「不快害虫」とは?
不快害虫の定義
一般的に、「不快害虫」の定義は、形が不気味であったり大量発生したりすることによって嫌がられる虫とされます。不快な印象を与えるうえに、植物を食べてしまう不快害虫もいます。植物に害を与えるだけでなく有害な菌を運ぶ不快害虫もおり、生活するうえで厄介な存在といえるでしょう。
主な不快害虫の種類
不快害虫の種類は多く存在します。ゴキブリといった大きな種類のものもいれば、ダニやハエ、アリといった小さなものもいます。一般的に嫌がられる虫は、不快害虫であることが多いでしょう。
アリ
一口にアリといっても多くの種類がいます。代表的なのが、アミメアリやシロアリです。シロアリは木材を食べるため、家屋に被害を出します。またアミメアリの厄介なところはアブラムシと共生しているところです。アミメアリはアブラムシが出す蜜を餌にするために、アブラムシを守っています。アミメアリを放っておくとアブラムシを発生させてしまいます。植物を栽培する人にとっては野放しにしてはいけない不快害虫です。
カタツムリ
カタツムリは不快害虫であり、植物の葉っぱを食べる農業害虫でもあります。春の終わりや夏の終わりといった、じめじめとした季節にあらわれます。天気がよくて乾燥しているときは動きがにぶいです。カタツムリは形もさることながら、粘液を出して進むので通ったあとに見える液体の様子も不快害虫といわれる理由でしょう。
タカラダニ
ダニも種類が多く、ハダニやタカラダニというダニがいます。ダニには小さなイメージを持つ人が多いかもしれませんが、タカラダニは人の目でもわかるくらいの大きさです。体の色は赤く、目を凝らせば夏の時期に見られます。見えることで不快感を覚えるかもしれませんが、人間に害はありません。よく出る時期は4~6月です。熱に強いため、夏のコンクリート周辺でも生息できます。
ゴキブリ
ゴキブリは湿度の多い場所を好みます。湿気が強い場所にいるので水回りは要注意です。ゴキブリは単なる不快害虫ではありません。活発になるのは夏場です。不衛生なところにいるため、大腸菌や腸炎ビブリオといった人間に害を与える菌を持っていることがあります。
バッタ
バッタは不快害虫なうえに、野菜を食べる農業害虫でもあります。バッタは大量発生する時期や年があり、その年には野菜が収穫できなくなることはもちろん、外出も困難になる地域もあります。日本で大発生することは非常に珍しいです。農薬や殺虫剤を使用する地域は、大量発生しにくいといわれています。雑草を取らずにしておくと、バッタが住み着く環境をつくってしまうため、こまめな草取りを心がけましょう。
毛虫
ガの幼虫の毛虫は、春~秋という長い時期に発生します。毛に強い毒を持つ種類もおり、人に対して有害です。毛虫も葉っぱを食べてしまうため、植物に被害を与えます。また、ガは一度にたくさんの卵を産むことから、毛虫の数もその分多いです。森林に行くときや農作業をするときは、刺されるのを防ぐために肌の露出を控えましょう。
不快害虫が植物にあたえる影響と被害事例
不快害虫は見た目が悪いだけではなく、植物に大きく影響を与えるものもいます。具体的な被害事例を見ることによって、適切な対策を打てます。
事例①植物の発育が悪くなる
不快害虫のなかには、葉っぱを食べる害虫もいます。1匹で少しずつ葉っぱを食べる虫や、集団で大部分の葉っぱを食べる虫などさまざまです。被害にあうと植物の元気がなくなり、発育不良を起こします。最悪の場合は、枯れてしまいます。収穫目的で植物を栽培している場合は、発育が悪いと収穫時期に間に合わず、多くの収穫が見こめません。
事例②観賞ができなくなる
観賞用の植物に不快害虫がついてしまうと、葉っぱや花そのものが食べられて形が悪くなってしまい、見るに堪えないものになることがあります。盆栽の実をかじられ、残念がる人も少なくありません。
不快害虫を見つける方法
葉っぱがしおれている
