アロエってどんな花?
観葉植物として人気のアロエが花を咲かせることは、あまり知られていないかもしれません。実はアロエの花が咲くことは珍しく、長く育てていても咲かせたことがない人もいます。そんな珍しいアロエの花の秘密を紹介します。
約500種類の原種がある
アロエには、約500種類の原種があります。多肉植物に分類されるアロエには、大きく分けると「観賞用アロエ」「食用アロエ」「薬としてのアロエ」の3つがあります。葉の形や色などはアロエの種類によって違いますが、効能や使い方も種類によって変わります。たくさんの種類があるアロエは、基本的にどれも育てやすく初心者にもおすすめです。しかし、種類によっては上級者でもうまく育てられないアロエがあります。
日本で有名なのはアロエベラとキダチアロエ
南アフリカを中心とした砂漠や草原などで広く見られるアロエは、気候が全く違う日本でも古くから人気があります。薬用効果があるアロエは日本で「医者知らず」と呼ばれているため、昔はどの家庭でも庭でアロエを育てていました。
原産地は南アフリカ
アロエの原産地は南アフリカです。南半球に位置しており、日本とは季節が真逆です。一年を通して紫外線が強いですが、冬は防寒着が必要なほど気温が下がります。自然豊かな国で、日本の気候とかなり違います。ただしアロエは比較的寒さに強く、豪雪地帯のような厳しい寒さでなければ直接土に植えて育てられます。水はけのよい土で育てることを心がければ、あまり手をかけなくても順調に育つのです。
不滅の植物
アロエの性質の特徴を一言で説明したのが「不滅の植物」です。南アフリカの強い紫外線にも、厳しい乾燥にも負けない強靭な生命力があります。太い茎の中にはたっぷりの水分を含んでいるため、乾燥が激しい砂漠でもたくましく成長します。しかも種類によっては高さ20mまで成長するアロエもあり、不滅の植物の理想ともいえるでしょう。
アロエの花はいつ咲く?
アロエの花は、いつが旬なのかが分かりにくいため、実際に見たことがある人も少ないのです。そこでアロエの花がいつ咲くのか、咲くための条件は何かなどを分かりやすく説明します。
開花時期は冬
さまざまな種類があるアロエの一般的な開花時期は冬です。日本で昔から人気のあるアロエベラやキダチアロエは、12月~3月に開花時期を迎えます。
苗の状態で咲くことはない
アロエの花が咲くのは、茎の先端部分です。したがって、苗の状態で花が咲くことはありません。なお、アロエの花が咲かせるためには、少なくとも高さが50cm以上になるまで育てる必要があります。
2.5cm以上の茎が開花の条件
アロエの花が咲くための条件には、茎の太さも関係します。種類によっても違いがありますが、茎の太さが2.5cm以上にならないとアロエの花は咲きません。
どんな色の花が咲く?
いろいろな条件がそろっていなければアロエの花は咲きません。しかし、うまく条件がそろえば初心者でも花を咲かせられます。どのような花を咲かせるのでしょうか。
色は鮮やかな赤やピンク
一般的にアロエの花は、鮮やかな赤い色をしています。筒状の花が密集して咲き、華やかな印象を与えます。また、ピンクの花も、アロエの花としては比較的よく見られます。華やかな赤とは違い、ピンクはかわいらしさが魅力です。
黄色やオレンジもある
種類によっては、黄色やオレンジの花が咲くアロエもあります。中でも「千代田錦」という和名を持つアロエ・ヴァリエガタは、珍しいオレンジ色の花を咲かせるため、観賞価値が高く人気もあります。「乙姫の舞扇」ことアロエ・プリカティリスも、橙赤色の花が咲かせます。ただしアロエ・プリカティリスの開花時期は冬ではなく、8月下旬から10月ごろです。さらに「明麟錦」ことアロエ・サポナリアも、オレンジ色の花を咲かせる種類です。茎の先端に筒状の花が咲き、日本でも人気があります。
アロエの効能
「医者知らず」で知られるアロエには、たくさんの効能があります。その効能は日本だけでなく、世界各国で認められています。
別名「不滅の植物」
「どんな病気やケガでもアロエがあれば治る」といわれるほど万能なアロエは、日本では「医者いらず」と呼ばれています。しかし、日本よりもさらに早くその効能に気がついていた古代エジプトでは、別名「不滅の植物」と呼ばれ、貴重な万能薬として使われていました。
クレオパトラも愛用者
世界三大美女のクレオパトラも、アロエ愛用者です。アロエには健康と美容に高い効能があります。それらの効能は健康と美を追求する彼女にとって願ってもないものばかりです。たとえば食用アロエは、肥満解消と美肌に効果があります。ゼリー状の葉肉を肌に塗ると美白効果が得られ、ニキビの治療にも有効です。スライスしたアロエをお風呂に入れれば、保湿効果が高まり潤いのある肌が叶います。まさにアロエは、健康と美を追求するクレオパトラにとって万能薬だったのでしょう。
観賞用ではほとんど効果がない
さまざまな効能を持つアロエですが、残念ながら観賞用のアロエではほとんど効果がありません。あくまでも観賞用のアロエは「見て楽しむアロエ」ですから、生薬としてのアロエの効能は期待できないのです。
アロエの花言葉
珍しいアロエの花にも花言葉はあります。「万能薬」といわれるほど高い効能を持つアロエの花言葉には、意外な言葉も含まれています。
万能
アロエが万能薬といわれるほど高い効能を持つと知った今なら、「この花言葉ほどアロエにぴったりな花言葉はない」と感じる人が多いでしょう。アロエそのものを表した花言葉です。
迷信
いくらアロエの効能が万能だといっても、すべての病気やけがに効くはずはありません。それでも医学が発展する前は「アロエさえあれば大丈夫」と信じていた人も多かったのでしょう。そのため、「万能というのはただの迷信だ」という皮肉を込めて、この花言葉が生まれたのかもしれません。
苦痛
「良薬は口に苦し」ということわざがあるように、万能薬であるアロエも苦みの強い植物です。そのため肌につけるとかぶれてしまったり、食べ過ぎるとお腹を壊したりすることもあります。そんなアロエの特徴から「苦痛」という怖い花言葉が生まれたのでしょう。
悲観
なにごとでも「これさえあれば大丈夫」と思い込んでいるときほど、期待を裏切られたときの落ち込みは激しいものです。きっと万能薬といわれたアロエに対しても、人々は同じような思いでいたでしょう。アロエは薬としての効果があれば「万能薬」、効果がなければ「ただの迷信」といわれるかわいそうな植物です。一喜一憂(いっきいちゆう)してしまう人間の様子がそのままアロエの花言葉になったのかもしれません。
終わりに
初心者でも育てやすいアロエですが、花を咲かせるには条件をクリアしなければいけないため、思っている以上にハードルが高いかもしれません。しかし、アロエの花は愛情をかけて育てれば必ず咲きます。興味のある方はぜひチャレンジしてみてください。