米に虫が発生する理由
米に虫が発生するのは、米の匂いにつられて外部から浸入するためです。気温や湿気が高い時期になると米が傷みやすくなり、独特の匂いが発生し始めます。この匂いにつられて、米袋に空いている湿気を逃すための小さな穴や、米袋を食い破って害虫が入り込みます。虫の発生を防ぐためには、唐辛子などを使った虫除けと涼しい場所での保存が大切です。
米に発生する代表的な虫
コクゾウムシ(穀象虫)
コクゾウムシは、別名「米食い虫」や「米虫」と呼ばれる黒い害虫です。2~3.5mm程度の大きさで、米粒に穴を開けて卵を産みつける習性があります。卵から孵化した幼虫は約1カ月かけて成虫となり、米を内側から食べて、再び次の米に卵を産みつけることを繰り返します。一度米びつの中にコクゾウムシが発生すると、繁殖を抑えるのが難しいです。
ノシメマダラメイガ
ノシメマダラメイガは、蛾の仲間で穀類や米に発生する乳白色の害虫です。約10~12mmの大きさの幼虫は、さなぎになる際に納豆のような細い糸を吐く習性があります。米粒が繋がっているのを見つけたら、ノシメマダラメイガの発生を疑いましょう。幼虫は米袋を食い破って入り込む場合があるため、備蓄している未開封の米も保管に注意が必要です。
米の効果的な虫除け方法
コクゾウムシやノシメマダラメイガが発生した米は、農薬をあまり使用せず栽培貯蔵された健全な米である証拠です。殺虫剤などの残留物がないため身体によい米ですが、害虫が発生しやすくなるデメリットがあります。虫除けには、唐辛子やにんにくなど自然の食材を使い、米を傷めない対策をしましょう。
ボタニ子
虫除け方法①唐辛子
米の虫除けには「唐辛子」がおすすめです。唐辛子には、虫が嫌うテルペノイド系化合物という成分が含まれているため、害虫が米に寄ってこなくなります。柑橘系の香りを放つ植物由来の成分で、人や米に害を及ぼしません。水分が含まれている生の唐辛子は、米にカビを発生させる恐れがあるため、乾燥した唐辛子を入れるようにしましょう。米10kgに対し唐辛子5本が目安です。
ボタニ子
防虫効果は約1カ月です。1カ月ごと新しい唐辛子に変えるようにしましょう。市販の米びつ用防虫剤も使いやすくおすすめです。
虫除け方法②にんにく
防虫対策には「にんにく」もおすすめです。にんにくに含まれているアリシンという成分を虫が嫌うため、害虫が近寄らなくなります。唐辛子のように米の保存容器に入れるだけなので手間がかかりません。しかし、アリシンは強い匂いを放つ成分のため、米に匂いが移ってしまうデメリットがありますが、炊飯すれば自然に消えます。定期的に新しいものと入れ替えるようにしましょう。
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にんにくは、皮をむく必要はありません。そのまま米びつの中に入れて、米の中に混ぜましょう。
虫除け方法③わさび
米の虫除けに「わさび」も効果的です。わさびの強い香りが防虫対策になり、そのまま米の保存容器に入れて使えます。すりおろしたわさびを容器のふた裏に塗ってもよいです。しかし、にんにくと同じように米に匂いが移ってしまい、炊飯しても米についたわさびの匂いが消えない場合があります。
虫を寄せつけない米の保存方法
米に虫を寄せつけないためには、温度と湿度に注意して保存することが重要です。米に虫が発生する時期は、気温や室温が20℃以上になる4~10月頃です。米に寄ってくる害虫は高温多湿を好むため、特に雨の多い梅雨の時期に多く発生します。虫が発生しやすい春~秋は、18℃くらいに保てる涼しい場所に移動させ保存しましょう。
保存方法①冷蔵庫の野菜室で保存する
米の保存は、冷蔵庫の野菜室がおすすめです。しかし、米を入れている容器を冷蔵庫から長時間出したままにすると、室内との温度差によって結露ができ米にカビが発生するため注意が必要です。冷蔵庫に入らない場合は、湿気の多いシンクの下や熱がこもる冷蔵庫横は避け、涼しく風通しのよい場所で保存するようにしましょう。
なぜ冷蔵庫の野菜室がおすすめなの?
