アワノメイガとはどんな害虫?
アワノメイガは穿孔性昆虫(せんこうせいこんちゅう)という、寄生する植物に孔(あな)をあけてもぐりこみ、中の芯や髄(ずい)と呼ばれる部分を食べる害虫です。メイガと呼ばれるほかの害虫とあわせて、植物の芯を食べる習性から、シンクイムシと総称されることもあります。成虫は夜行性、幼虫は昼夜問わず食害し、卵は日中に孵化します。
ボタニ子
ボタ爺
画像の露出にもよるが、波のような模様がついているんだな。色白がメスだよ。
基本情報
学名 | Ostrinia nubilalis |
科 | ツトガ科ノメイガ亜科、穿孔性昆虫 |
寄生植物 | イネ科、ショウガ、ミョウガなど |
分布 | 日本、東アジア、東南アジア、オセアニア |
行動(成虫) | 夜行性 |
行動(幼虫) | 昼夜行動 |
形態(成虫) | 1.5cm~2.5cm、淡黄褐色~淡橙褐色 |
形態(幼虫) | 老齢幼虫2cm前後、頭部暗褐色、胴に黒褐色の斑 |
発生 | 寒冷地年1回、温暖地3回~4回 |
別名 | シンクイムシ |
アワノメイガの被害
アワノメイガはほかのメイガの仲間と同じように、茎の中へ入りこんでコーンやイネ科の植物、ショウガやミョウガなどを食害し被害を出します。茎の中を食べつくされて倒れてしまったり、収穫してみたら実を食べられてフンをされ、人間が食べるのがはばかられる状態になっていたりと被害は甚大です。茎から蕾に移って食べつくされると、花が咲かず受粉せず実がなりません。
アワノメイガの生態
アワノメイガは、成長過程で行動時間や生息場所が変わります。シンクイムシの別名を持つように、コーンをはじめイネ科の植物や、ショウガ科のショウガやミョウガの茎の芯を食べるために、中に入りこまれるとどこにいるのかわかりづらいです。どの生態のときにどのような行動をとるのか、動く時間帯や場所を知っておくと、防除や駆除の役に立ちます。
発生
アワノメイガの発生は地域や気候によって、1年に2回~3回あります。1回目の発生は幼虫のまま越冬し、4月~5月に蛹(さなぎ)になり6月下旬~7月上旬にかけて成虫になります。2回目の幼虫の発生は7月上旬に産卵された世代で、成虫になるのは8月上旬ころです。アワノメイガの3回目の幼虫の発生は8月上旬~中旬で、1カ月後の9月中旬~下旬には蛹にならずに幼虫のまま休眠に入ります。
ボタニ子
2回目に発生した幼虫のなかで、蛹にならずに休眠に入る個体もいるの。最後に発生したアワノメイガはみんな幼虫のまま越冬するのよ。
ボタ爺
アワノメイガは東北地方や北海道は発生が1回だが、関東以南の地域だと4回も発生することがあるらしいぞ。アワノメイガはやっかいだの。
ボタニ子
アワノメイガはコーンやショウガなどの茎の中で越冬するの。収穫後放置したイネ科やショウガ科の植物の茎があるとその中に入っちゃうのよ。
卵
アワノメイガの成虫は、イネ科のコーンや、ショウガ科のショウガやミョウガの葉の裏側に濁った白い卵を産みつけます。数十個~50個程度で魚のウロコのように重なりあった状態です。アワノメイガの成虫が静止して行うため、外敵に襲われにくい夜間に産卵されます。アワノメイガの成虫の発生時期直後から産卵がはじまることから、成虫を見かけたら葉の裏をチェックすると卵の除去が可能です。
幼虫
アワノメイガの幼虫が成虫になるのは、孵化から1ヵ月後です。それまでに5回脱皮を繰り返します。卵から孵化したばかりのアワノメイガの幼虫は最初、卵が産みつけられていた葉の裏面をかじるため、葉が白くなりレース模様のように見えます。レース状のコーンやショウガ、ミョウガの葉に気がついた時点で捕殺が可能です。アワノメイガの幼虫は孵化から3日以降、葉の根元へ移動し茎に穴をあけ、茎の中に侵入して食害を始めます。
ボタニ子
アワノメイガの幼虫は、茎の中でフンをしながら食べすすむから、入った穴からフンが出てくることがあるわ。
ボタ爺
アワノメイガの幼虫のフンは、最初湿っているがそのうち乾いて、おがくずみたいになるんだよ。風に舞うと汚いの。
ボタニ子
穴が開いてフンがついたコーンやショウガの茎を早期に発見したら、開いてみるとまだ近くにアワノメイガの幼虫がいるかもしれないわ。
蛹(さなぎ)
アワノメイガの成虫は夜行性で幼虫は昼夜問わず食害をすすめ、蛹は昼夜関係なく変態します。アワノメイガの幼虫は茎の中を食べすすめ、5回の脱皮を経て蛹へ姿を変えます。個体差がありますが、羽化の期間は3日~15日です。アワノメイガの蛹は茶色~茶褐色で白い繭(まゆ)を作って羽化を待ちます。また、蛹は刺激を与えると動きます。
ボタニ子
「変態」っていうのは、生き物の形が変わることね。イモムシが蛹になったり、蛹が蝶になったりすることよ。
成虫
アワノメイガの成虫は羽を広げると、体調2.5cm~3.5cmです。オスよりもメスが大きい傾向があり、色はオスのほうが少し濃いです。止まっているときは二等辺三角形の形をしており、羽の色は淡黄褐色~淡橙褐色で、波型の模様があります。アワノメイガは蛹からの羽化や、静止しなければできない産卵をするため夜行性で、昼間はコーンやショウガなどの葉の裏に隠れています。
ボタニ子
アワノメイガの幼虫は孵化から作物の茎に入りこむまでの死亡率は高いけど、茎に入っちゃったら安全だから昼間も動くのよ。
ボタ爺
それに比べてアワノメイガの成虫は、茎の外での活動が多いから、ほかのムシやカエル、カナヘビなどから身を守るために夜行性になるんだの。
天敵
アワノメイガの成虫はほかのムシや動物に捕食されることがありますが、幼虫はコーンやショウガなどの茎に守られています。アワノメイガの幼虫の天敵といえるのは、卵や幼虫に卵を産みつける寄生虫です。アワノメイガタマゴバチや寄生バエ、ヒゲナガコマユバチなどです。これらの寄生虫は天敵ですが速効性はないため、虫を使ったアワノメイガの駆除方法としては時間がかかります。
ボタニ子
速効性はないけど、寄生蜂は味方よ。殺虫剤や薬剤を使うときは、寄生蜂に影響のないものを選ぶこともあるわ。
アワノメイガの成虫は画像のような黄色っぽい色をしているわ。でも、個体差があってオレンジがかっているのもいるの。