マンネングサとは
マンネングサは、日本を含むアジア、ヨーロッパ、アメリカ大陸など、世界の広い範囲に分布する多肉植物です。園芸の世界では「セダム」の名で親しまれ、非常に丈夫なため、一般的な鉢植えや寄せ植えはもちろんのこと、グランドカバーや緑化植物として利用される種類もあります。
マンネングサの基本情報
科名 | ベンケイソウ科 |
属名 | マンネングサ属 |
原産地 | アジア、ヨーロッパ、北アメリカ |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 強い |
生育期 | 春、秋 |
マンネングサの仲間
世界中で400種類近くありますが、園芸品種として改良された種類も多く、正確な種類数は分かりません。また似ている種類が多く、混同されて流通しているものも多いのが現状です。こちらでは、その中でも代表的な種類をご紹介していきます。
モリムラマンネングサ
原産地が不明ですが、栽培していたものが由来となって各地で定着している種類です。非常に丈夫で耐寒性も強いため、栽培品種としても人気があり、鉢植えや寄せ植え、グランドカバーと幅広く利用されます。春の終わりに黄色い小さな花を咲かせます。
黄金マルバマンネングサ
マルバマンネングサが変異した黄金葉品種です。もともとが日本原産のため育てやすく、明るい黄色が寄せ植えのアクセントになります。蒸れると葉に斑点が出ることがあるため、風通しのよい場所で管理しましょう。冬になると半落葉します。
ツルマンネングサ
名前の通り、茎がツル状に伸びて成長するマンネングサの仲間です。もともとは中国や朝鮮半島原産ですが、日本にも帰化植物として定着しています。非常に繁殖力が強く、鉢植えはもちろんのこと、グランドカバーとしても適した植物です。
サカサマンネングサ
「レフレクサム」の名で流通するマンネングサの仲間です。季節によって緑~赤色と色が変化するため、「カメレオン」の流通名もあり、各季節ごとの変化を楽しむことができます。北欧原産のため、日本の冬も問題なく越すことが可能です。
ウスユキマンネングサ
南ヨーロッパから中東にかけてが原産地で、「セダム・ヒスパニクス」の名前で流通するマンネングサです。黄色い花が多いマンネングサの中では珍しく白い花を咲かせ、冬になると紅葉するため、人気があります。
コーラルカーペット
シロバナマンネングサの園芸品種で、比較的大型に成長します。群生した株は冬の時期になると、名前の通り一面サンゴが広がっているかのように、赤紫色に色づきます。風通しと日当たりのよい場所で管理するのが密に群生させるコツです。
マンネングサの育て方
マンネングサは非常に丈夫な植物です。しかし間違った育て方をしてしまうと、本来の美しさや姿などを楽しむことができません。こちらでは、セダムを上手く育てるためのコツを紹介していきます。
育て方①用土
マンネングサを美しく育てるためには、市販の観葉植物用の用土を使用するのがおすすめです。多肉植物用の用土でも育てられますが、多肉植物用の用土では排水性がよすぎます。マンネングサは小さな種類が多いので、体内の水分量も少なく、排水性が良すぎるとしおれやすくなってしまうのです。
元肥は用土に合わせて
市販の観葉植物用の用土は、もともと肥料が入っているものと、入っていないものがあります。入っているものは元肥として肥料を入れる必要はありません。入っていないものは粒状の緩効性肥料を規定量混ぜて使用しましょう。
育て方②植え替え
マンネングサの植え替えは春と秋が適しています。丈夫なマンネングサといえど、夏の暑すぎる時期と、寒い冬はなるべく避けるようにしましょう。特に生育期の初期である春先と夏の終わりに植え付けると、厳しい夏や冬を迎える前にしっかりと根を張ることができます。
植え替え方法
マンネングサの植え替え方法は、最初に古い鉢から抜いて土をよく落とし、清潔なハサミで根を1/3ほどに切り詰めます。新しい鉢の半分ほどに用土を入れ、苗を仮置きして調整したら、周りに用土を追加して植え付けましょう。最後に鉢をトントンと叩くと用土が落ち着きます。
植え付け後の水やり