葉っぱがしおれていると、害虫がついて吸汁している可能性があります。見つけるコツは、葉っぱの裏までチェックすることです。また、枝や葉を揺らしてみると虫が落ちることがあります。
葉っぱが食べられている
葉っぱが食べられているときは、不快害虫がついている可能性が高いです。穴が開くと見栄えも悪くなり、収穫が難しくなることもあります。また、人に危険を及ぼす毛虫である可能性が高いため、安全を考慮して早めに捕殺しましょう。
果実や花・芽が食べられている
芽や果実など、やわらかなところを好む不快害虫は多くいます。食べられていることに気づいたら、ほかの芽と果実も確認しましょう。また、食べられた果実を開いてみると、不快害虫の正体がわかることがあります。
不快害虫の予防・対策方法
不快害虫の予防はどうすればよいか解説します。殺虫剤を使って簡単に駆除してしまうことはできます。ですが、まずはどういったところに害虫がいてどこに住み着いているのかを考えてみます。そこから対策方法を実践しましょう。
害虫用の薬剤を散布する
害虫用の薬剤は、豊富に販売されています。薬剤の特性を知って、不快害虫予防に使いましょう。
薬剤①木酢
「木酢」とは、炭を焼いたときに出た煙を冷やし、液体に変えたものです。木酢は植物にかけると成長を助けてくれたり、土にまけば微生物を活性化させたりします。また、木酢には虫が嫌がる成分が含まれており、不快害虫よけに使えます。希釈濃度を守って、土壌や植物に散布しましょう
薬剤②アフピリン忌避剤
「アフピリン忌避剤」は、天然の植物成分で作られた虫よけになる薬剤です。飛ぶ虫も歩行する虫にも効果があります。家に発生したゴキブリにも効果的です。また、植物にも防虫効果があり、カビの発生予防が期待できます。
農薬以外の方法で害虫を追い払う
「無農薬で植物を育てたいから、殺虫剤といった薬剤を散布したくない」という人もいるでしょう。殺虫剤などを使わなくても、予防できる方法はあります。
キラキラしたアルミホイルを使う
アブラムシが発生すると、植物が枯れる原因となります。アブラムシ予防には、アルミホイルが最適です。アブラムシはキラキラした光を嫌うといわれます。植物の株あたりにアルミを巻くと、発生が抑えられるでしょう。
マルチを使う
植物を植える前に地面に「マルチ」というシートをかけます。マルチをかけることによって、多くの虫の侵入を防げます。特に光沢のあるシルバーマルチは、キラキラしたものが苦手な不快害虫にぴったりです。
寒冷紗や防虫ネットを使う
「寒冷紗」「防虫ネット」も、不快害虫予防に有効です。植物を覆って、ガの飛来などを防げます。しかし、完全に覆いきれていない状態では、不快害虫は植物についてしまうことがあります。設置時は、しっかり密閉できているか確認しましょう。
害虫の発生しにくい環境をつくる
植物を育てるうえで、栽培環境を整えることは大切です。環境の悪い場所で育てると腐ってしまい、虫が発生しやすくもなります。植物が健やかに育つ栽培閑居をつくり、不快害虫をシャットアウトしましょう。
レンガを使う
鉢やプランターをじかに地面に置くことは控えましょう。鉢の下にレンガを設置すれば、害虫が地面から直接はい上がることが難しくなります。通気性も確保でき、植物が育ちやすくなるでしょう。
風通しと日当たりをよくする
植物を、風通しや日当たりがよい場所に植えることも重要です。水分がたまり蒸れてしまうと、カタツムリが好む環境になってしまいます。風通しが悪いことも蒸れる原因になるため、注意しましょう。
株の密集を避ける
植物を植えるときは、できるだけ株の間をとって植えましょう。株を密集させてしまうと、植物が土壌の栄養分を競うように吸い取って、弱々しくなってしまいます。弱った植物は虫にとって食べやすく、被害が拡大してしまいます。
不快害虫から植物を守ろう!
不快害虫の定義にあてはまる虫は多く存在します。植物を育てるうえで、不快害虫は切っても切れない存在です。しかし、不快害虫から植物を守る方法は豊富です。栽培環境を地道に整え、適切に薬剤を使えば、大きな被害は防げるでしょう。