ダンゴムシとは
ダンゴムシは、庭先やベランダ、畑などでよく見かけられる虫です。体を丸めた状態ではそれほど気にならないダンゴムシですが、7対の足を使って歩く姿は不気味な印象を与えるため、不快害虫に分類されます。比較的身近な存在なのに嫌われてしまうダンゴムシは、その生態や習性はあまり知られていません。
ダンゴムシの基本的な情報
種別 | オカダンゴムシ科オカダンゴムシ属 |
和名 | オカダンゴムシ |
体長 | 12mm~14mm |
体の色 | 暗褐色/紫黒色 |
主なエサ | 落ち葉/雑草/動物の死骸など |
ダンゴムシの習性
ダンゴムシは、体に刺激を受けると体を丸くする習性があります。5節にわかれた体の外側は硬く丸い形をしていますが、お腹がある内側は柔らかく平たいです。そのため天敵に遭遇すると、硬い殻を外側に向け体を丸めて自分の身を守ります。
ダンゴムシの天敵
ダンゴムシは驚くほど天敵が多い虫です。地中に隠れて過ごすダンゴムシは、自分よりも体が小さいアリのエサになります。じめじめした場所を好むカエルも天敵で、室内にも姿を現すムカデも天敵です。さらに空中にはダンゴムシをまるごと食べる鳥がいるため、ダンゴムシに気が休まる場所はありません。
人間も天敵
ダンゴムシの天敵には、人間も含まれます。ダンゴムシは人間に対して危害を加えず、畑の野菜を食べても完全に枯れるほどの被害はないです。それでも人間はダンゴムシの見た目の不気味さから、殺虫剤などを使って駆除します。そのためダンゴムシにとっての大きな天敵は、実は人間なのかもしれません。
ダンゴムシは害虫?
ダンゴムシにはさまざまな特徴があるものの、駆除に関してはプロの間でも「積極的に駆除すべき」「大量発生しない限り駆除の必要はない」など意見が完全にわかれます。これらの意見は「衛生害虫・農業害虫・有益虫のどれにダンゴムシが含めるか」という解釈の違いでおこります。
衛生害虫ではないが農業害虫である
ダンゴムシは室内にいても人間を噛む(吸血する)ことはないため、ダニのように衛生上駆除が必要な「衛生害虫」には該当しません。ただしダンゴムシは畑の野菜を食べることがあるため「農業害虫」に含まれます。食害が起きても畑の野菜が全滅することはありませんが、若芽が狙われるため駆除するケースがあります。
害がなくても不快害虫
ダンゴムシは畑の野菜や植物に被害を及ぼす農業害虫ですが、その一方で別名「自然界における掃除のプロ」といわれる有益な虫でもあります。ただし7対14本の足を使って黒光りする体を動かす姿は、やはり不気味な雰囲気です。このように見た目が不快な虫は「不快害虫」と呼ばれ、一般的には駆除されます。
ダンゴムシとワラジムシの見分け方
不快害虫と呼ばれるダンゴムシとワラジムシは、生息場所や見た目がよく似ているため、初心者が見分けるのは難しいです。ただし体の特徴(大きさ・色など)や天敵に襲われたときの動きは違いがあるため、違いに注目すれば初心者でも簡単に見分けられます。
体の特徴から見分ける方法
ダンゴムシとワラジムシには、体の特徴に注目する見分け方があります。漢字で「団子虫」と書くダンゴムシは背の部分が団子のように丸いのですが、「草鞋虫」と書くワラジムシは体が平たく丸みも少ないです。また体の大きさもダンゴムシのほうがひとまわり大きく、色の濃さや光沢感もダンゴムシのほうが上です。
動き方から見分ける方法
ダンゴムシとゾウリムシは、動き方の違いでも見分けられます。ダンゴムシは天敵から攻撃を受けると体を丸くして防御しますが、ワラジムシは攻撃を受けても丸くなりません。また動くスピードにも違いがあります。天敵の攻撃を防御できないワラジムシは素早く動きますが、丸くなって防御できるダンゴムシは遅いです。
ダンゴムシの被害に遭いやすい植物
雑食性のダンゴムシは、畑の野菜や花壇の植物なども食べます。木登りも得意で木の葉を直接食べることもありますし、カルシウムの補給のためにコンクリートも食べます。ただしダンゴムシの被害に遭う野菜や植物には、共通する2つの特徴があります。
幼苗
ダンゴムシは好き嫌いがないため畑の野菜や植物を食べますが、大きく立派な葉や茎よりも幼苗(若芽)が被害に遭いやすいです。幼苗は葉や茎も柔らかく、硬いものがやや苦手なダンゴムシにはちょうどよいエサになります。そのためダンゴムシが大量発生した畑では、幼苗の食害がおこりやすいです。
腐った葉や茎を持つ植物
根腐れや害虫の大量発生で葉や茎が腐った植物は、ダンゴムシの被害に遭いやすいです。ダンゴムシの本来の主食は落ち葉で、畑や花壇に大量発生しない限り野菜や植物が食べられることはあまりありません。ただし腐った葉や茎はダンゴムシの食べやすい柔らかさになっているため、被害に遭いやすいです。
まとめ
見た目が不気味なダンゴムシですが、必ずしも害虫とはいえません。よい土づくりに協力してくれるありがたい存在ともいえます。ただしダンゴムシの見た目の不気味さが苦手な人も多いため、よく似たワラジムシと一緒に駆除の対象になっているのが現状です。