新しい鉢にマンネングサを植え付けたら、水やりはせずに数日間は半日陰で管理します。根っこを切られてすぐに水を与えると、切り口から雑菌が入り病気になることがあるので注意してください。数日後に水やりを再開し、徐々に日の当たる環境へと移動させます。
育て方③置き場所
グランドカバーになる種類も多いマンネングサは、置き場所にそれほど気を使わなくても大丈夫です。しかし、美しく仕立て上げるためには季節ごとに適した置き場所に移動させることが必要となります。こちらでは、季節ごとの置き場所をご紹介していきます。
春~秋の置き場所
生育期である春~秋の時期はしっかりと太陽の光を浴びせましょう。南向きで光がしっかりと当たる場所が適しています。この時期に健康的に成長させることで、寒い時期に紅葉をさせることができます。雨がかかる場所でも問題ありませんが、梅雨の時期は雨が避けられる軒下などで管理をしたほうが美しく育ちます。
冬の置き場所
マンネングサは耐寒性が強い種類がほとんどで、冬でも屋外で育てることが可能です。しかし、霜や雪に長時間当たってしまうと枯れてしまうこともあるため、霜が当たらない軒下や室内の南向きの窓辺などが適しています。天気予報を見て、冷え込みそうな日だけ避難する形でも大丈夫です。
育て方④日々の管理
水やり
春と秋は用土が乾いたらたっぷりと水やりをしましょう。たっぷりと水やりをすることで、鉢の中の老廃物が流され、生育が促進されます。また夏の間は、水やりの回数が多いと蒸れてしまうことも多いため、朝や夕方にサッと水やりをする程度にします。冬の間は断水気味にし、半月に1回程度、暖かい日の日中に軽く水やりを行いましょう。
追肥
生育期の間は、定期的に追肥をすることでより成長を促すことができます。追肥には市販の液肥が便利です。半月に1度程度、水やりを兼ねて既定の量に薄めた液肥を根元にかけてあげましょう。冬の間は生育が止まるため、追肥をすると逆効果になるので注意してください。
病気・害虫対策
丈夫なマンネングサは、適切な環境下では他の多肉植物に比べて病気や害虫の被害にはあいにくい植物です。しかし、風通しの悪い場所や、ジメっとした場所ではアブラムシなどの害虫が発生しやすくなります。アブラムシは病気を媒介するため、適切な環境で栽培して予防をしましょう。
マンネングサの増やし方
マンネングサは丈夫で成長スピードが早く、増やし方もとても簡単です。こちらでは、挿し木と株分けの2つの増やし方をご紹介していきます。自分が育てている植物を増やしていくのも栽培の楽しみ方の一つです。
増やし方①挿し木
マンネングサの最も手軽な増やし方が挿し木です。種類によってはちぎれた茎から再生するほど生命力が強いため、数本の挿し穂からでも鉢いっぱいに増やすことができます。伸びすぎてしまった苗を仕立て直すときにも有効です。挿し木をする場合は、生育期の初期である春と秋の始めにしましょう。
挿し木の方法
再生力が強いマンネングサの挿し木は、まず親株をカットして数cmの挿し穂を作ります。葉が多い種類の場合、用土に埋まる部分の葉を取り除き茎だけの状態にしましょう。数日切り口を乾燥させた後、用土に挿したら軽く水やりをして発根を待ちましょう。
増やし方②株分け
鉢いっぱいに成長したマンネングサは、植え替えを兼ねて、株分けをするのがおすすめです。丈夫なマンネングサも、混み入ったまま栽培すると通気性が悪くなり、蒸れてダメージを負ってしまうこともあります。株分けをすることで、鉢内を適切な量に調整しながら、新たに増やすことができます。
株分けの方法
株分けをする際はまず、鉢から苗を抜き、傷つけないように根をほぐして好みの量に分けます。その後は植え替えのときと同じ要領で鉢に植え付けていきます。マンネングサは成長が早く、すぐに鉢いっぱいになってしまうこともありますので、少し足りないかなと思う量でも十分です。
まとめ
マンネングサは栽培が容易で、それほど手間もかかりませんが、手間をかけてじっくりと育てることで、より美しく育てることができます。種類も多く、コレクションをしてそれぞれの違いを楽しむのも楽しみ方の一つです。ぜひこの機会にマンネングサの栽培にチャレンジしてみてください。
出典:写真AC