紙魚ってどんな虫?
本棚の近くや押し入れの中、部屋のすみなどで、小さくて銀色の細長い虫を見たことはありませんか?おそらくそれは紙魚(シミ)という虫です。紙魚は家の中でよく見られる害虫の1つです。昔の文学作品にも出てくることから、古くから日本の家屋に生息していました。俳句では夏の季語として扱われています。
名前の由来
シミは「紙魚」「衣魚」とよばれる昆虫の1種です。昆虫なのになぜ魚という名前がついているかというと、動きが早くクネクネと逃げるさまが魚のように見えるからです。紙、衣の字は紙や衣類を加害することから使われています。またキラキラ銀色に光ることから「雲母虫(キララムシ)(キラムシ)」「箔虫(ハクムシ)」ともよばれます。英語では「silverfish」という名です。
紙魚の生態
紙魚は卵から幼虫になり、成虫も幼虫と同じ形です。脱皮を繰り返して7〜8年生きますが、サナギにはならず、少しずつ大きく成長します。見た目は銀色で細長く、1cm前後の体長、フナムシのような形で3本の長い尾と触角があることが特徴です。暗くて湿気のある場所を好み、平たい形状をしているため、どこからでも隙間に入りこみます。直射日光に弱く夜行性で、明るい昼間はあまり見かけることがないでしょう。
ボタニ子
ボタ爺
黒いのはヤマトシミ、銀色はセイヨウシミという種類だぞ。
紙魚の幼虫と成虫の違い
紙魚は幼虫と成虫で形態がほとんど変わらない無変態ですが、幼虫から成虫に変わる際に色の変化があります。生まれたばかりの幼虫は白く、成長するにつれて光沢のある銀色になります。成虫になる頃には銀色もしくは黒い金属のように鱗片のある姿になり、成虫になる年数は環境や個体によって違うようです。
被害
紙魚は書籍や紙類を食害することで知られています。特に糊で接着された紙類を好み、表面を浅くかじりとる特徴があります。ウールや絹の着物が被害にあうことがありますが、先にたとう紙のデンプン質の糊がついた部分が食べられていることが多いです。台所では乾物や小麦粉が被害にあいます。また食べ物が全くない状態でも1年近く生きられるほど、生命力の強さがある害虫です。
ボタニ子
紙魚は表面を薄く食害します。穴をあけてしまうのは別のシバンムシという虫だよ。
紙魚の発生原因
紙魚の好む条件は湿度が高く、暖かく、暗い場所です。湿度は70%以上、温度は21℃以上を好みます。このような条件が揃うと紙魚が大量発生しやすくなるでしょう。梅雨から真夏にかけては高温多湿になり、紙魚の好む環境になります。掃除をしていなくてホコリがたまっていたり、物があふれていたり、換気ができていなかったりすることも同様に紙魚の発生する原因になります。
紙魚の駆除方法
紙魚は直接人に害はありませんが、放っておくと大量発生してしまう可能性があります。見つけたら早めに対処しましょう。
つまんで駆除
部屋の中で紙魚を見つけたら、ティッシュでつまんで潰して対処しましょう。すばしっこいですが、捕まえられないこともありません。
市販の殺虫剤で駆除
エアゾール
殺虫剤
参考価格: 631円
紙魚を見つけたら、市販のエアゾール系の殺虫剤で駆除することができます。大量に発生している場合にも有効です。殺虫剤を紙魚のいそうな隙間に吹きかけておいてもよいでしょう。
くん蒸剤
虫コロリアースノンスモーク
参考価格: 797円
霧が部屋中に行き渡るタイプの殺虫剤は隅々まで効果があるので、大量発生の場合は効果的です。
ホウ酸ダンゴで駆除
ホウ酸
参考価格: 460円
紙魚を手作りのホウ酸団子で駆除できます。ホウ酸は有毒なので、子どもや赤ちゃんのいる家庭では注意が必要です。子どもや赤ちゃんがホウ酸をほんの少しでも口にすると、死に至る可能性が考えられます。ホウ酸ダンゴは紙魚の好きなじゃがいもを混ぜて作ります。作ったものを紙魚の出そうなところにおいておき、数日後回収して捨てましょう。
ホウ酸ダンゴの作り方
<材料>
じゃがいも:1個
ホウ酸:小さじ1
<作り方>
- じゃがいもを茹でてつぶす
- ホウ酸を加えてよくこねる
- ダンゴ状に丸めて完成、紙魚のいそうな場所に紙皿などにのせて設置する
ボタニ子
ホウ酸はドラッグストアやネットで購入できます。
ハーブで対策
ラベンダーオイル
参考価格: 1,680円
紙魚はハーブ類、特にラベンダーの香りを嫌がります。100%天然由来のラベンダーオイルを紙に染ませて置いておくと紙魚がいなくなります。殺虫剤を家の中でまくことに抵抗がある場合にはおすすめの方法です。
紙魚を発生させないための対策
紙魚を発生させないようにするには、紙魚の好きな場所を少なくすることが有効です。
湿気を防ぐ
紙魚は湿気があるところを好むため、湿気がこもらないように換気をし、部屋の風通しをよくしておきましょう。ジメジメした季節には、部屋で除湿機を利用するのも効果的です。
清潔を保つ
紙魚はホコリがたまった場所が好きなので、ホコリをためないように棚の裏や部屋の隅々を掃除するとよいでしょう。また必要のない段ボールや紙類をため込まないことも大切です。
防虫剤を置く
市販の防虫剤(パラゾールなど)は紙魚にも有効です。たんすやクローゼットなどで使う防虫剤を、クローゼット以外の場所で使ってみてもよいでしょう。
まとめ
紙魚は見た目が好ましくなく、紙や衣類、乾物などを加害しますが、人に直接は害のない虫です。しかし大量に発生してしまい、自分では駆除したくない場合は、専門業者に頼んで駆除してもらってもよいでしょう。
銀色の紙魚が一般的だけれど、黒い紙魚もいるよ。