アガベとは
アガベ(アガヴェ)は、インパクトのある見た目でガーデニングやインテリアとしても人気の、魅力的な多肉植物です。まずは、アガベの基本情報や特徴を見ていきましょう。
基本情報
科名・属名 | リュウゼツラン科・リュウゼツラン属 |
園芸分類 | 多肉植物 |
原産地 | アメリカ南部、中央アメリカ、南アフリカ大陸 |
草丈 | 10~200cm |
耐寒性 | 品種によりやや弱い~強い |
耐暑性 | 品種によりやや弱い~強い |
花色 | 白、オレンジ、緑ほか |
開花時期 | 夏 |
アガベの特徴
分布
アガベはメキシコやアメリカ南西部、中南米、西インド諸島などに自生しています。また、食用や観葉植物としての栽培も行われています。
和名はリュウゼツラン
アガベの和名は、リュウゼツラン(竜舌蘭)です。トゲのある葉が竜の舌のようであるところから名付けられました。「蘭」という文字が入っていますが、植物の蘭の仲間ではありません。
アガベ(アガヴェ)という名前は、ギリシャ神話の「アガウエー」という女性に由来し、ギリシャ語で「高貴」を意味しています。メキシコでは「マゲイ(maguey)」と呼ばれ、建材から石鹼まで、さまざまなものに利用されています。
葉色や形は品種によって異なる
アガベの葉は、厚い多肉質で先端がとがり、ロゼットの形に広がっています。葉色は、鮮やかな緑色、シルバーがかった緑色、斑入りなどさまざまです。基本的に茎は短いため、地表から葉が生えているかのように見えます。
生長がゆっくり
アガベは生長が遅く、あまり店頭にも並ばない希少な植物です。大きくなるまでに時間がかかり、開花には10年~数十年を要します。英語の別名「Century Plant(センチュリープラント)」は、開花までに100年(センチュリー=1世紀)かかるとの勘違いからつけられた名前です。
葉の中心部から長い花茎をのばし、先端に花を多数咲かせます。そして一度開花すると、枯死してしまうのが特徴です。花言葉には「気高い貴婦人」「繊細」があります。生長がゆっくりで、一度しか開花しないところを、高貴で繊細な魅力だと例えているのかもしれません。
テキーラの原料
アガベの品種の中でも、ブルーアガベの樹液は、シロップやお酒の原料になります。アガベシロップは、砂糖や蜂蜜よりも甘く、粘り気の少ない甘味料です。メキシコや南アフリカで主に生産されています。テキーラは、ブルーアガベの樹液を発酵・蒸留したお酒で、メキシコを代表するお酒として世界で愛されています。
テキーラはサボテンが原料のお酒と勘違いされることもありますが、アガベはサボテンの仲間ではありません。サボテンと同じように多肉植物で、トゲがある植物なので混同されたのかもしれません。もしくはメキシコのお酒ということで、サボテンのイメージを持たれたのかもしれませんね。
ブルーアガベがお酒の原料として利用できるようになるまでには、5年もかかります。もっと年数を重ねた大型のブルーアガベを使用したテキーラは、甘みがより強くなり、値段も上がります。また、「テキーラ」と名乗るには、定められたとても厳しい決まりを通過しなければなりません。それだけ貴重で奥が深い、魅力のつまったお酒なのですね。
アガベの種類
アガベは品種が豊富なことも大きな特徴のひとつで、それぞれに違う魅力を楽しめます。ここでは、なかでも特によく知られている人気品種を紹介します。
アオノリュウゼツラン
アガベを代表する品種で、学名アガベ・アメリカーナとしても知られています。シルバーがかった青い葉色のタイプがよく見られますが、緑色のものもあり、高さは4mにもなる大型です。開花までには30年以上かかります。
一般的に植物は、葉に斑が入っていない品種を基本種とします。しかし、斑なしのアオノリュウゼツランが、あえて「アオノ」と名付けられているのには理由があります。日本に最初に入ってきたのが斑入り品種だったため、すでにそちらをリュウゼツランと呼んでいたのです。そして、後から輸入された斑なしの基本種を「アオノリュウゼツラン」と呼ぶようになったのですね。
アガベ・アテナータ
とても育てやすく、インテリアとしても人気がある品種です。ハツミドリ(初緑)とも呼ばれています。草丈は約1mで、ほかのアガベと違って葉の先端にトゲがありません。10年~数十年すると、弧を描くように花茎が伸び、まわりに白い花をたくさん咲かせます。
フイリウスバリュウゼツラン
緑地に黄白色の斑が入った葉色が魅力的な品種です。形は細長くとがっており、トゲもあります。高さは2mほどになり、開花までには約40年かかります。
次のページでは、アガベの育て方と植え替え方法をご紹介します。