マメコガネムシとは
マメコガネムシは日本の在来種で、体長1cmほどの小さなサイズのコガネムシです。日中さまざまな植物の葉や花の上に群がっており、庭先や畑でもよく見かけられます。黄金色に輝く美しい虫ですが、栽培している花や農作物にも被害を与えることから、害虫として位置付けられています。成虫と幼虫では食性が異なり、それぞれが与える害も異なるため、成虫幼虫のどちらに対しても防除が必要です。
基本情報
学名 | Popillia japonica |
科名 | コウチュウ目コガネムシ科 |
分布 | 日本全土 |
行動(成虫) | 昼行性 |
形態(成虫) | 体長9~13mm |
形態(幼虫) | ふ化幼虫の体長2mm 成熟幼虫の体長27mm |
発生時期(成虫) | 4月上旬~8月中旬 |
発生時期(幼虫) | 6月中旬~8月 |
食性(成虫) | 花、葉 |
食性(幼虫) | 根 |
別名 | ジャパニーズビートル |
ジャパニーズビートル
日本の在来種であるマメコガネムシは、海外では「Japanese Beetle(ジャパニーズビートル)」と呼ばれ、農業害虫として恐れられています。19世紀初頭、マメコガネムシは日本から輸出されるアヤメの球根に紛れて、アメリカに侵入しました。アメリカにはマメコガネムシの天敵がいないため爆発的な繁殖がおこり、アメリカの農作物に大きな被害を与えたのです。
ボタ爺
現在も北アメリカをはじめポルトガル、イタリア、スイスなどでも次々に発見されて、各国で防除が行われているぞ!
ボタニ子
アメリカは、マメコガネムシの防除に400億かけているともいわれているの!
さぞかし迷惑な虫だと思われているだろうな!天敵って大事なんだな
マメコガネムシの特徴
特徴➀体
マメコガネムシは卵がやや扁平になったような体形で、頭と胸は緑を帯びた黄金色、羽は赤胴色に輝いています。腹の内側にはしま縞模様のように白い短毛が密生しており、体の縁も横しま模様のように見えるのが特徴的です。体に触れるとなめらかな感触をしています。
特徴②食性
成虫は葉や花
マメコガネムシの成虫は大豆などのマメ類、ブドウなどの果物類、バラなどの花き類を中心に、ありとあらゆる植物の花や葉を集団で食害します。食害は局地的で、飛来してきたところの葉が網目状になるまで食べ尽くすのが特徴です。大打撃を受けたアメリカでは、栽培しているトウモロコシが広範囲にわたって被害を受けたと報告されています。
幼虫は根
マメコガネムシの幼虫は土壌害虫です。芝や作物の根を食害するため、芝を張り巡らせているゴルフ場などでは大きな被害がでます。幼虫による芝の被害のピークは8~9月ごろですが、越冬後の幼虫も再び芝を食害するため、春の芽出しにも被害がでます。
成虫の摂食活動も活発だけど、幼虫は冬を越してからまた食害をおこすのか!幼虫も手ごわそうだな
特徴③活動時間
マメコガネムシは日中、特に晴天の午前中に活動しています。1枚の葉に集団で飛来し、かたまりのようにくっつき合いながら葉を食べているのが特徴です。また、葉の上では交尾をしている姿もよく見られます。2週間という寿命の間に摂食活動を活発に行い、子孫を残していくのです。
特徴④天敵
日本にはマメコガネムシの天敵が数多く存在しています。日本の生態系の中ではバランスがとれていますが、海外にはこのような天敵が存在していないため、大発生が起こり多大な被害を与えてしまいます。
マメコガネムシの天敵一覧
幼虫の天敵 | アリ、モグラ、ムカデ、 ゴミムシ、カラス |
成虫の天敵 | ムシヒキアブ、鳥類 |
幼虫に寄生する昆虫 | ハルコツチバチ、マメコガネツチバチ、マメコガネヤドリバエ |
幼虫に寄生する細菌 | 乳化病菌(バチルス・ポピリエ) |
幼虫に寄生する線虫 | Steinernematidae科Steinernema属 Heterorhabditidae科Heterorhabditis属 |
ボタ爺
幼虫の天敵となる細菌や線虫は、生物農薬として使われておる。成熟した幼虫には農薬より効果的じゃ
ボタニ子
生物農薬については後半で詳しく紹介しますね!
マメコガネムシの生態
マメコガネムシは、幼虫として土壌で1年近く過ごしてから成虫になります。寒い地域では、成虫になるまでに2年を要する場合もあります。成虫は2週間の命ですが、その間子孫を残すために活発に活動するのです。
マメコガネムシの生態のメカニズムを知れば、高い効果で防除できそうだ!
発生時期
幼虫は6月中旬~8月
マメコガネムシの幼虫の発生時期は6月中旬~8月です。ふ化したときは2mmほどですが、成熟すると27mmにまで成長します。芝や植物の根を食害してそのまま越冬し、春になるとまた食害をおこします。
成虫は4月上旬~8月中旬
マメコガネムシの成虫の発生時期は4月上旬~8月中旬です。寿命は2週間で、その間に花や葉を大量に食害し、1匹につき数十個の卵を産みます。
マメコガネムシの駆除方法【成虫】
マメコガネムシの駆除は、成虫と幼虫で方法が違います。成虫は飛来してくるため目で確認できますが、幼虫は土壌害虫のため被害が大きくなってから気が付くこともあります。成虫を確認したら土壌に幼虫がいることも考慮し、被害が大きくなる前に駆除しましょう。
方法➀捕殺
マメコガネムシの成虫は動きがゆっくりしているため、手で捕まえて駆除できます。傷を負わないように軍手を使用しましょう。フンはフェロモンとなり、ほかのコガネムシを誘引してしまいます。見つけたらムシと一緒に取り除きましょう。
ボタニ子
続いて、あると便利な手作り捕獲器の作り方を紹介します!
成虫も幼虫も防除しなければいけないのか。どんな生態なのか知りたいな!