ハダニの予防方法と発生後の対策
繁殖力が強く、とてもしぶといハダニですが、予防方法と駆除の方法にはいくつかあり、「水」「外敵」「農薬」「油」が主な対策キーワードになります。被害を最小限に抑えるため、複数の方法を組み合わせるのも良いでしょう。対策時の注意点についても説明します。
対策①葉水を与えて予防・駆除
ハダニは水分が苦手なので、多雨や低温、高湿度の場合に繁殖が抑制されます。したがって、霧吹きなどを使って葉水をやることで発生を予防したり繁殖を抑えたりすることができます。シャワーなどの強い水流を当てて、卵や成虫を洗い流すことも有効です。
強い水流で洗い流すのも有効
暖かく乾燥した室内で育てている植物にはハダニが発生しやすくなります。ときどき風呂場へ持っていき、葉の表裏へ水のシャワーをかけてハダニを洗い流すのが有効です(お湯は避けましょう)。その際土が外へ流れ出ないように、ポリ袋で根元を覆うなど工夫しましょう。
対策②外敵を導入して予防・駆除
テントウムシやアザミウマなどがハダニを捕食しますので、こういったハダニの天敵を投入する方法もあります。ただし、アザミウマはハダニと同様に吸汁性の害虫です。特にキク類やラン類、バラ、カキ、柑橘類などを好み、被害の原因になりますので導入には注意が必要です。
ミカンハダニを攻撃する天敵類には、静岡県での調査結果によると、カブリダニ類、キアシクロヒメテントウ、ハダニケシハネカクシ、ハダニアザミウマ、クサカゲロウなどが確認されています。
対策③薬剤を散布して予防・駆除
ダニやハダニ専用の殺ダニ剤が販売されていますので、規定量に薄め、霧吹きなどで丁寧に葉の表裏に噴霧します。予防の用途よりも、ハダニが大量に発生・繁殖してしまった場合の対策として使用することをおすすめします。

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対策④マシン油を散布して予防・駆除
マシン油は農薬の一種として販売されているもので、工業用に使用する潤滑油に乳化剤を添加してある薬剤のことです。油と乳化剤でハダニのからだ全体を覆い、窒息させて駆除します。農薬と比較して毒性が少ないこともメリットです。

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薬効成分が届きにくいカイガラムシや、薬剤耐性が付きやすいダニ類などによく使われます。潤滑油+石鹸で手作りする人もいるようです。
ハダニ対策時の注意
このようにハダニ駆除には様々な方法がありますが、薬剤を使う場合には特に注意をしたほうが良い点があります。いくつかのポイントを説明します。
対策時の注意①ハダニに殺虫剤は効かない
ダニは昆虫の仲間ではありませんので、殺虫剤は効きません。殺虫剤を噴霧すると一時的にショック状態になって落下するようですが、落下したあとに歩いてほかの植物へ移動してしまい、被害を広げてしまうことになりかねません。

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逆にハダニの天敵であるテントウムシなどを殺してしまい、ハダニにとって住みやすい環境を助長してしまうこともあります。
対策時の注意②ダニ類は薬品耐性が付きやすい
ダニ類は薬剤耐性が付きやすいので、生き残ったハダニには同じ殺ダニ剤が効きにくく、その子孫もまた同じ…ということも多々あります。そのため農薬散布は大規模栽培やハダニの大量発生の場合におすすめ。家庭菜園での普段の予防や、症状発生の初期には葉水の噴霧などで対策するのが良いでしょう。
対策時の注意③農薬はムラなく噴霧する
殺ダニ剤を噴霧する場合は、葉の表裏にムラなく噴霧するようにしましょう。特に葉脈の出っ張った部分は薬剤を噴霧しにくい上、ハダニが集中しやすいところなので、葉の1枚1枚というつもりで丁寧に噴霧していかないと効果が薄くなってしまいます。
対策時の注意④葉水のやりすぎにも気を付けて
強い陽射しで葉からの蒸散が多い夏場なら大丈夫ですが、春や秋、冬には葉水をやり過ぎると、今度は加湿状態になってカビ病など別の病気を誘引する場合があります。ハダニ対策であれば、1日3回の葉水やりを4~7日に1回くらいでOK。植物や環境の状態を見て調整しましょう。
ハダニ対策におすすめの農薬
先に説明したように、ハダニは薬品耐性が付きやすいのが注意したいポイントです。同じ殺ダニ剤を使い続けていると効き目がなくなるどころか、農薬に抗体を持った強力なハダニが増殖して被害を拡大させるリスクもあります。複数の殺ダニ剤をルーティンで使用することをおすすめします。

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農薬の説明書に使用回数の制限が書かれているものもありますので、説明書をチェックしてから使用しましょう。
おすすめ農薬①バロック フロアブル
バロック 20ml 殺ダニ剤 ダニ退治に 【あす楽対応_関東】
参考価格: 1,067円

