コシヒカリの育て方②収穫前までの栽培方法
中干し
中干しは、水稲の生育が盛んな夏の暑い時期に、田んぼの水を抜いて水稲の成長を抑えることを目的とした作業です。中干しは田んぼに水を入れないようにするだけの単純な作業です。田に水を引き入れる水路部分を塞ぐことで、数日後には地面にヒビが入るまで干上がります。
美味しい米の育て方に重要な中干し
中干しはこれから迎える収穫に必要な作業です。暑い時期の水がある状態では、水稲は株が大きく茎数が増え続けます。このまま穂をつけると、小さく質の悪い米しかできないため、水を切って生育を抑える必要があります。また、根を伸ばして地面に根付かせ、重い穂をつけても倒れにくくさせることももうひとつの目的です。
追肥
追肥は穂を付けるステージの前に肥料を施用する作業です。この時期に与えた追肥が穂を形成する栄養分になるため、たくさんの高品質米の生産につながります。ただし、穂肥時期以降の追肥は倒伏の原因になります。施用しないよう注意してください。
追肥は畦から肥料を撒き散らす
水が張られた田んぼへの施用方法は、畦から肥料を撒き散らすことです。バズーカ砲のような筒がついた動墳機を用いて、肥料入りタンクを背負う必要があります。暑い時期に重い肥料を背負いながら、足場の悪い畦を歩くため、なかなかにハードな作業です。
防除
出穂時期の農薬散布を本田防除といいます。水稲は収穫直前に病気が発生しても農薬散布ができません。この時期に本田防除をして、いもち病や縞葉枯病などの病気に早めに対策します。また、近年の気温上昇の影響で、ヨコバイやウンカが収穫前に茎を吸汁して枯らすケースが増えているため、害虫に備えることも重要です。
空中からの防除作業
本田防除作業は、空中からの農薬散布です。いくつものノズルがついた竿状の動墳機を用いて農薬を散布します。これまでは、沼地のように足取りが悪い田面を歩いていましたが、地域によってはラジコンヘリコプターが上空から農薬を散布してくれます。ヘリコプター防除は手間がかからず素早く散布できる画期的な手法ですが、近年はドローンによる防除も普及し始めたため、空中散布の敷居が下がってきました。
ボタニ子
夏の作業は、稲の様子をみておこなうのが大事だね。次のページでは収穫作業までの流れについて紹介するよ。
出典:筆者撮影