ハルガヤとは？その特徴・生態や雑草としての防除方法をご紹介！

ハルガヤの原産地はヨーロッパです。日本では明治初期に北海道へ牧草として輸入されましたが、繁殖力の強いハルガヤはその後野生化し、今では強害雑草として日本各地での生息が確認されているとても身近な雑草です。私たちはたいせつな牧草を守るためにはどのような対策が必要なのでしょうか。ここでは、その特徴・生態や防除方法についてまとめてみました。

ハルガヤの特徴のひとつにクマリンがあります。ハルガヤは全草にクマリンの成分を含んでいるため、擦ると桜餅のような甘い香りがします。その為牧草と混ぜて家畜に与えると食欲増進する効果もあると言われていて、園芸の世界でも人気があります。また、ハルガヤは花粉の放出量も多いためアレルギー症状で悩む人が多いのも事実です。

芳香成分の一種でラクトンに分類される香り成分です。クマリンはシナモンやコーヒーにも含まれる香り成分のひとつでもあり、クマリンを含む代表的な植物はパセリや明日葉です。また、化粧品などの成分にも使われている天然の香料として私たちの生活の中でありふれた成分のひとつです。

ハルガヤは土壌の種類を選ばず、耐乾性が強い為、日当たりの良い場所では繁殖が盛んです。小穂に覆われた小花が咲き、種子が翌春には出穂し繁殖を繰り返します。1度根付いてしまうと完全に防除することが難しいことから強害雑草と言われています。

繁殖期はおもに春から夏にかけて（おもに5月～7月）とされています。地下茎で増殖するとされていて、気候の暖かく日当たりのいい場所で繁殖します。そのため、繁殖期が始まるまでの事前対策がとてもたいせつになります。

ヨーロッパ、シベリアが原産地です。その後アフリカ、アジア、オセアニアなどに分布、日本には明治初期に北海道へ分布され帰化植物になりました。

荒地、牧草地、路傍、草地、など日当たりの良い場所を好みます。日本芝の冬枯れした地下茎で増殖し、芝の隙間などから出穂します。ただし、土壌凍結地帯には確認されることは少なく耐渇性が強いのが特徴です。

ハルガヤは3つの名前を持っています。まず1つ目は和名ハルガヤ（春茅）です。2つ目は牧草名スイートバーナルグラスと呼ばれています。3つ目は園芸名バニラグラスと呼ばれています。それぞれの世界でどのような影響があり、どのような意味を持っているのでしょうか。

今までに述べたようにハルガヤが日本に輸入された理由は、牧草として家畜に与えるためでした。既存の牧草と混ぜてから与えると食欲増進の効果があると言われていたことからですが、効果があがらず繁殖力のあるハルガヤは牧草地で繁殖を繰り返し、今では日本全国へ分布されています。

ハルガヤの特徴の1つにクマリンと言う香り成分があります。葉を擦るとバニラのように甘い香りがする事からバニラグラスと名付けられ、丈夫で育てやすいハーブとして現在も販売されています。乾燥しても香りがなくなりにくいことからポプリなどにして楽しむ人が多いようですが、人気が高いため中々手に入らない希少なハーブの1つです。

ハルガヤは群生し、繁殖力のある強害雑草です。きちんとした防除をする事がとてもたいせつです。防除方法をいくつかまとめてみました。

ハルガヤ以外にも強害雑草と言われている雑草は多く、雑草の中にも2種類あります。1つ目は一年草と呼ばれている一種で、代表的な植物はアサガオです。2つ目は多年草と呼ばれている一種です。多年草の代表的な植物はタンポポです。毎年黄色の花を咲かせて冬には地上では枯れてしまいますが、地中で越冬し、また春に花を咲かせます。このように越冬する程生命力のある雑草の事を強害雑草といい、刈り込んだ事で逆に種子を土壌に増やしてしまう事もあり、完全に防除する事が難しいとされている雑草の事をいいます。

雑草の処理に多いのは抜き取り、刈り取りが一般的です。ハルガヤは出穂してから約10日前後で小花を咲かせ、その後1㎡約10万粒程の種子を生産します。種子は刈り取りの際、飛散してしまう事が多く、ハルガヤのように繁殖力の強い雑草は、北海道など広い牧草地や荒地では効果を得る防除方法には不向きです。

次に除草剤の散布ですが、ハルガヤはイネ科の植物です。イネ科に効果のある除草剤散布が良いとされています。ただ注意したいところはハルガヤに効果のある除草剤を選ぶ必要があるという事です。報告されているものでグリホサート系除草剤があります。散布後、翌春には理土種子の出穂しますが、数年間続ける事で効果があるとされています。散布の時期は出穂し始める春から遅くても秋までには散布するとよいでしょう。

次に防除方法の1つに草地更新というものがあります。この方法では先ほど述べたグリホサート系除草剤後、草地更新する事でより一層効果が期待できるとされています。ハルガヤに効果的なのは飲料用とうもろこしやてんさいなどの畑作物とされています。この方法を数年間繰り返す事が必要ですが、非常に効果があるとされています。

草地更新には2種類あり、完全更新法と簡易更新法があります。ハルガヤの生態を活かし、有効な草地更新には完全更新法とされており、まず除草剤を散布→耕起し→除草剤散布・播種する方法が有効です。草地を畑に変えるというイメージが近いでしょう。

ハルガヤは出穂した後、小花が咲き花粉が飛散します。花粉が飛ぶ時期は春から夏にかけてハルガヤの繁殖時期ですが、イネ科の花粉の飛散距離はスギやヒノキに比べると短距離で背丈100ｍほどのもので数10ｍ～数100ｍ程と言われています。花粉と聞くと秋のイメージが湧く方も多いと思いますが、春～夏にかけて鼻がムズムズしたり、目がかゆくなるなどアレルギー反応は人それぞれ違った症状が出ます。気になることがあった場合などは専門の医療機関へ行かれる事をおすすめします。

花粉症かも？と思った時、専門の医療機関でアレルギー検査を受けた事がある人もいると思います。その中でカモガヤという種類にチェックが入った方は要注意です。カモガヤはイネ科の植物でカモガヤ花粉症の人の多くがハルガヤにもアレルギー反応をしてしまうのです。イネ科の多くが道端や公園の芝の隙間からも生えてくる植物です。花粉症の症状は人それぞれです。咳や鼻水、目のかゆみの他にも喉の違和感などもあります。花粉症の方は食物アレルギーも反応しやすくイネ科の花粉症の方は特にスイカやメロン、セロリを食べて喉がイガイガするなどあれば専門機関へ行きましょう。

ハルガヤのように高さ20～60cmの花粉の飛距離はスギやヒノキ花粉のように数10km飛散するものではありません。ですが、私たちの生活の中で道端や、公園などを避けながら生活する事もまた困難です。外出の際はメガネやマスク、上着などには静電気除去スプレーなども有効で花粉が付きにくくなる効果もあります。自分に合った対策を見つけて少しでも過ごしやすい生活をしましょう。

ハルガヤはとても繁殖力のある強害雑草です。北海道など広大な面積のある牧草地では、1度繁殖してしまうと牧草が台無しにされてしまいます。ゴルフ場などの芝地を守る為にもハルガヤの生態をよく知り防除する事がなによりもたいせつです。