冷蔵庫の野菜室は、通常10℃以下に設定されているため虫が生きることができません。温度と湿度が保たれているため、米の鮮度を長く保てます。常温よりも温度が低い野菜室に保存することで、米の酸化スピードが半分になり日持ち期間を延ばせます。米を冷凍保存すると、乾燥してパサパサになってしまうため冷凍庫に入れるのは避けましょう。
保存方法②密閉できる保存容器に入れ替える
米は、ペットボトルやガラス瓶、プラスチック製の米びつなど密閉できる容器に保存しましょう。コクゾウムシは米袋の通気孔から、ノシメマダラメイガの幼虫は米袋を食い破って侵入します。米を購入した袋のまま未開封で備蓄するのは危険です。密閉容器に移すことで虫の酸素呼吸を断ち、害虫の発生を防ぐことに繋がります。
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米は、空気に触れると乾燥してひび割れてきます。風味を保つために、空気の入り込まない密閉容器に保存しましょう。
米をペットボトルに保存する方法
米を保存する密閉容器は、ペットボトルが使いやすいです。酸化のスピードを遅らせるだけではなく、匂い移りを防ぎ扱いやすいメリットがあります。虫除け対策とリサイクルの一環にもなりおすすめです。
用意する道具
・保存する米
・空のペットボトル(2L)
・じょうご
米を移す手順
- ペットボトルをよく洗い、しっかり乾燥させる
- 米袋に小さい切込みを入れる
- じょうごをペットボトルの口に挿す
- 米袋の切込み部分を、じょうごに挿して米を移し入れる
- 米を移し終わったら、空気が入らないようにキャップを締める
ボタニ子
ペットボトルが湿っていると、カビが発生します。水分を残さないようにしっかり乾燥させましょう!
米をペットボトルに保存する5つのメリット
- 密閉するため酸化しにくくなる
- ほかの食材から匂い移りの心配がない
- 手で持ちやすい
- 残量がすぐにわかる
- 冷蔵庫に保存しやすい
米に虫が発生した場合の対処法
虫が発生した米は、農薬を過剰に使っていない健全な米です。虫が発生しても、虫を取り除けば食べられます。慌てて捨ててしまわないように対処の仕方を覚えましょう。
対処法①米を光にさらす
米に発生した虫は、光を嫌います。よく晴れた日に外に新聞紙を広げ、その上に虫が発生した米を広げましょう。約1~2時間放置しておくと虫が逃げていきます。しかし、日光にさらし過ぎると米が乾燥してひび割れてしまうため、明るく風通しのよい日陰に広げるのがおすすめです。米粒がくっついているものは、先に取り除いておきます。
対処法②米を冷凍する
虫が発生した米は、袋に移して冷凍庫に入れると虫が死滅します。死んだ虫は、米を研ぐ際に水に浮いてくるため取り除けます。保存容器も隅々まできれいに洗って日光消毒をしましょう。虫の卵が残らないようにするのが重要です。
虫が発生した米を炊飯するときの注意点
- 米が乾燥しているため、水を少し多めに入れる
- 米を浸す時間を長めにとる
- 炊飯前にサラダ油を少し加える
虫除けをして大切な米を守ろう!
虫が発生した米は、農薬の少ない身体にやさしい米である証拠です。気温が20℃以上になる時期に虫が発生しやすくなります。虫を寄せつけないためには、冷蔵庫で密閉保存がおすすめです。乾燥唐辛子やにんにくを入れて大切な米を守りましょう。
虫にもおいしい米だってわかるんだね!