松茸よりも美味しい香茸
香茸(コウタケ)はキノコの仲間で、針葉樹や広葉樹が混生する森林に生えます。人工栽培が不可能であるうえ、収穫時期も短いキノコです。このため収穫量が少なく「幻のキノコ」と呼ばれています。名前が示すように香りと風味が非常に強いことが特徴で、「松茸よりも香りがよくて美味しい」と評されるほどです。
香茸は9月半ばが収穫時期ですが、収穫できる期間が1週間と短いため、タイミングがずれると見つけられないんですよ。
香茸が採れる地域では、乾燥させて用いるのが一般的だよ。正月など特別の日の料理に使うことも多いんだ。
香茸の特徴
特徴①香りと風味がよい
香茸の大きな特徴は、「松茸以上」と評されることもあるほど強い香りです。特に生の香茸が放つ香りは「しょう油に似て香ばしい香り」といわれています。風味もよいため、正月や祝日などに供する特別な料理の材料として珍重する地方もあります。特に香茸が多く採れる東北地方の山間部では「香茸がないと、正月がこない」といわれるほど愛されている食材です。
特徴②あくが強い
香茸は風味と香り、加えてあくが強いキノコです。収穫の際は必ず手袋を着用しましょう。直接手で触ると、強過ぎるあくの影響で手が荒れてしまう恐れがあります。また、乾燥させても香茸のあくはなくなりません。調理前に、下処理であくを抜いておきましょう。下処理が不十分では、苦味を感じたり、のどがイガイガしたりします。
特徴③生産地が限られている
香茸は採れる地域と採れない地域との差が非常に大きいキノコです。「針葉樹と広葉樹の混生林に列を作るように生える」といわれている香茸ですが、混生林であれば必ず生えるというわけではありません。多く生える地域は広島、山口、長野、岩手など、一部地域の山間部に限られています。収穫が可能な期間も1週間程度と短いため、キノコのなかでも収穫量が低いです。
特徴④値段が高い高級キノコ
「香りと風味は松茸以上」と評される香茸は、値段が高いことでも有名な高級キノコです。理由は松茸と同じく、人工栽培で増やせないことがあげられます。さらに香茸は多く採れる地域が限られているうえに収穫可能期間が短いため、天然物の収穫量も少ないです。このため通販でも高い値段で販売されています。
香茸は香りと味、希少性から松茸以上の価値をつけられる高級キノコです。だからどうしても値段が高くなってしまうんですよ。
特徴⑤乾燥させるのが一般的な食べ方
香茸は乾燥させることで食用価値が上がります。天然のキノコは生の状態で調理することがありますが、香茸には乾燥させることで香り、味、食感がさらによくなるという性質があるのです。また、非常にあくが強いため、生のままでは苦過ぎたり、吐き気などの症状を引き起こしたりする恐れがあります。このため香茸は「乾燥させてから調理する」という食べ方が早くから一般化していました。
乾燥させたキノコは保存食にもなるからね。保存技術が未熟な時代、乾燥香茸は貴重な食材でもあったんだよ。
香茸の美味しい食べ方のポイント
食べ方のポイント①乾燥させてから食べる
香茸は乾燥させたものを食べます。香茸は非常にあくが強いため、生で食べると唇がかゆくなったり、吐き気がしたりするなどの中毒症状を引き起こす恐れがあるからです。乾燥させたほうが味も香りもよくなる性質に加え、安全性も高まるため、香茸は天日で乾燥させて、干しキノコにしてから用いる食べ方が一般化したのでしょう。
香茸は干しキノコの状態で流通しています。松茸以上と評されるほどの高級キノコであるため、値段は高いです。
香茸は希少なキノコだけど、近年は通販の普及で手に入りやすくなってるんだ。でも「値段が高くて手が出せない」という声も多いよ。
食べ方のポイント②下処理をきちんと行う
香茸はあくが非常につよいため、下処理作業が必要です。香茸の下処理方法は、乾燥させる前に下処理する方法と、そのまま干したものを調理前に下処理する方法の2種類があります。乾燥前に下処理した香茸は、水で戻せばすぐに調理できるのがメリットです。調理前に乾燥香茸を下処理する方法は、作業の調整がしやすいため、あくを抜き過ぎてうま味まで逃がすリスクを減らせます。
下処理の手順①
- 生の香茸を、うま味まで逃がさないように軽く茹でこぼす
- ざるにあけ、水気をしっかり取ってから天日干しにする
下処理の手順②
- 乾燥香茸をぬるま湯に数十分浸す
- あくが出て黒くなった湯を捨てて、新しい湯と取り替える
- 1と2の作業を何度か繰り返した後、香茸を水に浸す
- そのまま火にかけて沸騰させてあくを抜く
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出典:写真AC