直播による水稲栽培とは？湛水直播と乾田直播の特徴・やり方を解説！

直播栽培のメリットは苗作りの必要がなくなり、栽培面積を広げられることです。苗作りは苗箱を一枚一枚並べて管理するため、量を増やしすぎると苗代や育苗ハウスなどに置ききれなくなります。直播栽培の準備は種もみの鉄コーティング処理などになり、場所もとらず少ない人数で大面積を栽培することも可能です。

直播栽培には田植え機に苗箱をセットする時間が大幅に減ることで、作業の負担が軽くなる効果があります。田植作業は田んぼごとに苗箱を運び入れたり、苗箱を田植え機にセットしたりと重いものを何度も持ち運ぶ大変な作業です。直播栽培では苗箱を必要としないため、女性でも作業がしやすいでしょう。

直播栽培をすることで作業時間が少なくなり、時間に追われません。移植栽培には時間のかかる苗作りや代かき作業がありますが、栽培面積の一部を直播栽培に切り替えると、全体の苗作りや代かき作業にかかる時間を減らせます。一部を直播栽培に切り替えることで、田植準備の忙しさを緩和でき別の品目の栽培時間を確保できます。

湛水直播栽培では水のなかに種もみをまくため、発芽が不安定で生育が揃わないことがあります。種もみの発芽には温かい温度が必要であり、春先の水温が低いと発芽できないからです。発芽不良は品質低下を招くため、湛水直播栽培では種もみをまいた後の落水が効果的です。

直播栽培では種もみを地面にまくため、スズメなどが食べてしまい発芽がそろわないことがあります。直播栽培のデメリットである鳥害被害を防ぐため、湛水直播栽培では鉄コーティング種子をつかいます。鉄でコーティングすると鳥が食べられるものと認識できないからです。また、暖かい地域では昼間に湛水状態にする手法も効果的です。

直播栽培のデメリットは雑草の駆除回数が移植栽培より多いことです。通常の移植栽培では地面を水で覆うため雑草の発生が抑えられますが、直播栽培では種もみの成長とほぼ同時に雑草が生えてきます。そのため、何度も除草剤を使用しなければならず、雑草の種類や時期に合わせて除草剤を使う必要があります。

直播栽培では複数回の除草剤を使用しますが、その種類は雑草の生育時期ごとに次のステージに分けられます。

1. 耕す前に生えている雑草
2. 種もみをまく前後に生えている雑草
3. イネの成長と共に生えてくる雑草

直播栽培は移植栽培よりも水管理に気を使わないといけないことがデメリットです。直播栽培では、種もみの生育にあわせて水位の高さを調整しなければ、イネを水に浸からせて枯らしたり、除草剤の効果が充分出ずに雑草を生やしたりします。水管理で水の出し入れがしやすくなるように、田んぼ周辺部や対角線上に溝を入れることがポイントです。

直播栽培では地面を平らにする均平化ができていないと、出っ張った地面が水面から出て除草剤の効果が落ちたり、水を抜いても一部が田んぼ内にとどまったりと生育に悪影響がでます。そのため、田んぼ内の高低差を3cm以内に収めることを目標に代かきをおこない、水深浅めでわらなどの大きな有機物をすき込めみます。

水稲直播栽培のアメリカ合衆国における普及率は100%と高く、すべて湛水直播栽培をしてます。そのやり方は代かきをしなかったり、鉄コーティング処理をしなかったりと、日本と異なり発芽を促進させた種もみを使います。このように田植えのやり方は気候条件や土地条件に合わせて千差万別のため、取り組むときは近くの人のやり方を参考にするとよいですね。