種類名 | エトキサゾール水和剤 |
有効成分 | エトキサゾール 10.0% |
登録番号 | 第19962号 |
毒性 | 普通 |
有効年限 | 4年 |
包装 | 100ml×60、250ml×40、 500ml×20、1L×10、5L×2 |
おすすめ農薬②ベニカXファインスプレー
殺虫剤 殺菌剤 持続 ベニカXファインスプレー 1000ml 住友化学園芸
参考価格: 980円
種類名 | クロチアニジン・フェンプロパトリン・メパニピリム |
有効成分 | クロチアニジン(0.0080%) フェンプロパトリン(0.010%) メパニピリム(0.020%) |
登録番号 | 農林水産省登録第22506号 |
毒性 | 普通 |
有効年限 | - |
包装 | 420ml 入・900ml 入 スプレー剤 |
おすすめ農薬③カダンプラスDX
【送料無料】【農薬】 フマキラー カダンプラスDX 450mL【4902424433999】
参考価格: 1,441円
種類名 | エマメクチン安息香酸塩、チアメトキサム、 ジフェノコナゾール |
有効成分 | - |
登録番号 | 農林水産省登録第22330号 |
毒性 | 普通 |
有効年限 | - |
包装 | 250ml入・450ml入・1100ml入 スプレー剤 |
おすすめ農薬④ニッソラン水和剤
日本曹達 ニッソラン水和剤(純国産強力殺ダニ剤) 100g
参考価格: 1,479円
種類名 | ヘキシチアゾクス |
有効成分 | ヘキシチアゾクス 10.0% |
登録番号 | 農林水産省登録第16094号 |
毒性 | 普通 |
有効年限 | 4年 |
包装 | (100gx25袋)x4箱、500gx20袋 |
おすすめ農薬⑤コロマイト水和剤
コロマイト水和剤 100g
参考価格: 1,800円

種類 | ミルベメクチン |
有効成分 | ミルベメクチン2.0% |
登録番号 | 農林水産省登録第19656号 |
毒性 | 普通 |
有効年限 | 5年 |
包装 | 100g×100・500g×20 |
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商品名 | バロック 20ml 殺ダニ剤 ダニ退治に 【あす楽対応_関東】 | 殺虫剤 殺菌剤 持続 ベニカXファインスプレー 1000ml 住友化学園芸 | 【送料無料】【農薬】 フマキラー カダンプラスDX 450mL【4902424433999】 | 日本曹達 ニッソラン水和剤(純国産強力殺ダニ剤) 100g | コロマイト水和剤 100g |
価格 | 1,067円 | 980円 | 1,441円 | 1,479円 | 1,800円 |
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トマトへのハダニ発生原因と駆除
除草後のハダニ発生に注意
トマトにはナミハダニとカンザワハダニが発生します。ハダニは生きた植物の汁のみエサにしますので、トマトの周りの雑草を除草した後にトマトへ移動して来る場合が多くなります。除草後の草はすぐに処分する、除草剤を使う場合はその前にトマトへ農薬散布して防除する―などの対策がおすすめです。
葉を間引いて風通しを改善
トマトの葉が込み合ってくると風通しが悪くなり、雨水がかかりにくく熱もこもるため、ハダニが繁殖しやすい環境になってしまいます。適度に葉や枝を間引いて風通しを改善するとともに、葉水や農薬散布も間引き後に行うことがおすすめです。
茄子へのハダニ発生原因と駆除
茄子も除草後に注意が必要
茄子の栽培でもトマトと同様に、除草後にカンザワハダニの赤いポツポツやナミハダニが多く発生し、被害が出たり症状が進んだりするケースが多く聞かれます。また、同じように葉が込み合ってくるとハダニが増えやすいので、予防のために葉を間引き、葉水や農薬散布を行いましょう。
下葉取りの後の予防対策がおすすめ
茄子も葉を間引く作業を行う場合がありますが、ハダニの防除はその後に行ったほうが、葉に万遍なく水や薬剤がかかりやすいのでおすすめです。ちなみに葉かきをしすぎると樹勢が弱まり、病害虫や病気にかかりやすくなりますので注意が必要です。
水をはじきやすいのでフノリ液と界面活性剤がおすすめ
茄子の葉は大きい上に水をはじきやすいので、農薬を薄めるときにはフノリの戻し汁に、さらに石鹸(または中性液体洗剤)を溶かしておくと葉に密着しやすく、おすすめです。
バラへのハダニ発生原因と駆除
バラにもカンザワハダニとナミハダニが多く発生し、樹液を吸って樹勢を弱めてしまいます。ハダニと、バラでよく発生する黒星病をダブルで予防できる農薬も多く販売されていますので、こういった農薬を使用すると被害を防ぎやすいでしょう。
マイローズ ベニカXファインスプレー 950ml 【住友化学園芸】【草花】【花木】【庭木】【殺虫剤】【殺菌剤】【アブラムシ】【ハダニ】【うどんこ病】【黒星病】【害虫】【防除】【速効性】【持続性】【約1カ月】【バラ】【薔薇】【ばら】
参考価格: 1,350円

まとめ
植物の外観だけでなく、収穫や生長にまで被害を与えるハダニ。たくさん症状が出てきたときにはすでに大量に繁殖していることもままあります。未然に発生を予防するため、こまめに植物の状態を確認するとともに、ハダニの好きな乾燥状態を作らないよう気を付けましょう。
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薬剤が乾いたあとに白く跡が残る場合もありますので、見た目が気になる場合はあまりおすすめできません。