キツネノマゴとは
キツネノマゴはキツネノマゴ科キツネノマゴ属の一年草です。夏の終わりから秋にかけて、道端や草地など身近なところで見られます。よく観察しないと見過ごしてしまいそうな草花ですが、日本に古くからあり親しまれてきた草花のひとつです。今回はユニークな名前の由来や薬草としての薬効、キツネノマゴ科の園芸植物の育て方など詳しくご紹介します。
名前の由来
狐の孫(キツネノマゴ)とはユニークな名前ですね。実は名前の由来ははっきりとはわかっていません。一説には花が終わった花穂がキツネのしっぽに似ているとか、花の形がキツネの顔に似ているからと言われています。孫(まご)はどうでしょう?小さくてかわいい花と孫をかさねてつけられたのでしょうか。小さくてかわいい孫キツネをいとおしむキツネの姿を想像するとほっこりとさせられますね。
キツネのつく植物
日本の野の花には他にもキツネのつく植物があります。
- キツネノカミソリ
- キツネノボタン
- キツネアザミ など
キツネノマゴの特徴
キツネノマゴは一見すると見落としてしまいそうなくらい、目立たない草花です。道端や草むらなどでよく見かけますが印象にはあまり残りません。しかし、よく見るとはっとするくらい可憐な花をつけるのです。その特徴と魅力をご紹介します。
和名 | キツネノマゴ(狐の孫) |
学名 | Justicia procumbens |
別名 | カグラソウ |
形態 | 一年草 |
草丈 | 10cm〜40cm |
開花時期 | 8月〜10月 |
分布 | 日本の本州・四国・九州、中国、朝鮮半島、インド、マレーシア、インドシナ半島 |
花の特徴
うすい赤紫色の小さな花をつけます。2cm〜5cmほどの花穂に、点々と2つ3つまばらに咲いています。花の大きさは7mmほどで、唇型の花の中心部に星のような白い模様が見えます。これは蜜標(みつひょう)と言って、虫たちに「蜜はここにあるよ」と教えるしるしです。花先は3つに裂けています。花びらの奥の上唇に雄しべが2本あり、虫たちが蜜を吸いにくると閉じるようになっています。見た目はシソ科の花にもよく似ていますね。
実の特徴
花の後、花尾が伸びて茶色の細長い実ができ、中には4つの種ができます。実は熟すると2つに裂け、中から種が飛び散るようになっています。この花尾の姿はやはりどことなくキツネのしっぽに似ていますね。
茎と葉の特徴
全体の高さは10cm〜40cmほどで、茎はまばらに分枝してやや立ち上がって生えています。断面は四角形で全体に短い毛がはえています。茎には節があり、そこに葉をつけます。葉っぱは短い柄があり、長さ2cm〜5cmほどでたまご型で先が少しとがっています。両面に短い毛がはえており、茎の節に対に葉をつけていきます。節を折ると簡単に葉が取れますよ。葉っぱがしげるとますます花が目立たなくなってしまいますね。
キツネノマゴの開花時期
武蔵野果樹林エリアの園地の下草に、うす紫色の小さな花がたくさん咲いています。左からウリクサ、トキワハゼ、キツネノマゴです。それぞれ1㎝にも満たない花ですが、虫を呼ぶための蜜標は一人前です。しばらく観察していると、ミツバチやハナアブ、イチモンジセセリなどに出会えますよ。 pic.twitter.com/kTd1lci6zk
— 植物多様性センター(神代植物公園) (@ParksTayousei) September 3, 2019
日本では、8月から10月にかけて本州から九州まで道端や少し湿った草原などでみられます。ひなたの明るい場所よりは日陰に多く観察されます。キツネノマゴの開花時期は、夏の終わりから秋にかけてのお散歩がしやすい時期です。お散歩がてら目をこらしてキツネノマゴを探してみるのもいいかもしれません。
キツネノマゴの花言葉
キツネノマゴの花言葉は3つあります。
- 可憐美の極致
- 女性の美しさの極致
- この上なくあなたは愛らしくかわいい
キツネノマゴの種類
キツネノマゴにはいくつか似た種類の植物があります。日本でみられる近縁種を紹介します。
キツネノヒマゴ
キツネノマゴよりも花が小さめで、葉っぱの幅が広いキツネノヒマゴ。主に琉球列島でみられます。孫だけでなくひ孫もいるなんておもしろいですね。こちらは本州、九州ではあまりみられないそうなので、沖縄に行った際は観察してみましょう。
シロバナキツネノマゴ
花が白いシロバナキツネノマゴです。こちらは本州から四国、九州にかけて各地でみられます。群生して咲くので、見つけたらそのあたり一帯が白花ばかりということもあります。白い花もすっきりとしてきれいですね。
引用元:写真AC