家に発生しやすい蜘蛛とは
家に発生しやすい蜘蛛にはいくつか種類があります。大きく2つにわけて巣をかけずに徘徊して食べ物を探すクモと、巣をはって待ち伏せするクモです。大型のクモは食べ物も大きく量も多くなり、小型のクモは小さな見えない虫を食べ物にしています。家に侵入して繁殖すると家じゅうクモだらけになりそうですが、共食いの習性があるのである程度淘汰(とうた)されるでしょう。
家蜘蛛の基本情報
門 | 節足動物門、鋏角亜門 |
網目 | クモガタ網クモ目 |
体形 | 頭胸部、腹部の2つ |
肢 | 頭胸部から4対、8本 |
目 | 頭胸部背面に8つ、一部6つ |
家蜘蛛の特徴
家蜘蛛の特徴は、家に侵入したり繁殖したりする害虫をエサとして食べてくれることです。家蜘蛛の大きさや習性はまちまちですが、人間と共存できるという共通点があります。人間側が一方的に、家蜘蛛の形を気持ち悪がったり、巣がうっとうしいと思ったりしても、ちょっかいをかけなければ、家蜘蛛は特に害をなしたりすることはありません。
家蜘蛛の種類9選
アシダカグモ
アシダカグモは巣をはらない徘徊性のクモです。家蜘蛛の中でも特に大きく、体はオスが15mm~25mm、メスが25mm~30mmで足をひろげると全体は100mmを軽くこえます。アシダカグモはゴキブリの最強の天敵として有名です。ゴキブリのほかにもガやハエ、アブやムカデ、小さいネズミなどを食べます。動きが素早く、動体視力が追いつかないこともあります。
- 寿命はオスが3年~5年、メスが5年~7年です。毒性はなく臆病で自ら人間を攻撃することはありません。しかし、捕まえようとすると噛まれることがあります。
ボタニ子
アシダカグモの目は顔の正面に上下4つずつあるの。目の下に1本白いラインがあるのが特徴よ。ほかの種類にはないから見分けがつくわね。
アダンソンハエトリグモ
アダンソンハエトリグモは巣をはらない徘徊性のクモで、壁や床などをぴょんぴょんと跳ねて移動します。エサは振動よりも視覚でみつけます。正面についた大きな前中眼で見て捕獲するほど目がよいのが特徴です。アダンソンハエトリグモのオスは黒い体の胸部と腹部に白いU字の模様があり、前中眼の脇にある触肢(しょくし)も真っ白ですが、メスは薄い茶色です。
- 毒はなく無害で、食べ物を探して歩き回ります。ほかの種類のハエトリグモも同じ習性です。小さいすきまから侵入してきます。
ボタニ子
アダンソンハエトリグモは5mm前後ととても小さいの。オスよりもメスのほうが大きいわ。ハエだけじゃなく、カやガ、ゴキブリの子供も食べてくれるの。
ミスジハエトリグモ
ミスジハエトリグモは巣ははりませんが移動の際の命綱として、シオリ糸と呼ばれる糸をだします。ミスジハエトリグモは7mm~15mmでオスよりもメスが大きいです。オスは茶色い腹部背面に白~クリーム色のスジが3本はいり、足はトラ柄で前中眼のまわりがきれいな赤色になります。メスもよく見ると似た模様があり茶色です。
ボタニ子
ミスジハエトリグモはハエトリグモの中では大きいほうね。エサはハエやダニを食べてくれるけど、クモも食べちゃうわ。昆虫よりやわらかいの。
チャスジハエトリグモ
チャスジハエトリグモは毒をもたない無害なクモで、オスは顔から腹部にかけて黒い体に白いラインがはいりストライプ模様になっています。メスは茶色です。オスは腹部のラインの両脇に白い球模様が対象にあるのが特徴で、ミスジハエトリと区別がつきます。オスは9mm前後、メスは11mm前後で、食べ物はイエバエやコバエなどです。巣をはらない徘徊性のクモです。
ボタニ子
チャスジハエトリグモも前中眼が発達しているの。のこりの4つの目は脇と後ろにあって、全方向が見えるのよ。
チリグモ
