シバンムシアリガタバチとは
シバンムシアリガタバチとは、アリガタバチ科に属する寄生バチの一種です。世界各地に生息しており、日本では本州、四国、九州でよく見られます。名前に「シバンムシ」とあることから、シバンムシの仲間と思われがちですが異なり、むしろシバンムシにとっては天敵ともいえる存在です。多く発生する時期は3月、5月~7月、8月~9月ごろです。
シバンムシアリガタバチの特徴
①見た目
シバンムシアリガタバチは「蟻のような蜂」といわれるように、見た目が蟻によく似ています。赤褐色で光沢があり、雌には羽がなく、雄は羽のあるものとないものが存在します。体長は1.5mm~3mmほどで、雌のほうがやや大きめです。パッと見蟻と区別がつきにくいですが、腹部に節がなく、触覚がまっすぐ伸びているのがシバンムシアリガタバチの特徴です。
②シバンムシに寄生する
シバンムシアリガタバチの寄生対象は、タバコシバンムシやジンサンシバンムシなどの「シバンムシ」です。雌の成虫がシバンムシの幼虫に針を刺しマヒさせ、体に数個の卵を産み付けます。幼虫期は約5日で、産卵後羽化までの日数は、室温25℃であれば22日~25日、30℃であれば18日ほどです。雌の寿命は2カ月と長く、生きている間に100個以上の卵を産み付けます。
ボタニ子
③人を刺す
シバンムシアリガタバチは屋内で発生すると、人を刺すことがあります。シバンムシに刺す「産卵管」が毒針の役割を果たすため、刺すのは雌のみで雄が人を攻撃することはありません。刺されるとさまざまな症状を引き起こします。特に免疫力のまだ高くない小さな子どが刺されると、症状が悪化したり長期化しやすくなったりするため注意しましょう。
刺されたときの症状と対処法
シバンムシアリガタバチに刺されると、毒液の量や体調などにもよりますが、「炎症」「腫れ」「痛み」「痒み」などが症状として現れます。刺された箇所を搔き壊すと、化膿するなど症状が悪化する恐れがあるため注意しましょう。痒みや腫れなどの症状は通常10日ほどで治まりますが、「熱を持つ」「腫れがひどい」「痛みが強い」場合は、専門医に相談してください。
ボタニ子
何の虫に刺されたか分からないときは病院に行こう!スズメバチとか毒性の強い虫に刺されると、命の危険になることもあるから注意してね!
シバンムシアリガタバチに刺されることでアレルギー反応を起こすことがありますか?
シバンムシの毒に反応してアレルギー反応が起こることはあり得ます。「めまい」「吐き気」「発疹や痒みが全身に広がる」「呼吸困難」「血圧の低下」「意識が朦朧(もうろう)とする」などの症状が見られたときは、アナフィラキシーショックなどのアレルギー反応を起こしている可能性があるため、直ちに病院に行くことをおすすめします。
シバンムシアリガタバチが発生する原因
原因①シバンムシが発生している
シバンムシアリガタバチが発生する原因の中でも多いのが、すでに「シバンムシ」が発生していることです。寄生対象の虫が多く発生していると、繁殖しようとシバンムシアリガタバチも集まってきます。シバンムシが発生している場合、シバンムシアリガタバチだけを駆除しても意味がありません。駆除前に発生元をしっかり確認しましょう。
原因②ホコリが多い
シバンムシアリガタバチは、ホコリが溜まりやすい場所に発生しやすいです。窓のサッシ、棚の上や隙間、テレビ裏、カーテンなどの布製品など、ホコリが溜まりやすい場所に気をつけましょう。また光を好む習性があるため、照明器具の上や周りなど、ホコリが溜まりやすく明るい場所に見られることも多いです。
原因③手入れしていない畳を使っている
家庭でシバンムシアリガタバチを見かける際に、発生場所で多いのが「畳」です。シバンムシの中でもタバコシバンムシは畳に発生しやすく、タバコシバンムシが発生することによってシバンムシアリガタバチも増殖してしまいます。畳は編み込んで作られており小さな虫が入り込むことが多く、さまざまな虫の温床になりやすいため、虫の発生を防ぐにはこまめな手入れが必要です。
原因④乾燥食品の保管の仕方が悪い
シバンムシは乾燥した食物が大好きで、粉類、穀物類、乾麺などの「乾燥食品」に発生しやすく、同時にシバンムシアリガタバチも集まってきます。キッチンはもちろん、食物を保管する場所には注意が必要です。特に粉類にはほかの害虫も集まりやすいためこまめに観察し、発生した場合は食品ごと廃棄してください。
シバンムシが好む乾燥食品
- 粉類(小麦粉・パン粉など)
- 粉末の飲み物(ココア・コーヒーなど)
- 乾物(干しシイタケ・切り干し大根など)
- 香辛料(乾燥唐辛子・カレー粉など)
- 穀物類(麦・米など)
ボタ爺
シバンムシが集まるのは乾燥した「食品」の場合が多いんじゃが、タバコにも発生することがあるぞ!乾燥品の長期保存には注意するんじゃよ!
原因⑤観葉植物やドライフラワーが多い
おしゃれで部屋のインテリアに好まれるドライフラワーですが、シバンムシは乾燥植物に集まりやすく、シバンムシアリガタバチも発生してしまいます。観葉植物自体は基本的に問題ありませんが、枯れた葉をそのままにしておくとそこにシバンムシが発生してしまうため、枯れ葉や枯れ枝はこまめに摘み取るなどして対応しましょう。
ボタニ子
次は、シバンムシアリガタバチの効果的な駆除方法について紹介していくよ!
雌は10月以降に成虫のままだと、越冬できちゃうんだって!早めに駆除しないと厄介だね!