タコスッポンタケとは?
タコスッポンタケとは、オーストラリア原産のキノコの一種です。暖かい気候の南半球がおもな生息地ですが、アジアや北米などにも分布していてます。その衝撃的な見た目から「悪魔」や「エイリアン」など禍々しい別名があります。
ボタニ子
ボタ爺
日本ではタコスッポンタケは見られないけど、同じ仲間のスッポンタケ科のキノコがはいたるところに生息しているよ。
基本情報
科目 | スッポンタケ科スッポンタケ属 |
園芸分類 | 菌類 |
原産地 | オーストラリア |
学名 | Phallaceae |
英名 | stinkhorn |
特性 | 異臭がある、ネバネバしている |
毒性はない
タコスッポンタケはインパクトのある見た目が特徴的ですが、毒性はありません。しかし、おもな生息地でもあるオーストラリアなどでは食糧危機に陥った場合の奥の手といわれており、普段から食べられているわけではありません。
毒性がないのに常食されない理由は?
タコスッポンタケは、とても臭くて食用に適していないからです。味は悪くないですが、強烈なにおいのせいで食べられる機会が少ないのです。アボリジニの人々は、いざというときに仕方なく食べていたといわれています。
名前の由来
「スッポンタケ」とは、形状がスッポンの頭に似ていることが由来です。学名の「Phallaceae」は男性器を意味しており、スッポンタケ科のキノコの見た目に由来しています。和名の「タコスッポンタケ」は、スッポンタケ科に属していること、成熟した姿がタコの足に見えることからつけられました。
ボタニ子
英語では臭い角という意味の「stinkhorn」が使われるけど、ときには「臭いタコの足」と呼ばれることもあるんだよ。
怖い別名が多い
別名①「悪魔の指」
はてなブログに投稿しました #はてなブログ
— だんキチ@アーティスト (@dango_uwasa) December 22, 2016
タコスッポンタケというキノコがグロすぎる! - だんごの噂https://t.co/orYe3ohuVB pic.twitter.com/YzwsQVUdAd
タコスッポンタケは、生えはじめはマッシュルームのようなフォルムです。しかし、成長とともに先端が裂けていき、赤黒い触手のようになっていきます。そのなんともいえないグロテスクな姿が悪魔の指に見えたために、このような別名がつけられたのでしょう。
ボタ爺
確かに、はじめて見かけたら叫んでしまうかもしれない見た目じゃ。
別名②「クトゥルフ」
キノコホラーサスペンス:タコの触手そっくりで強烈な死臭を放つキノコ 「タコスッポンタケ」 http://t.co/FhWzCkwIpO pic.twitter.com/7BhLNrkgVv
— NewsDigest ニュース・地震・災害速報 (@NewsDigestWeb) May 17, 2015
クトゥルフとは、アメリカで流行した小説に基づいて作られた神話です。クトゥルフは、イカやタコなどをモデルにした巨人が登場します。この小説の登場人物と、タコスッポンタケの成熟した姿を重ね合わせてクトゥルフと呼ばれるようになりました。
ボタニ子
「タコ」っていわれているけど、実際に分裂したときの数は必ずしも8本ではないらしいよ!
ボタ爺
でも、くるんと巻いている感じは茹でたタコの足のようにも見えるのう。写真を見ただけだと、かじりついてしまいそうじゃ。
別名③「エイリアンの卵」
エイリアンの卵と呼ばれる理由は、卵から触手が伸びる前段階にあります。タコスッポンタケは、成長する途中で、ゼリー状の半透明な膜に覆われます。ゆっくりと触手を伸ばし、膜を割って出てきますが、その見た目が独特で衝撃的なこともエイリアンの卵と呼ばれる所以です。
「卵」から出てくるところを見てみよう!
