ベビーサンローズとは
多肉植物の一種
育て方や増やし方が簡単な多肉植物
ベビーサンローズはサボテンやアロエのような多肉植物の仲間です。ハマミズナ科の常緑性多年草で属名の「アプテニア」と呼ばれることもあります。多肉植物の中でも丈夫で育て方や増やし方も簡単な種類です。「ハナツルソウ」という和名もついていますが、原産国は南アフリカ東部です。
多肉植物とは?
葉や茎に水分を蓄える特徴がある
アフリカやメキシコなどの乾燥した地域に生育する多肉植物は、長期の断水に耐えるため葉や茎に水分を蓄える特徴があります。多肉植物は数千種類あるといわれ、肉厚でぷっくりとした葉がそれぞれ独特な色や形をしており観葉植物と並び人気があります。
ベビーサンローズの仲間
ベビーサンローズと同じハマミズナ科の多肉植物を紹介します。
マツバギク
マツバギク(松葉菊)は、菊のような花の形と細長い肉質の葉の形が松の葉に似ているところからその名が付けられました。花の大きさは約4cmで色の種類は赤、ピンク、オレンジ、黄色、白、紫と豊富です。マツバギクには開花時期が4月~5月のランプランサスと、開花時期が6月~10月のデロスペルマの2種類があり、デロスペルマは寒さに強く「耐寒マツバギク」と呼ばれています。
リビングストンデージー
リビングストンデージーは、日が当たると約5cmほどの大きな花を一斉に咲かせます。開花時期は4月~6月ごろで花の色は赤やピンク、黄色や白があり、肉厚の葉には透明な突起物がついています。カラフルな花を咲かせるマツバギクと似ていますが、花びらの色が内側と外側で二色に分かれているため花の色がより鮮明にひき立ちます。
ミルスベリヒユ
ミルスベリヒユは、ベビーサンローズと同じ南アフリカ原産の常緑性多年草です。ミルスベリヒユは主に熱帯域で広がっている植物で日本では沖縄県でよく見られます。海岸の岩場に生え、細長い多肉質の葉を持ち薄い紫色や白い花を咲かせます。
ベビーサンローズの特徴
暑さや寒さに強い
育てやすく繁殖力も強い
暑さに強く、多肉植物の中では寒さにも比較的強いのが特徴で温かい地域なら外でも冬を越すことができます。また育て方も簡単で繁殖力も強く放っておいても良く育つので、花壇やグランドカバーとしても利用されます。
マツバギクに似た小さな花を咲かせる
開花時期は6月~10月
ベビーサンローズの花の特徴は、マツバギクによく似ていて大きさは約1.5cmととても小さく濃いピンク色の花を葉の間にぽつぽつと咲かせます。基本的な開花時期は6月~10月ですが、常緑性多年草なので気温が良ければ年間を通して花を咲かせることもできます。
光沢のある肉厚の葉
地面を這うように広がる
ベビーサンローズの葉の特徴は、大きさは約2.5cmのへら型で葉の先が尖っています。水分を蓄えるため肉厚で柔らかく光沢があります。草丈は約5cmほどで茎はたくさん枝分かれし地面を這うように広がります。葉の種類は緑色だけの品種のほかに白い斑入りの品種があり、秋以降にはピンク色に紅葉します。
ベビーサンローズの育て方
栽培に適した環境は?
