記事の目次
- 1.春~初夏はイネ科雑草の見分け方が簡単!
- 2.イネ科雑草の見分け方
- 3.春~夏のイネ科雑草図鑑①チガヤ
- 4.春~夏のイネ科雑草図鑑②ヌカボ
- 5.春~夏のイネ科雑草図鑑③アワガエリ
- 6.春~夏のイネ科雑草図鑑④カモジグサ
- 7.春~夏のイネ科雑草図鑑⑤カニツリグサ
- 8.春~夏のイネ科雑草図鑑⑥スズメノカタビラ
- 9.春~夏のイネ科雑草図鑑⑦ネズミムギ
- 10.春~夏のイネ科雑草図鑑⑧オニウシケノグサ
- 11.春~夏のイネ科雑草図鑑⑨カモガヤ
- 12.春~夏のイネ科雑草図鑑⑩カラスムギ
- 13.春~夏のイネ科雑草図鑑⑪イヌムギ
- 14.春~夏のイネ科雑草図鑑⑫スズメノチャノキ
- 15.春~夏のイネ科雑草図鑑⑬ヒメコバンソウ
- 16.小さな種類が多い春のイネ科雑草
春~夏のイネ科雑草図鑑④カモジグサ
基本情報
学名 | Agropyron tsukushiense Ohwi var.transiens Ohwi |
分類 | カモジグサ属(エゾムギ属) |
形態 | 多年草 |
開花期 | 5~7月 |
分布 | 全国、朝鮮半島、中国 |
特徴
カモジグサは、道端や空き地によくみられる夏場の代表的な雑草です。高さが50~100cnある大きめのイネ科の雑草で、株をつくり茎をたくさん出します。6月になると小穂が紫色を帯び、先端が垂れてきます。穂から長い毛が生えているため、遠くからでも目立つ姿の雑草です。
見分け方
カモジグサには、緑色の小穂に赤い毛の芒(のぎ)がついています。垂れている穂を真っすぐにさせると、茎から交互に小穂が生えているのがわかります。カモジグサの見分けるポイントは、穂が弧を描くように垂れているイネ科雑草を探し、さらに長い毛の色を確認することです。
カモジグサに似た雑草
カモジグサによく似た種類に、アオカモジグサがあります。カモジグサに比べると小穂が小型で、あまり垂れ下がっていません。また小穂に生えている毛の色が白や緑色をしていることで区別できます。
春~夏のイネ科雑草図鑑⑤カニツリグサ
基本情報
学名 | Trisotum bifidum(Thunb.)Ohwi |
分類 | カニツリグサ属 |
形態 | 多年草 |
開花期 | 5~6月 |
分布 | 全国、朝鮮半島、中国 |
特徴
カニツリグサは、道端や河川敷などでまばらに生えている雑草です。高さが40~70cmの中型の多年草とされています。和名は蟹釣草といい、この草でカニを釣っていたことが由来です。茎には毛が生えておらず、葉の形は線形で柔らかい質感です。
見分け方
カニツリグサは芒の形で見分けられます。小穂の付き方をみるとカモジグサに似た雑草ですが、写真をよく見ると毛が曲がってボロボロです。これは、カニツリグサの芒が外に向かって伸びているためです。また、小穂の色が淡い黄色を帯びていることもカモジグサと区別するポイントになります。
春~夏のイネ科雑草図鑑⑥スズメノカタビラ
基本情報
学名 | Poa annua L. |
英名 | annual bluegrass(アニュアルブルーグラス) annual meadow grass(アニュアルメドウグラス) |
分類 | イチゴツナギ属 |
形態 | 越年草または一年草 |
開花期 | 早春~夏 |
分布 | 全国、世界中 |
特徴
スズメノカタビラは春の代表的なイネ科雑草で、畑地、庭、道端などあらゆる場所に生育しています。葉の形は扁平状で、ほかの小型雑草と比較して幅が広いです。地下茎を形成しませんが、低い位置で刈り取られても成長を続けるため、駆除の難しい種類のひとつに挙げられます。秋に発生し、早春~夏と長い期間花を咲かせます。
見分け方