ボタニ子
えぇー!!地球上のものとは思えない動き…。
ボタ爺
これでは、エイリアンと呼ばれても致し方ないのう…。
タコスッポンタケの特徴
特徴①時期によって見た目が違う
タコスッポンタケは、時期によって見た目が変わるキノコです。初期段階は球体で、マッシュルームまたは卵に似た形をしています。成長とともに球体に亀裂が入り、最終的に触手が出てきます。この成長過程こそが、別名の由来です。成長過程で見た目が変わることは、キノコ類のなかでも珍しい生態といわれていますよ。
特徴②とにかく臭い
タコスッポンタケは、死体が腐敗したにおいともいわれるほど、強烈な悪臭が特徴的です。卵状のころはそれほど強烈ではありませんが、不快なにおいに感じる人もいるでしょう。生息地では数km先にもにおいが漂っているため、タコスッポンタケを発見しやすいですよ。
虫を引きるために悪臭を放つ
タコスッポンタケが臭い理由は、ハエなどの悪臭を好む虫をおびき寄せるためです。タコスッポンタケは、虫たちに菌を媒介してもらうことによって、世界各地で個体数を増やしています。
特徴③ネバネバしている
成熟したタコスッポンタケは、表面を粘着性の胞子で覆われています。あえてネバネバさせることで、虫の足に効率よく菌をつけられるわけです。しかし、ネバネバの成分が悪臭のもとでもあるため、成熟したタコスッポンタケのほうが存在感が強いといえます。
タコスッポンタケは食べられる?
スッポンタケ科のキノコは食用になる
スッポンタケ科のキノコは、卵状のときは食用可能です。ヨーロッパや中国では高級食材として好まれており、スープなどに使われています。しかし、タコスッポンタケは食用として積極的に使われていません。毒はありませんが、野生のものを採取して食べるのは危険を伴うことも予想されます。
ボタニ子
この見た目と臭いだから、普通に食べる人は少ないかも…。かわりに、日本でも採れるスッポンタケの食べ方を紹介するわ。
スッポンタケの食べ方①茹でる
スッポンタケは、スープやみそ汁の具材として食べられます。悪臭のもとは傘の内側の黒い「グレバ」と呼ばれるところで、そこを取り除けば悪臭はいくらか抑えられるでしょう。スッポンタケだけではなく、ネギやワカメなどいろいろな食材と組み合わせた食べ方がおすすめです。
スッポンタケの食べ方②焼く
スッポンタケは加熱すると、焼き魚に似た味がします。若干の臭みはありますが、コリコリとした食感がクセになりますよ。生焼けにならないように、しっかり火を通してから食べてください。
食べ方③揚げる
スッポンタケを食べるなら、天ぷらやフライなどの揚げ物もおすすめです。焼くのと同様に、魚のような味わいになりますよ。成熟したスッポンタケは悪臭が強すぎて食べられないため、必ず卵状のときに食べましょう。
タコスッポンタケの仲間
タコスッポンタケの仲間は日本でも見つけられます。スッポンタケ科のキノコは食べられるキノコですが、そのほとんどに悪臭があるためおいしいとはいえません。しかし、キヌガサタケはにおいも少なく、食べやすいですよ。
キヌガサタケ
キヌガサタケは、レース飾りのようなかさが特徴的です。おもな生息地は中国ですが、日本国内でも存在が確認されています。早朝に顔を出したかと思えば、昼ごろにはしぼんでしまうため自然に生えているものを見つけるのは困難でしょう。「キノコの女王」と呼ばれる、中国料理の高級食材です。
キツネノロウソク
キツネノロウソクは、ヨーロッパを中心に生息しているスッポンタケ科のキノコです。成長過程で先端部分が赤黒くなっていきますが、タコスッポンタケのように裂けることはありません。先端が固くて赤いことから「ロウソク」と呼ばれるようになりましたが、なぜ「キツネ」とつくのかは不明です。タコスッポンタケと同様に、ネバネバしていて悪臭を放ちます。
スッポンタケ
スッポンタケ科のなかでも、日本に多く生息しているキノコです。初期は白い球体ですが、それを突き破って白い柄や傘が伸びていきます。タコスッポンタケのように、分裂することはありません。夏から秋にかけて、竹やぶなどに群生していることが多いです。
タコスッポンタケはちょっと変わったキノコ
タコスッポンタケは悪臭を放つ、奇抜な姿のキノコです。タコスッポンタケは、普段見慣れているキノコとは少し違うフォルムですが、食用キノコとはまた違った不思議な魅力があります。キノコの世界は、まだまだ謎が多いですね。
日本では見られないのかな?