丸やスペードの形です。イネ科やカヤツリグサ科の単子葉植物は、葉脈が平行にはしり、幅が狭い線状の形です。
見分け方②小穂の有無
イネ科植物はほかの植物のように、花びらが環状に並ぶ花がみられません。そのかわりに稲穂で有名な穂をつけますが、この穂とは小穂(しょうすい)の集合体をいいます。小穂は画像のように包穎(ほうえい)と呼ばれる殻と小花(しょうか)という花の塊です。この小穂を確認することでイネ科植物であることを見分けられます。
ボタ爺
穂があると風になびいて種を飛ばしやすいんだぞ。イネ科植物は子孫を風に運ばせるためには最も適した姿をしているぞ。
イネ科とカヤツリグサ科の違い
小穂はイネ科だけでなくカヤツリグサ科にも見られます。カヤツリグサ科とイネ科の見分け方は、次のポイントです。
イネ科 | カヤツリグサ科 | |
茎の断面 | 空洞がある | 中身がつまっている |
茎の形 | 丸や平べったい形 | 三角形や四角形 |
穂の位置 | 茎や葉より上 | 茎や葉より下 |
穂の形 | マットな質感で丸い | 光沢があり尖っている |
ボタ爺
イネ科雑草の見分け方がわかったところで、春~夏によく見られる身近なイネ科雑草の種類について解説していくぞ。
春~夏のイネ科雑草図鑑①チガヤ
基本情報
学名 | Imperata cylindrica Beauv var.koenigii Durand et Schinz |
英名 | Blady grass(ブラッディグラス) |
分類 | チガヤ属 |
形態 | 多年草 |
開花期 | 5~6月 |
分布 | 全国 |
特徴
チガヤは、名前のとおり白いふさふさの毛に血のような赤い色がしみ込んだ穂をつけるイネ科雑草です。出穂は春ごろで、初夏になると白い綿毛だけを残します。地下茎で個体を増やすため、道路わきや、堤防、荒地などで群生するのが特徴です。出穂したばかりの穂をツバナと呼び、この部分は食べられます。
見分け方
チガヤは、春時期に白いふさふさの花序をつけることで見分けられます。写真のようにチガヤの穂は濃い褐色の葯(やく:おしべの一種)がついて赤くなっており、種子が脱落した後は白くなります。また、穂以外では、葉や茎は全体的に硬い質感で、根に地下茎があるなどが見分けるポイントです。
春~夏のイネ科雑草図鑑②ヌカボ
基本情報
学名 | Agrostis exarata Trinius var. Nukabo(Ohwi)T.Koyama |
分類 | コヌカグサ属 |
形態 | ニ年草 |
開花期 | 5~6月 |
分布 | 全国、台湾、中国、北米 |
特徴
ヌカボはコヌカグサの仲間で、高さが40~80cmの中型のイネ科雑草です。密集して生息していることが多いですが、地下茎はなく株が群がり生えています。小穂が米の糠のような形が、名前の由来です。仲間のコヌカグサは開花期になると穂が開きますが、ヌカボは夏になっても穂が茎に寄り添ったままです。
見分け方
ヌカボは、直立した茎に寄り添う小穂で見分けることができます。一見すると棒のような穂ですが、よくみると、茎のさまざまな位置から枝が出ていることを確認できます。ネズミノオとよく似た形状をしていますが、ネズミノオは秋の雑草でありヌカボの方が茎が細いです。
春~夏のイネ科雑草図鑑③アワガエリ
基本情報
学名 | Phleum paniculatum Hudson |
英名 | Rough Timothy(ラフチモシー) |
分類 | アワガエリ属 |
形態 | 一年草 |
開花期 | 5~6月 |
分布 | 本州~九州、中国、地中海地方 |
特徴
アワガエリは一年生の雑草で、高さは20~50cmです。ふさふさの穂を出しているため、エノコログサ、いわゆる猫じゃらしに似た雑草に見えますが、春に開花しているため異なる種類の雑草です。地下茎を形成せず、単体で密集して生えています。
見分け方
アワガエリの見分け方は、小さな小穂が密集した穂を確認することです。同時期にみるイネ科雑草のピーピー草(スズメノテッポウ)に似ていますが、写真のように白く小さい葯がついていることや、やや小穂が開いていることで見分けられます。また、近縁種にオオアワガエリという草丈の高い種類があり、チモシーという牧草名で有名です。
出典:筆者作成資料