ニジュウヤホシテントウの駆除方法
ニジュウヤホシテントウの幼虫も成虫も、植物の葉の裏側から養分を食害する害虫で、放置しておくと葉が光合成できず枯れてしまいます。大量発生する前に手を打ちましょう。ニジュウヤホシテントウの幼虫も成虫も葉を全部食べてしまうと、ナスやトマトなど実の皮も食害するため、見た目が悪くなったり可食部が減ったりしてしまいます。
駆除方法①見つけ次第捕殺
ニジュウヤホシテントウの数がまだ少ない場合は、捕殺しましょう。ニジュウヤホシテントウの卵は葉の裏に産みつけられているため、植物がまだ小さいうちは潰して、葉が育った植物の場合は葉ごと取って処分します。まだ小さな幼虫は集まって成長することから、まとめて捕殺します。成虫はちょっとした刺激で転げ落ちてくるため、植物をゆさぶって捕殺しましょう。
ボタニ子
ペットボトルの飲み口のほうを上から1/3切って、逆さまにして下部分に差し込むと、ケースができるわ。
ボタ爺
そのケースで落ちてくるニジュウヤホシテントウの成虫を受け止めると、手を使わずにすむぞ。
ボタニ子
一度入ったら出てこられないわよ。
駆除方法②殺虫剤を使う
ニジュウヤホシテントウは基本的に殺虫剤や薬剤に弱く、ほかの虫用の殺虫剤でも駆除が可能です。ニジュウヤホシテントウの被害にあっている植物の種類によって、薬剤を選ぶとよいでしょう。野菜や果物は食べ物なので、なるべく人間に害のないものを選びます。薄め方や使い方は薬剤によって違うため、用法をきちんと守ってください。
ボタニ子
できれば、アブラムシを食べるナナホシテントウなどや、菌を食べるキイロテントウムシなどに害が及ばないものがいいわ。
おすすめの薬剤
シンジェンタジャパン 殺虫剤 アクタラ顆粒水溶剤 100g
参考価格: 1,110円
アクタラはナス科だけでなく、ウリ科の植物にも広く活用できます。ニジュウヤホシテントウだけでなく、多くの植物に寄生するアブラムシや、コナジラミ、カメムシなどにも効果がある殺虫剤です。
駆除方法③殺虫剤以外の薬剤
「ニジュウヤホシテントウを駆除したいけれど、薬剤は使いたくない」という場合は、家庭にあるもので自然の殺虫剤を作れます。トウガラシの酢漬けや焼酎漬け、タバスコを水で薄めてこしたものなどです。トウガラシの酢漬けや焼酎漬けを作るのが大変な場合は、沖縄の調味料、コーレーグースーを薄めてもよいでしょう。それを2日~3日に1回、スプレーで葉の裏に散布します。
ボタニ子
コーレーグースーは沖縄の島トウガラシを、泡盛で漬けた激辛調味料よ。辛さはタバスコの20倍ね。
ボタ爺
タバスコスプレーだったら大体10倍くらいに薄めればいいな。コーレーグースーだったら200倍くらいかの。
ボタニ子
スプレーするときは必ず風上に立ってね。メガネや手袋、マスクなんかあると安心ね。
ニジュウヤホシテントウの予防方法
予防方法①防虫ネット
ニジュウヤホシテントウから植物を守るのに、防虫ネットを役立てましょう。春先に越冬した成虫が飛んできて、卵を産みつけると繁殖してしまいます。まずは卵を産ませないことが大切です。越冬したニジュウヤホシテントウの成虫が動き出すのが4月ごろのため、それ以前に防虫ネットを張っておきます。
ボタニ子
ニジュウヤホシテントウ以外の、植物に害をなす昆虫も防げるわね。
予防方法②こまめに観察
防虫ネットを張っていない場合は、日々のこまめな観察が有効です。家庭菜園やプランターの世話をするときに、葉をよく観察して、裏返してみましょう。昨日はなかった卵が産みつけられていたり、気がつかないうちに幼虫が孵化していたりするかもしれません。早期に発見できれば、被害も少なくてすみます。
予防方法③ほかの植物を利用する
デントコーン
デントコーンとは大型に育つトウモロコシです。コーンスターチや牛の飼料に使われます。草丈が高く栽培するのに株間が狭いため、ニジュウヤホシテントウが越冬から目覚めて飛んでくるのを、壁となって防いでくれます。被害の出るナス科やウリ科の野菜のまわりを、囲うように植えるとよいでしょう。
イヌホオズキ
イヌホオズキはナス科の雑草です。イヌホオズキを抜くか残すかで2通りに使えます。イヌホオズキを抜く場合は、ニジュウヤホシテントウが寄り付くのを防げます。ニジュウヤホシテントウがほかのナス科の植物より好むイヌホオズキを残せば、囮にすることが可能です。しかし、イヌホウズキを食い尽くすと農作物に被害が及ぶため、イヌホオズキを食べているうちの駆除が効果的でしょう。
ボタニ子
ニジュウヤホシテントウはイヌホオズキを食べ終わったら、家庭菜園や畑の野菜に移住してくるかもしれないわ。
ボタ爺
ニジュウヤホシテントウがイヌホオズキに夢中になっているうちに、一斉駆除すれば、雑草も抜けて一石二鳥だの。
ボタニ子
でもやっぱり諸刃の剣のような気もするから、ちょっと畑から離れた場所にあるといいかもね。
ニジュウヤホシテントウに似ているムシ
オオニジュウヤホシテントウ
ニジュウヤホシテントウに似ているテントウムシはオオニジュウヤホシテントウです。ニジュウヤホシテントウは関東以南の暖かい地域に生息しますが、オオニジュウヤホシテントウは15℃以下の寒い地域でも生息可能で、北海道~九州まで日本全国に分布しています。オオニジュウヤホシテントウとニジュウヤホシテントウは総称して「テントウムシダマシ」と呼ばれます。
ボタニ子
テントウムシダマシ科っていう種類があるけど、それとは違うの。ちょっとややこしいわね。
ボタ爺
テントウムシダマシ科の昆虫はテントウムシみたいに丸くなくて、長細い種類が多いの。
卵と発生
ニジュウヤホシテントウの卵と同じ、濃い黄色の卵を産みます。ニジュウヤホシテントウが卵を塊状に産むのに対して、オオニジュウヤホシテントウはひとつずつ、ばらばらに葉の裏に産みつけるのが特徴です。ニジュウヤホシテントウは1年に何度も発生しますが、オオニジュウヤホシテントウは年に1回だけ発生する「1化性」です。5月~6月にかけて大量発生します。
特徴と見分け方
オオニジュウヤホシテントウはニジュウヤホシ同様に黒い斑点が28個ありますが、ニジュウヤホシテントウよりも大きく、体長は6.5mm~8mmあります。多少の個体差はありますが、斑点もニジュウヤホシテントウよりも大きいです。生態はほとんどニジュウヤホシテントウと同じで、混在する土地での見分けは難しいですが、駆除や防除方法は同じです。
ニジュウヤホシテントウから大切な植物を守ろう
ニジュウヤホシテントウから大切な野菜や果物を守るには、大量発生する前に手を打つのがコツです。ニジュウヤホシテントウは幼虫も成虫も、幸い動きが鈍い昆虫で、発見さえできれば捕殺は難しくありません。こまめに植物の世話をしながら観察して、ニジュウヤホシテントウから家庭菜園やプランターの野菜を守りましょう。
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出典:写真AC