スギナの駆除方法①:塩を使う方法
塩は雑草の除去で名前のあがる資材のひとつです。簡単に手に入りますし、スギナに対しては根元部分にしっかりと塩をまくことで、数日~1週間くらいで効果が見えてきます。しかし、地下茎まで枯らそうと思えば、相当量の塩が必要になります。
塩を使うときの注意点
塩を使う方法は、直接まくか、あるいは塩分濃度の高い塩水を作って散布するかの方法があります。塩水にすれば地中まで浸透しやすくなりますが、気をつけるべき点があります。土に含まれた塩は簡単には分解されません。つまり、この方法ではスギナの枯らし方には成功しても、しばらくは何も育てられない土地になってしまうということになります。
植物に過度な塩分は控えましょう
塩を使った雑草の駆除方法には注意が必要です。自然災害によって海水が田畑に流入し、塩害が発生したためその後数年間は何も栽培ができないというニュースを見たことがあると思います。家庭菜園にとって、塩分はメリットよりもデメリットのほうが多いことになるでしょう。雑草は除去できたのに、塩分は除去できないことになると本末転倒になってしまいます。
ボタニ子
海からあがったままの海藻はあまりよろしくないですが、しっかりと水洗いし乾燥させた海藻はミネラル分が豊富でよい土壌改良の元になります。実際に海に近い場所で農業や果樹園をされている方のなかには、昔から実践していると聞いたことがあります。
スギナの駆除方法②:除去しやすい道具
三角ホーは除草するには便利な道具です。土の表面を削るようにして使いますが、スギナのような地上部の茎が柔らかい雑草であれば、力をそれほど入れずとも刈り取ることができます。ただし、地下茎は土中に残りますので、再生はしてきます。株間や条間など野菜を栽培している畝で除草剤(ラウンドアップやサンフーロンなど)が使えない場合には、地道にこのような道具を使って除去しましょう。
ボタニ子
また再生してくるなら、手間ばっかりな感じ!除草道具なんて疲れるばかりじゃない?
もしかすると、スギナを完全に撲滅させようと思うことが間違いかもしれません。栽培の邪魔になるところを除草道具を使って手作業で除去することは、スギナと共生してよい関係を築くひとつの方法ではないでしょうか。退治と思うよりは、予防ととらえてみれば少しは気分が落ち着きませんか?悪いイメージがつきまとうスギナですが、健康茶として飲用されているくらいですので、栄養豊富な植物です。枯れたスギナにはカルシウムが含まれていて、土壌を中和する役割もあるのです。
捨てるには惜しい雑草たち
道具を使ったり、手で1本ずつ抜くなど、除草はとても根気のいる作業です。しかし、花壇の花の周りとか、畝の作物の株元とか、除草剤を使いずらい場所にスギナが生えることもあります。抜くことで集まったスギナを乾燥させて、お茶にするのも、土壌改良に使うこともできます。スギナを抜くことばかり考えずに、少しだけ雑草に対して力を抜くように向き合えば、意外と雑草にも使い道が見つかるかもしれません。
スギナの駆除方法③:土をひっくり返す枯らし方
スギナを根本から除去するためには、それこそ土中に深く展開している根茎と塊茎を取り除くしかありません。ユンボなどの重機で深く土を起こすようなことは普通の人にはとてもできません。スコップで天地返しをすることで、土の新陳代謝を促すことは、特に冬場には有効ですが、スギナを枯らすまでには至らないです。
ボタニ子
でも、天地返しは畑に有給休暇をとってもらうようなもの。リフレッシュが大切なのは、人も土も同じですね。
浅香工業 金象印 マイフィット キューフォーショベル
参考価格: 1,714円
スコップにも用途に応じてさまざまな種類があります。畑の天地返しに関しては、このような溝のついているスコップがおすすめです。地面が水分を含んでいる場合、スコップの表面が滑らかであると土がくっついてしまいます。このような凹凸があるだけで、作業効率がずいぶんとあがります。
こちらも土壌を耕作するための道具です。テコの原理で土を深く掘り上げられるので、女性や高齢の方でも強い力を使わずに扱えます。特に砂地のような目の細かい畑ではなく、田んぼの跡地などの粘土質の土壌で活躍できる道具です。
スギナの駆除方法④:除草剤を使う
徹底的な枯らし方や駆除方法をお探しの方には、やはり除草剤しかないでしょう。ただし、スギナを除去するための専用の除草剤はありません。ここでは汎用性のある「ラウンドアップ」と「サンフーロン」などをご紹介します。どちらも市販されており、ホームセンターで誰でも購入できます。それでも農薬ですので、適切な使用方法を怠ると健康被害も起こしかねませんので、細心の注意を払って利用してください。
除草剤での枯らし方:ラウンドアップ(グルホサート系)
日産化学 除草剤 原液タイプ ラウンドアップマックスロード 500ml
参考価格: 1,342円
内容量 | 500ml |
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成分 | ホスホノメチル |
タイプ | 液体タイプ |
持続期間 | 数カ月 ※植物や環境によって変わってくる |
