花筏(ハナイカダ)とは
「花筏(ハナイカダ)」はモチノキ目ハナイカダ科ハナイカダ属の落葉樹です。花筏は独特な花や実のつき方をします。クロンキスト体系ではミズキ科に分類されていましたが、DNA解析によるAPG分類体系で移動しました。名前の由来や植物の特徴、育て方や食べ方について、順次ご紹介していきます。
名前の由来
花筏は葉のほぼ真ん中に花が咲き、実がなります。このような特徴を持つ草花や樹木は他にないので、花や実の季節には簡単に見分けられるでしょう。花や実を船頭(せんどう)に、葉をいかだに見立てたのが名前の由来です。別名をヨメノナミダ(嫁の涙)、ママッコ(飯子)といいます。
別名は民話に由来する
別名には葉の上で黒く熟した実の姿から生まれた民話が由来になっています。「ヨメノナミダ(嫁の涙)」は、嫁ぎ先でつらい思いをした嫁が、山中でひっそりと流した涙が葉の上に落ちたものだ、という民話です。「ママッコ(飯子)」は、豆を炒っていた継母が、食べたいとせがんだ継子の掌に、熱い豆を乗せたためにできた火ぶくれ、という民話がもとになっています。
花言葉
花筏の花言葉は、「嫁の涙」「気高い人」「移り気」です。「嫁の涙」は花筏の別名がそのまま花言葉になりました。「気高い人」は凛としたたたずまいからつけられたのでしょうか。「移り気」は、水面に浮かんだ桜の花びら(花筏)があちらこちらへゆらゆらと漂う様子からつけられたといわれています。
ボタ爺
花筏の別名に隠された民話がかわいそうで、涙が止まらん……。気を取り直して、花筏の特徴を見ていくとしようかの。
花筏(ハナイカダ)の特徴
花筏は北海道南部から九州・沖縄の山野に自生しています。水辺の近くや半日陰の森林に群生することが多い低木性の落葉樹です。他にはどのような特徴を持つ植物なのでしょうか。樹高や葉、花や実についてくわしく見ていきましょう。
植物としての特徴
花筏は樹高1~3mの落葉広葉低木です。根元から枝分かれして株立ち状に育ち、あまり太くはなりません。若い枝は緑色で毛はなく、1年すると赤みを帯びてくるのが特徴です。さらに成長すると樹皮が縦裂し、褐色の縞模様ができます。
葉の特徴
葉は長さ6~12cmの楕円形で、表面に光沢があり、互生します。葉の縁には低く鋭いギザギザがありますが、糸状でやわらかいです。主脈は基部から中央の花がつく位置までが太く目立ち、色も質感も違います。これは葉のつけ根から出ていた花がらが、葉の主脈と癒合したためです。側脈は葉先に向かって弧を描いて伸びます。
芽吹きの頃からつぼみがある
落葉樹なので冬に葉を落とし、3~4月の時期にまた芽吹きます。芽吹きの時期から葉につぼみがついているのも特徴的です。若葉はアクやクセがなくおいしいので、山菜としても人気があります。食べ方は後ほどご紹介します。
ボタニ子
次は花筏の花の特徴について紹介します!
出典:写真AC