コナカイガラムシとは
ボタニ子
ボタ爺
それはコナカイガラムシが原因かもしれんぞ。柑橘系の作物では特に発生しやすい害虫じゃ。
ボタニ子
虫のせいでこうなってたんだね。わたしにもできる対策があるかな?
コナカイガラムシはカメムシの仲間で、体長3~4mmほどの小さな昆虫です。樹液を吸うため、樹木でよく発生する害虫です。特に果物の栽培では最も注意しなければならない害虫とされています。
コナカイガラムシの見分け方
コナカイガラムシの仲間は日本でも200種を超す種類がいますが、介殻(かいがら)を被っていないことに着目することで見分けられます。カイガラムシの多くの種類の特徴は殻を被り動かないですが、コナカイガラムシは動けます。また、写真のように白い粉で覆われた楕円形の姿でコナカイガラムシと見分けるのは難しくありません。
ボタ爺
幹や葉の付け根部分にふわふわの綿でくるまれている卵があれば、コナカイガラムシと判断していいじゃろうな。
コナカイガラムシによく似た昆虫
ヒイラギハマキワタムシは、ヒイラギなどのモクセイ科の樹木に寄生する雪虫や綿虫の仲間の昆虫です。白いロウ質の綿をまとっている姿がコナカイガラムシとよく似ております。しかし、白い綿が残った状態で飛び回ることや、頭部が大きいことなどで簡単に見分けられます。
コナカイガラムシの生態
①水をはじき農薬が効きにくい
カイガラムシはすべての種類に共通して身体表面を水をはじくロウ物質で覆う特徴があります。水をはじくため、薬剤による殺虫効果が期待できません。農薬によってコントロールできないことから、植物の天敵として恐れられています。
成長のほぼ全期間ロウの鎧をまとう
コナカイガラムシは、水をはじくワックス成分を幼虫期から成虫期と非常に長い期間分泌します。卵も同様にロウ状の綿でくるまれているため、農薬の影響を受けません。唯一、卵から孵化して10日経過するまではワックスを分泌しないため、薬剤によって駆除できます。
②甘いフンが害虫や病気を引き起こす
コナカイガラムシの口は針のようになっており、樹液を吸い甘いフンを排出します。このフンは食害の原因となるアブラムシやアリなどを引き寄せるほど甘いです。さらに、甘い成分が乾くことで葉が黒いシミになるすす病を発症し、果実の見栄えを悪くし葉の光合成を抑制します。コナカイガラムシは自由に歩き回れるため、新芽や果実から吸汁してやっかいです。
③気温上昇でたくさん発生する
コナカイガラムシは、気温が高くなることで活発化し世代交代の頻度が増えます。特に、クワコナカイガラムシなどは24℃で産卵数が最大となるため、平年より気温の高い春は要注意です。さらに、通常のふ化から子孫を残すまでの交尾の回数は1年間に3回ですが、気温が上昇すると、この回数が4回まで増えます。
ボタニ子
1個体が500個近く産卵するから、4世代交代だと1匹から1億2500匹まで増えちゃうってことだね!!
④さまざまな姿で越冬するから防除が難しい
コナカイガラムシは、気温が低くなる冬時期は卵から成虫とさまざまな形態で越冬します。クワコナカイガラムシの休眠の研究にて、成虫は平均気温が20℃を下回ると休眠する一方で、卵は9℃以上を上回ると発育がすすみふ化すると報告されています。日本の気候では秋から冬にかけてにあたり、さまざまな姿のコナカイガラムシがいるため、一つだけの防除方法による駆除が難しいです。
ボタ爺
秋にかけて気温が20℃以下になると卵から幼虫がふ化し続けて、成虫まで成長すると休眠に入るという状態じゃな。
⑤寄生や捕食する天敵が多い
植物の天敵であるコナカイガラムシは自然界では寄生や捕食する天敵が多いです。特に寄生蜂はナシやリンゴの大害虫であるクワコナカイガラムシの天敵であり、身体に卵を産み付けてカイガラムシを行動不能にします。このほかに、カゲロウやテントウムシ、クモ、タマバエなどもカイガラムシを補食する天敵です。そのため、農薬で天敵まで一緒に駆除してしまうとその後の大発生につながってしまいます。
ボタ爺
農場のような管理された自然が少ない環境だとカイガラムシの天敵が少ないため、バランスが崩れてコナカイガラムシが増えてしまうんじゃ。
収穫したレモンがぼこぼこになっているよぉ。どうしてこうなっちゃんだろ。