グルホサート系除草剤の特徴は、葉から吸収された薬剤の成分が根まで到達し、時間をかけて全体を枯らしてしまうというものです。希釈率によって効果が出る日数に違いがあります。また、スギナに対して散布する際にはジョウロよりも噴霧器のほうが、細かい水滴を葉っぱに定着させることができるので、コストパフォーマンスもよくなるでしょう。
除草剤での枯らし方:サンフーロン(グルホシネート系)
大成農材 除草剤 原液タイプ サンフーロン 5L
参考価格: 5,379円
1mLあたり単価 | 1.2円 |
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サンフーロンはグルホシネート系の除草剤です。個別の植物を対象としない、非選択性の茎葉処理除草剤です。スギナの場合は生育が盛んになる時期(5月~7月頃)で、草丈が20cm~30cmくらいになっているときに散布効果が高まります。散布後は45日~60日ほど抑草されますが、地下茎を完全に枯らすわけではありません。
除草剤での枯らし方:MCPP液剤
理研 グリーン 芝生用 除草剤 MCPP液剤 250ml
参考価格: 1,705円
1mLあたり単価 | 5.9円 |
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MCPP液剤は家庭菜園よりも芝生用の除草剤として有名ですが、スギナの除去でも有効です。枯らし方の流れは、希釈した散布液が茎葉部から吸収されていきます。そして、徐々に根に到達し、雑草のホルモンの働きを乱します。その結果、光合成の低下をまねき、枯れていきます。
除草剤での枯らし方:バスタ液剤(グルホシネート系)
BASF 除草剤原液タイプ バスタ液剤 5L
参考価格: 16,949円
バスタは通常濃度の100倍~150倍の希釈でスギナに対して高い効果があると説明されています。このように聞くときつい農薬ではないかと感じますが、実際には土壌に落ちた薬剤の成分は微生物により分解されます。具体的には炭酸ガス、リン酸塩、水に分かれ、土壌中に残る心配はありません。
除草剤での雑草の枯らし方は用法・容量をしっかり守りましょう。また、身体を防護するための服装や道具もしっかりと身に着けて行いましょう。
スギナの駆除方法⑤:石灰系資材を散布する
ボタニ子
苦土石灰は聞いたことあるけど、他にどんな種類があるの?
苦土石灰は肥料分もあり、土壌の酸度調整でよく使われます。家庭菜園ではこの他に消石灰や有機石灰がその用途に応じて使われることがあります。また、生石灰という石灰もありますが、水と反応すると高温になる性質のため、畑や庭や芝生や花壇などでは使われることはありません。
生石灰(せいせっかい or きせっかい)とは
生石灰は石灰石を原料にしています。化学名では酸化カルシウムを指します。石灰石に高温の熱を加えることで二酸化炭素を飛ばし生成されます。日常的には園芸で使われることはなく、食品の乾燥剤として商品化されています。なお、生石灰に水を加えて作るものが消石灰です。
消石灰とは
消石灰の生成については上記のとおりですが、除草剤が使えない有機農業ではスギナや酸性土壌にはびこる雑草対策によく使われます。pHが12という強いアルカリ性のため、酸性土壌を中性に向かわせることができるためです。
消石灰の使用上の注意
作業の手間を省くために、元肥えとして肥料と同時に散布してしまいたくなりますが、これは控えてください。なぜなら、窒素系肥料と混ざるとアンモニアガスの発生を引き起こしてしまうからです。アンモニアガスは植物が酸素を吸うことを妨げて、枯らしてしまう恐れがあります。まずは消石灰だけを散布し、1週間おいてから肥料をまきましょう。
肌の露出がない恰好で作業しましょう
消石灰は皮膚に直接あたると炎症を引き起こす恐れがあります。肌の弱い方は特に気をつけてください。皮膚の露出のない服装や、メガネやマスクの着用は必須です。実際に首回りに炎症が発生してしまい、ひどい体験をすることもあります。風の強い日は作業をやめましょう。
有機石灰とは
有機石灰はカキ殻を細かく砕いて粉末状にしたものが一般的ですが、いくつかの貝殻を原料にする肥料です。含まれている貝殻によってアルカリ度数が異なりますが、苦土石灰よりもアルカリ成分は少ないです。そのため、有機石灰の特徴としては散布後に期間をあけることなく種まきや定植ができるというメリットがあります。
スギナの駆除方法⑥:太陽熱消毒
太陽熱消毒は作付け予定の畝に対して行う土壌の改良・浄化方法です。土にたっぷりと水分を含ませて、その上に透明マルチを張り、高温のサウナ状態を人工的に作ります。そして、有害な菌やセンチュウ類、雑草の種などを死滅させるという方法です。スギナ対策というよりは、連作障害対策などでよく使われる手法です。
自然の力を利用するお得な方法です
スギナの地下茎は深いため、太陽熱消毒でもその効果が届く範囲を越えたところで生き残ってしまうでしょうが、発芽までの時間稼ぎにはなります。芽が出てから手で抜くことを考えれば、用意する道具も透明マルチや発酵を促す米ぬかなど、経費も抑えられます。駆除方法としては、完全除去には至りませんが、安心安全な枯らし方ならびに予防にはなるでしょう。
海藻を畑にまいている映像を見たことあるけど、それは問題ないの?