ガマとは?
ガマは、ガマ科ガマ属の植物です。蒲という漢字は草かんむりに浦と書くように、水辺に生える水草の一種です。最大の特徴は、ふわふわとした花穂(がまのほ)。水生動物たちの住処として利用されたり、爆発遊びで子どもたちに愛される他、若い新芽はたけのこのように食べることもできます。
学名 | Typha latifolia |
和名 | ガマ |
草丈 | 1.5m~2m |
原産地 | インド |
分布 | 日本全土・北半球の温暖な各地域・オーストラリア |
フランクフルトのような穂が特徴の植物
ガマの最大の特徴は、なんと言ってもフランクフルトのようなふわふわした花穂です。夏の季節になると、茎の先の方に、ソーセージのような大きな花穂をつけます。古くからその特徴的な姿で愛されており、「蒲の絮(がまのわた)」は晩夏から初秋の季語でもあります。
近縁植物のヒメガマとコガマ
日本国内では通常のガマの他に、やや小さいヒメガマや、草丈が半分ほどしかないコガマも見ることができます。またコガマは、背丈が低いだけでなく、開花の季節もガマよりはやや遅れて初秋になります。また、ガマはヒメガマやコガマに比べて、花の咲き方がやや異なります。とはいえ大きな差ではなく、やはり草丈の違いが最大の特徴です。
ガマが出てくる有名な物語「因幡の白うさぎ」
ガマといえば、「因幡の白うさぎ」を思い出す人も多いのではないでしょうか。古事記に記載されたこの物語の中で、ガマは重要な役割を果たしています。そのことからも、古くからガマが日本人にとって大切な植物であったことがわかります。
因幡の白うさぎのあらすじ
白うさぎは、わに(鮫)をだまして島を渡りました。しかし、騙されていたことを知ったわには怒り、うさぎの皮を剥いでしまいます。最初に来た人たちが「全身を海水に浸してから乾かすといい」と言いましたが、もちろんそれでは治りません。しかしあとからやってきた大国主は、「きれいな水で洗い流してから、がまのほを敷いた上で転がって、花粉をつけるといい」と教えてくれました。そのとおりにしたうさぎの傷は無事に治り、後にうさぎの神様になりました。
花言葉は因幡の白うさぎに由来
ガマの花言葉は、「慈愛」「救護」「素直」「従順」「無分別」です。どれも、因幡の白うさぎの物語から来ていることがわかります。大国主の優しさと、素直に従ったうさぎの素直さによって、うさぎは助けられました。しかしうさぎは、わにをだまさなければ皮を剥がれることもなかったのですから、戒めるための話でもあるのです。
ガマの穂には綿毛が詰まっている
ガマの最大の特徴は、そのソーセージのような花穂です。夏の花穂も触るとふわふわとしていますが、秋になり花が枯れると、また違った姿を見せてくれます。なんと、枯れたあとの花穂から次々と綿毛が出てくるのです。晩秋になると、さながらたんぽぽの群生地のように、ふわふわした綿毛が立ち並ぶ風景を見ることができます。
綿毛が爆発する不思議な植物
ガマ爆発の季節 pic.twitter.com/9qHiStGm9l
— ドリトル柴田 (@shibalabo) November 1, 2018
花穂を爆発させて遊ぶこともできます。秋、少しだけ綿毛が見えはじめたガマを見つけたら爆発遊びのチャンスです。軽く握りしめると、どこに詰まっていたのかと驚くほどの綿毛が爆発的に出てきます。ただし風下に立っていると、全身にふわふわの綿毛がついてしまいます。風上か横から試してみましょう。
ふわふわの部分は雌花
このふわふわの花穂の正体は、ガマの雄花です。また、花穂は茎の中央についているのではなく、花穂の先についているアンテナのような茎が雌花です。どちらの花も花弁などはなく、花としてはごく単純な作りをしています。
夏の雄花は花粉で覆われる
茎のように見える雌花ですが、夏の間は少し様子が異なります。黄色い花粉を全身にまとい、まるでとうもろこしの穂先のようにも見えます。花粉は風に乗り、他の雌花たちのところにたどり着いて受粉をします。また、花粉は炒って食べることもできます。甘いお菓子と合わせるととても美味しいですよ。
ボタニ子
ガマの花穂って確かにソーセージに似てるけど、他にもなんだか似てるものがあった気がするな?
ボタ爺
ガマの形が由来になっているものが色々あるからのう。次のページで見てみようか。
出典:写真AC