スズメノカタビラは25cm程度の小型の雑草であることと、小穂の形で見分けられます。茎から枝がでて、円錐状の花序を形成し、小穂は扁平状で毛がありません。小穂の平べったい形が、雀のような小さい動物が身につける着物のように見えることから名前がつけられました。
スズメノカタビラに似た雑草
スズメノカタビラと似た雑草にミゾイチゴツナギがあります。ミゾイチゴツナギの小穂はスズメノカタビラによく似ていますが、大きさで区別できます。ミゾイチゴツナギは30~70cmと中型のイネ科雑草のため、スズメノカタビラよりひとまわり以上大きいです。枝に多くの小穂をつけ、垂れ下がる姿も見分けるポイントです。そのほかのスズメノカタビラに似た雑草の見分け方は、下表を参考にしてください。
雑草名 | 見分け方 |
スズメノチャノキ | 小穂や茎に毛が生えている |
ヒメコバンソウ | 小穂の形が三角で厚みがある |
ニワホコリ | 非常に似ている。春に穂がでているのはスズメノカタビラのみ |
春~夏のイネ科雑草図鑑⑦ネズミムギ
基本情報
学名 | Lolium multiflorum Lam. |
英名 | Italian rye-grass(イタリアンライグラス) |
分類 | ドクムギ属 |
形態 | 一年草または越年草 |
開花期 | 6~8月 |
分布 | 全国、世界の温帯、暖帯 |
特徴
ネズミムギはヨーロッパ原産の帰化植物で、イタリアンライグラスという名前で牧草利用されています。畑や空き地、道端で多くみられるイネ科雑草で、生息範囲が非常に広いです。地下茎はありませんが、群生していることが多いです。葉の形は線形で先端が尖っており、光沢があります。
見分け方
ネズミムギは、小穂の付き方で簡単に見分けられます。写真のように花茎に小穂が交互についており、全体的に穂が長いです。小穂には短い毛がついており、開花期が近づくと写真の右側から左側のように開きます。イタリアンライグラスとして登録品種が多いですが、花序(穂の並び方)についてはどの品種も共通しています。
ネズミムギとホソムギ
ネズミムギに似た雑草に、ホソムギがあります。ホソムギは別名ペレニアルライグラスとよばれていますが、花序がネズミムギと似ており見分け方が難しいです。見分けるポイントは小穂から毛が生えているかどうかで、ネズミムギには毛があり、ホソムギには毛が生えていません。
春~夏のイネ科雑草図鑑⑧オニウシケノグサ
基本情報
学名 | Festuca arundinacea Schreb. |
英名 | tall fescue(トールフェスク) reed fescue(リードフェスク) |
分類 | ウシケノグサ属 |
形態 | 多年草 |
開花期 | 6~8月 |
分布 | 全国、西・中央アジア、ヨーロッパ |
特徴
オニウシケノグサは、高さ50~150cmのヨーロッパ原産のイネ科雑草です。また、トールフェスクという名前で牧草として利用されています。オニウシケノグサはネズミムギやカモガヤなどと同様に寒地型の種類に分類されますが、環境に対する適応力が非常に高く、西南暖地の平野部でも生育可能です。そのため緑化作物としての利用に適しており、河川敷や高速道路などに植えられています。
ボタ爺
トールフェスクは芝生用としても品種開発され、サッカー場などの芝としても利用されておるぞ。
見分け方
オニウシノケグサの小穂はネズミムギに似た形をしていますが、花序(穂の並び方)が異なります。茎からまばらに枝が伸び、ひとつの枝に5~10個の小穂がついています。また、多年草のため大きな株を形成し、冬は枯れることがありません。地下茎はなく茎はすべて直立しており、葉の形は線形でやや肉厚でざらざらした質感です。
出典:筆者撮影