古代米とはどのような穀物?
古代米とは、現在栽培されている稲のうち、古代から栽培していた品種や古代の野生種の性質が残っている米を指します。「古代米」という名の品種があるわけではありません。栽培しやすいように品種改良された現在の米に比べ、大量に収穫できないため流通量は少なめです。白米より女性にやさしい栄養がたっぷり含まれており、ダイエットや美容健康によい穀物として注目されています。
古代米の特徴
古代米は、玄米に色がついている「有色素米」であることが特徴です。生命力が強く、荒れた土地でも肥料や農薬を使わずに丈夫に育ちます。干ばつや冷害にも強いですが、背丈が伸びて倒れやすい傾向があります。実りの時期になるとモミが自然にこぼれ落ちる「脱粒性(だつりゅうせい)」の性質です。大量に収穫できないため、栽培している農家が少なく流通量は多くありません。
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古代米は、品種改良された白米に比べ、病気や害虫、寒さに大変強く栄養豊富な穀物です。
古代米と雑穀米の違い
古代米は、古代から栽培されてきた色のついた米を指します。雑穀米とは、アワ(粟)、ヒエ(稗)、黒豆、アマランサスなどの雑穀と米を混ぜたものです。古代米と雑穀米の違いは、古代米が米のみを指すのに対し、雑穀米は米や麦に雑穀を混ぜている点です。米や雑穀によって栄養や食感が異なり、ブレンドする数にあわせて「五穀米」や「十六穀米」などと呼ばれて販売されています。
古代米の種類と特徴
古代米は、古代中国から伝わった稲の原種や野生稲の特徴を受け継いでいる米を指します。赤米、黒米、緑米、香り米があり、どれも白米よりも栄養価が高いのが特徴です。長い歴史をもつ古代米の魅力を忍び、日本の一部の農家によって栽培が続けられています。明治時代以降は、あまり食べられなくなりましたが、近年は生活習慣病やダイエットによい健康食として人気があります。
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米粒の形は、短粒と長粒があります。日本では短粒の「うるち米」が多いです。
種類①赤米(あかまい・あかごめ)
赤米とは、糠(ぬか)の部分に含まれる種皮や果皮に赤い色素「タンニン」を含んだ米です。玄米が赤褐色をしており、5分づきに精米するとピンク色に、全て精米すると白米と変わらない色になります。野生の稲の大部分が赤米であることから、赤米は米のルーツで赤飯の起源と考えられています。でんぷん成分のアミロースが多く、炊きあがりは白米よりもパサパサして渋味があるのが特徴です。
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遺跡の発掘から、邪馬台国や大和朝廷に献上する米に、赤米が用いられていたことがわかっています。
種類②黒米(くろまい)
黒米は、糠の部分に含まれる種皮や果皮にポリフェノールの一種「アントシアニン」を含んだ米です。玄米が黒色をしており、5分づきに精米すると黒紫色になるため「紫黒米」とも呼ばれています。黒米は、おはぎの起源で古くから神様へのお供え物や祝いの米として大事にされてきました。また中国では薬膳料理に利用されており「薬米」という別名もあります。
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中国では、不老不死の米として歴代の皇帝に「献珍米」と呼ばれ献上されていました。
種類③緑米(みどりまい)
緑米は、緑黄色野菜などに含まれる色素成分「クロロフィル」を多く含んだ米です。葉は緑色、稲穂は黒色、玄米の皮の部分が緑色をしています。もち米のように粘り気と甘味が強いのが特徴です。現在でもラオスやネパールなどアジア諸国で多く栽培されていますが、栽培に手間がかかり日本では収穫量が少ないため「幻の米」といわれています。
種類④香り米
今日天赦美🌾
— ジャコ@エネルギーアート(どこかでスケッチ中) (@mallcamu) November 1, 2020
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香り米🌞 pic.twitter.com/oU7kdL6vBU
香り米は、玄米に香りがある米です。主にインドやパキスタン、タイなどアジア諸国で栽培されています。品種によってポップコーンのような香りや、ジャスミンのような爽やかな香りなど独特な香りを放つのが特徴です。軽やかな食味を活かしチャーハンやエスニックカレーに適しています。
古代米のおいしい炊き方
古代米は、白米に少量を混ぜて炊くと、ほどよい噛みごたえと旨味を味わえます。家庭用炊飯器の「普通炊飯モード」で炊けるため、毎日の食事に気軽に取り入れてみましょう。
材料(4人分)
- 古代米:大さじ3
- 白米:3合分
- 水:600mL
- 塩:ひとつまみ
炊き方
- 白米を水で研いでザルにあげる
- 古代米を軽く水洗いする
- 白米と古代米を炊飯器に入れる
- 水を加え、1~2時間浸しておく
- 塩を加え、白米を炊くときと同じように炊く
- 炊き上がったら軽くほぐして、できあがり
古代米をおいしく炊くコツ
- 分量は、白米1合:古代米大さじ1:水200mLを目安にする
- 赤米と黒米は、色素が落ちないように軽く洗う
- 古代米は数時間、水に浸してから炊く
古代米に含まれる栄養と効果
古代米は、タンパク質やビタミン、ミネラルや鉄分など栄養豊富な穀物です。種類によって栄養成分が異なりますが、どれも白米よりも優れた栄養価があります。特に食物繊維が多いため腸の動きが活発になり、ダイエット効果が期待できます。食感がしっかりしている古代米は、よく噛んで食べる必要があり早い段階で満腹感を得られるのも魅力です。
栄養と効果①赤米
赤米は、玄米に赤色の色素「タンニン」を含んでいます。タンニンは、血圧を下げたりメラニン色素を抑制したりする働きがある成分です。ほかにも脂肪の燃焼を促進させる働きがあり、食物繊維の働きとあわせてダイエット効果につながる米といえるでしょう。またタンニンは、腸の粘膜を刺激して引き締める働きがあり、腸内環境を整え下痢や便秘を改善する効果も期待できるといわれています。
栄養と効果②黒米
黒米の表皮に含まれるアントシアニンは、活性酸素を除去し体の老化を防ぐ効果があるといわれています。またコラーゲンやヒアルロン酸などを破壊するチロシナーゼの働きを抑制する作用もあるため、肌の調子を整える効果も期待できるでしょう。さらに、血管を保護する働きもあり動脈硬化の予防にもつながります。鉄分やカルシウム、ミネラルも多いため髪の健康を保つ働きもあるとされています。
チロシナーゼとは?
チロシナーゼとは、アミノ酸であるチロシンを酸化させメラニンをつくる酵素です。この酵素を抑制することにより、シミやくすみの原因であるメラニンの生成をくい止め、ハリや弾力のある肌に保つことができるといわれています。
栄養と効果③緑米
緑米には、ほかの古代米にはないクロロフィルが含まれています。クロロフィルは、コレステロールを下げる働きがある成分です。ほかにも精神を安定させたり腸内環境を整えたりする働きがあるため、心身ともに健康につながる米といえるでしょう。マグネシウムや亜鉛も豊富で、貧血を予防や血液の浄化作用もあるとされています。
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次のページで、古代米の栄養を活かしたおすすめの食べ方をみていきましょう!
出典:写真AC