ニジュウヤホシテントウの概要
テントウムシには大きく分けて3つの種類があります。カイガラムシやアブラムシなどを食べる肉食系、うどんこ病のもとになる菌を食べる菌食系、植物の葉の裏や茎の表面、実の表面を食害する草食系です。ニジュウヤホシテントウは植物を食害する害虫で、ナス科やウリ科に寄生します。
基本情報
学名 | Henosepilachna vigintioctopunctata |
科・属 | テントウムシ科マダラテントウ亜科エピラクナ属 |
生息地 | 関東以南、インド、オーストラリア、台湾など |
形態 | 完全変態 |
脱皮 | 4回 |
越冬 | 成虫で越冬 |
別名 | テントウムシダマシ |
ニジュウヤホシテントウの特徴
ニジュウヤホシテントウは益虫と呼ばれる、肉食や菌食のテントウムシと一見似ていますが、植物を食べる草食系の害虫です。ニジュウヤホシテントウの幼虫や成虫を放置すると大量発生し、家庭菜園の植物を食害します。よく見ると他のテントウムシとは違う特徴があるため、見分け方を知っておくと駆除や予防に役立つでしょう。
発生
ニジュウヤホシテントウは年に3回ほど発生する「3化性」です。越冬した個体が4月ごろになると越冬場所から飛んできてナス科やウリ科の葉の裏に産卵し、その卵は約50日で成虫になります。越冬した成虫が産んだ卵から成虫になった個体が6月中旬~7月にかけて、その次は7月下旬~8月にかけて、最終世代は9月上旬~10月にかけて発生します。
ボタニ子
駆除せずに5月~6月ごろになると、卵、幼虫、蛹、成虫が入り混じった状態になることもあるわ。
卵
ニジュウヤホシテントウの卵の色は濃いめの黄色で毛が生えており、卵同士の間にすきまがないように塊状に葉の裏に産みつけられています。産みつけられてから約1週間で孵化し、先に孵化した幼虫はまだ孵化していない卵を共食いすることもあるようです。ニジュウヤホシテントウのメスは1回で20個~50個の卵を産み、一生かけて産む卵の数は約300個~700個といわれています。
ボタニ子
卵の大きさは大体1.5mmくらいよ。
幼虫
ニジュウヤホシテントウの幼虫は、孵化してから蛹(さなぎ)になるまで4回脱皮をします。孵化したばかりの幼虫が「一齢幼虫」、1回目の脱皮が終了した幼虫を「二齢幼虫」、蛹になる直前の幼虫を「五齢幼虫」や「終齢幼虫」といいます。幼虫の期間は約1カ月です。幼虫は孵化してからしばらくは一箇所で成長しますが、1回脱皮をしたあたりからばらばらに動きはじめて食害を広げます。
ボタニ子
ニジュウヤホシテントウの終齢幼虫の大きさは7mm~8mmくらいね。
蛹(さなぎ)
ニジュウヤホシテントウの蛹は、幼虫の名残の毛と、成虫にある斑点模様の両方を持っています。斑点があるほうが頭部に近く、毛が生えているのが腹部です。昆虫は頭部、胸部、腹部に分かれていますが、ニジュウヤホシテントウの蛹は頭部を胸部の下に折り込んでいるため、上から見えるのは胸部と腹部です。蛹は1週間ほどで羽化し成虫となります。
成虫
ニジュウヤホシテントウの成虫は、暗黄色~暗橙色の体に黒い斑点が28個ついています。「二十八星天道(にじゅうやほしてんとう)」の名前の由来です。羽全体に細かい灰色の毛が生えているため、光沢がなく色も暗い印象です。ニジュウヤホシテントウは成虫の状態で屋根裏や樹の皮の中、落ち葉の下などで冬眠して越冬します。
ボタニ子
成虫の寿命は20日~50日くらいよ。越冬する個体は冬眠している間も含まれるから寿命が長いわね。
ボタ爺
ニジュウヤホシテントウの成虫の大きさは約6mm~7mmだな。
食べ物
ニジュウヤホシテントウの食べ物は、成虫も幼虫もナス科やウリ科の植物です。葉の裏の皮を破って、中の成分を吸い取るようにして食害するため、特徴のある痕が残ります。キャタピラーが走ったあとの土やバーコードのような模様です。ニジュウヤホシテントウの被害を受けることが多いのは、ジャガイモ、ナス、シシトウ、キュウリやズッキーニ、トマトやピーマンなどです。
出典:写真AC