日当たりが良く水はけの良い場所
良く日が当たり、水はけの良い環境を好みます。もともと乾燥地帯に生育する多肉植物なのでジメジメしている場所では育ちが悪く枯れることがあります。日当たりや風通しの良い場所を選びましょう。
地植えや鉢植えの注意点
他の植物の影に入らないように気をつける
背丈の低い多肉植物なので、周りに背の高い植物があると影になり育ちにくくなります。他の植物と一緒に育てる場合は、日当たりを考え影をつくらないように注意します。鉢植えの場合は他の植物より高いところに置くとよいでしょう。
寒い地方では鉢植えやプランター栽培がおすすめ
寒さに比較的強い多肉植物ですが、霜にあたると枯れることがあります。霜が降りる寒い地域での栽培は、軒下や室内に移動ができる鉢植えやプランター栽培がおすすめです。またベビーサンローズは成長が早いので、株が大きくなってきたら根詰まりをおこしてしまう前にひと回り大きい鉢へ植え替えが必要です。
土選び
水はけの良い土を好む
ベビーサンローズは過酷な環境で育つ植物なので痩せた土でも育ちますが、乾燥を好むので水はけの良い土を使用しましょう。地植えで水はけが気になる場合は、腐葉土を土に混ぜて水はけの良い環境を作りましょう。
市販の培養土でも使える
鉢植えやプランター栽培ではホームセンターなどで販売している花野菜栽培用の土や、小粒の赤玉土と腐葉土を7対3の割合で混ぜたものを使用します。水はけを良くするためにパーライトを少し使用してもよいでしょう。
肥料や水やりの注意点
肥料は与えすぎない
肥料は真夏の暑い時期を除く生育期に液体肥料を月1回与える程度でじゅうです。肥料を与え過ぎると葉や茎だけが良く育ち、花が咲かなくなるのであまり与えないようにしましょう。
水やりは土が乾いてから
ベビーサンローズは乾燥を好むので、水をやりすぎると根腐れをおこし枯れる原因になります。水やりは土の乾き具合にもよりますが半月に1回くらいの間隔で十分でしょう。地植えの場合の水やりはとくに必要なく雨水だけでも育ちます。
枯れる原因は?
水やりの回数が多い
良い環境で育てていても枯れる大きな原因は、水のやりすぎです。水やりの回数を見直してみましょう。ベビーサンローズのような多肉植物はからだに水分を蓄えるので、多少の乾きには耐えられます。常に乾燥気味に育てましょう。
切り戻しのタイミング
伸びすぎてきたら切り戻しをする
ベビーサンローズは繁殖力が強いので放っておくとどんどん広がります。寄せ植えの場合は他の植物の生育場所まで浸食することもありますので、気になる場合は切り戻しをしましょう。切り戻した茎は挿し木として使えます。
切り戻しとは?
植物は茎や枝の先端にある新芽の成長を優先させる特徴があるため、下の脇芽や花が育ちにくくなります。先端の芽を取り除くことで脇芽の成長を促し分枝や花の数を増やし株全体のバランスを整えます。
切り戻しの方法
ばっさりと切り戻しをするときは、必ず株元に葉を残した状態で行います。葉がないと分枝する脇芽がないため枯れる原因になります。花がつくのは茎の先端部分なので、花のつきかたを考えながら切り戻しをしましょう。
病気や害虫対策は?
大きな心配はなし
ベビーサンローズは害虫の被害がほとんどなく病気の心配もありませんが、ジメジメした環境をつくってしまうとカビが発生することがあります。カビは根腐れをおこす原因になりますので水のやりすぎに注意しましょう。
真夏の時期の育て方
肥料は与えず風通しの良い環境を
真夏の暑い時期は花の開花が少なくなりますので肥料は与えないようにします。高温多湿に弱いので、葉がよく茂っている場合は根元が蒸れないように葉や茎を短めにカットするなど風通しの良い環境を作りましょう。
冬を越すための育て方
霜に気をつける
多肉植物の中では寒さに強い方なので、地植えでも冬を越すことができます。霜が降りる地域は枯れることがあるので霜よけを設置するとよいでしょう。鉢植えの場合は軒下や室内に移動させて冬を越します。室内でも日当たりが良く風通しの良い場所を選びましょう。
日光浴は忘れずに
冬の間は成長が遅くなりますが、日照時間の短くなる冬は特に日光浴が必要です。また春になって急に日に当てると葉が焼けてしまうことがあります。気温が零下に下がらない限り、天気の良い日は外で日光浴をさせてあげましょう。
ボタニ子
続いて、ベビーサンローズの花を咲かせるコツや、増やし方を紹介
*写真:ベビーサンローズ