たらの芽とはどのような山菜?
たらの芽は、ウコギ科のタラノキ(楤木)の新芽を指します。「山菜の王様」といわれるほど人気があり、ほのかな苦みと香りが楽しめる春の代表的な食材です。タラノキは全国の山野に自生していますが、同じ時期に芽吹く植物が多いため見分けがつきにくい場合があります。たらの芽の特徴をよく知り、見分け方や鋭いトゲに注意して摘み採りましょう。
タラノキの基本情報
和名 | タラノキ |
学名 | Aralia elata |
科名・属名 | ウコギ科・タラノキ属 |
分類 | 落葉低木 |
分布 | 日本全国、東アジア |
樹高 | 2~4m |
開花時期 | 8月 |
新芽の採取時期 | 4~6月 |
別名
タラノキは、ウドを意味する朝鮮語の「ツチタラ」が転訛した名前です。日本全国で幅広く自生しており、地域によって新芽の呼び名が異なります。一般的に「たらの芽」と呼ばれていますが、北海道や東北地方では、最も早く生えた新芽を「タランボ」と呼び親しまれています。ほかにも「オニノカナボウ」「タラッポ」などさまざまな呼び名があり、各地に根付いているといえるでしょう。
タラノキの特徴
タラノキは、あまり枝分かれせずに細い幹を真っすぐ伸ばす木です。芽や枝、幹全体に鋭く細かいトゲがあり樹高は2~4m程度、枝の先端に5~10cm程度の楕円形の葉をたくさんつけます。枝先から広がる葉は鳥の羽のような姿をしており、秋になると紅く色づきます。強い生命力があり、里山や山間部の斜面など日当たりのよい場所に群生することが多いです。
ボタニ子
冬は枝や葉を落として過ごすため、立ち枯れしているように見えます。
おいしいたらの芽の見分け方
タラノキの新芽を「たらの芽」と呼びます。春の陽射しをいっぱい浴びた天然のたらの芽は、ポリフェノールが豊富で柔らかいです。早い地域では3月下旬ごろから採れるようになり、4~6月に旬の時期を迎えます。独特の風味と苦み、もっちりした食感が特徴です。
ボタニ子
たらの芽のハウス栽培は、山形県や富山県を中心に行われており、春の山菜シーズンより一足早く出荷されます。
たらの芽の種類
たらの芽は2種類あります。山菜採りのときはタラノキの「トゲの有無」で見分けましょう。幹や枝に鋭いトゲが無数にあるものが「男だら(オダラ・オンダラ)」で、トゲが無く葉が黄緑色をしているものが「女だら(メダラ)」です。山に自生するタラノキは男だらが多く、女だらはあまり見かけられません。女だらはトゲが少なく扱いやすいため、主にハウス栽培に用いられています。
たらの芽の選び方
たらの芽を採るときは、タラノキの枝先に生えた「頂芽(ちょうが)」を収穫します。伸びすぎると苦みとエグミが強くなるため、つぼみが少し開いた3~5cmくらいの芽を選びましょう。少し太めで小さすぎず、伸びすぎていない5cmくらいが目安です。もう少し大きくなり葉が開きかけたほうが、たらの芽の風味がしっかり感じられます。
ボタニ子
たらの芽は、頂芽を採るとすぐ下の側芽が急速に生長を始める「頂芽優勢(ちょうがゆうせい)」という育ち方をします。
たらの芽の色
天然のたらの芽は、赤紫色が混ざった黄緑色をしています。これは太陽の恵みを受けてポリフェノールが豊富に含まれている証拠です。最盛期ごろになると、全体が黒っぽい黄金色になり柔らかみが増してきます。おいしいたらの芽は、色と柔らかさで見分けましょう。またハウス栽培のものは、きれいな黄緑色をしているため天然ものと見分けがつきます。
次のページで「たらの芽に似た植物の見分け方」を解説します。
出典:写真AC