チリグモは天井の隅や障子の桟のはし、壁や家具の隙間などに4mm~10mmの幕のような巣をかけてすみかにしています。放射線に糸がはってあり、それにふれた虫がエサです。ハンティングにでかけることもあります。獲物の周りを糸をだしながら高速でくるくるとまわりつづけ、動けなくする捕獲方法です。サイズは2mm前後、オスメスともに同じくらいの大きさです。
ボタニ子
ちょっとアシダカグモの赤ちゃんに似てるわね。メスの方が模様が派手なの。飴色の体をしていて、目の周りとお腹に黒い斑点があるのよ。
イエオニグモ
イエオニグモは夕方~夜にかけて窓の縁や軒下、駅の構内などに巣をかけ、朝になるか次の巣をはる前にその巣を片付ける習性が特徴的です。雨の日は巣をかける作業を休むこともあります。灰褐色の体の色は濃さに個体差があり、腹部の波模様がはっきりせず不規則です。メスは6月~9月に産卵し、卵は卵のうと呼ばれる袋にいれて天上につるして繁殖します。
ボタニ子
オスは4mm~5mmでメスは8mm~12mmくらいね。ほかのオニグモの仲間は模様がはっきりしてるから、見分けがつくわね。
ヒラタグモ
ヒラタグモは広い壁にテント型の巣をはる待ち伏せ型のクモです。巣は2枚の幕でできていて、表面にはごみやほこり、虫の死骸などをくっつけてあります。2枚の幕の間がヒラタグモの居場所です。巣の周りには受信糸とよばれる糸が放射線状にはりめぐらされています。それにふれた虫が近づいてきたのを飛び出してつかまえるか、糸でぐるぐる巻きにして巣へ持ち帰ります。
- ヒラタグモの胸部は卵型、腹部は後ろがとがったティアドロップ型でどちらも平らです。名前の由来となり巣の形状にもあっています。
ボタニ子
ヒラタグモはオスもメスもだいたい10mmくらいよ。足は黄褐色で、腹部は白くて縁が黒いわ。まん中に黒い斑点があるけど個体差でないものもいるの。
イエユウレイグモ
イエユウレイグモは室内の天井付近や薄暗いすみに粗末な巣をはります。胴体は15mm~20mmですが、足が長いので大きさはオスは40mm、メスは100mmくらいです。メスは産んだ卵を薄い糸でまとめて、口でくわえて孵化するまで守ります。卵の数は少ないですが繁殖力は見た目に反して意外に強いです。ものを近づけると体をぶんぶんまわして威嚇します。
オオヒメグモ
オオヒメグモは不規則網(ふきそくもう)と呼ばれる立体的なカゴ型の巣をはります。巣の下部、地上1cmほどのところに粘質な糸をたらし、それについた虫をエサとして引き上げて食べます。オスとメスの大きさの差が特徴で、オスは2mm~4mm、メスは7mm~8mmです。メスは腹部がほぼ球体で、ベースは黄褐色ですが、中心に黒、褐色、赤などの複雑な斑紋(はんもん)があります。
ボタニ子
模様は個体差が大きくていろんなデザインがあるわ。オスも模様は同じ感じで、メスを圧縮したみたい。
家蜘蛛が発生する原因
家蜘蛛が家に発生する原因は、家の中にいる家蜘蛛のエサです。家蜘蛛はハエやカ、ガやダニ、ゴキブリの成体・幼体など害虫を食べてくれます。それらの害虫が家の中で発生しているかぎり、目についた家蜘蛛を外に出したとしても、また別の個体が家へ侵入してくるでしょう。原因が家の中の害虫なので、家蜘蛛を駆除するよりも害虫を駆除するのがよい対策です。
ボタニ子
家蜘蛛が家に入ってくる原因が害虫なら退治すればもれなく家蜘蛛もいなくなるし、家もきれいになって1石3鳥よ。殺虫剤も手っ取り早い対策方法ね。
まとめ
家蜘蛛のほとんどはサイズが小さいので、成長したアシダカグモ以外は小さいすきまから家へ侵入してきます。虫と同居するのはいやだという方は、エサとなる害虫を徹底的に駆除し、そうじをきちんとすることが家蜘蛛とお別れする早道でしょう。クモの巣も放置するとゴミやほこりがからまって、非衛生的ですので、家蜘蛛がいない環境にすることがおすすめです。
出典:筆者撮影