マンダリンとは
「マンダリン」とは、かんきつ類のマンダリンオレンジやマンダリンホテル、マンダリンカラーなどよく聞かれる言葉です。今回は、日本以外でも使われているマンダリンの語源や由来についてご紹介します。
マンダリンの語源
「マンダリン」の語源は、ポルトガル語で「命令する者」や「大臣」などを意味する「mandarin(マンダリン)」という言葉で、中国の明朝時代ごろから清朝時代の官僚のことを呼ぶときに西洋人が使っていたものです。
マンダリンの由来
ポルトガル語の「mandarin」は、サンスクリット語の「Mantri(マントリ)」(指導者)という言葉が由来になっているとされています。「Mantri」は、かつてマレーシアやシンガポールを支配していたマラッカ王国を建国する時によい働きをした臣下の子孫にあたる貴族を呼ぶ言葉で、これがポルトガル語に取り入れられたといわれています。
マンダリンの意味
「マンダリン」は、日本ではかんきつ類のものを指す言葉として使われています。しかし、この言葉はもともと中国の官僚を指す言葉で、かんきつ類のマンダリンの名前の由来にもなっていたのです。このように「マンダリン」という言葉には、いくつかの意味があります。そこで今回は、「マンダリン」という言葉の意味をご紹介します。
マンダリンの意味①中国の官僚
1つ目は、中国清朝までの時代の「官僚」という意味です。これは当時アジアで貿易などをしていた西洋人が中国やベトナムの高位の官僚のことをポルトガル語で「mandarin(マンダリン)」と呼んでいたことが由来とされています。
マンダリンの意味②中国語
2つ目は、中国の普通語(標準語)のことを指す北京語のことです。中国は多民族国家なのでさまざまな言葉が使われています。1911年の辛亥革命後、北京語を中国の普通語(標準語)として制定されました。この中国語の普通語のことを英語では「マンダリン語」といいます。マンダリン語はかつて「マンダリン」と呼ばれていた官僚の人たちが仕事の時に使っていた公用語「北京官話」という言葉が現在マンダリン語は中国だけでなく、台湾・香港・シンガポールの公用語としても使われています。
マンダリンの意味③マンダリンオレンジ
3つ目は英語で中国原産のミカンという意味です。なぜこの言葉が使われているのかというと、中国のミカンがマンダリンと呼ばれていた中国の官僚が身につけて服の色に似ただいだい色だったことに由来しています。
マンダリンの意味④ホテル
4つ目ははホテルグループの名前にも使われているものです。「マンダリン・オリエンタルホテルグループ」は香港を拠点としたイギリス系の世界的なホテルチェーングループです。マンダリンホテルのはじまりは、1963年に開業した「マンダリンオリエンタル香港」で、ビジネスマンと観光客の両方をターゲットとして作られました。中国のマンダリン(大臣)をもてなすような最上のサービスを提供することを目標としていることから「マンダリン」という言葉を名前に取り入れたともいわれています。
マンダリンオレンジとは
マンダリンオレンジとは、欧米人が指すものと日本人が指すものとでは違いがあります。ここでは、英語で呼ばれているマンダリンオレンジと日本で一般的なマンダリンオレンジについてご紹介します。
マンダリンオレンジの基本情報
学名 | Citrus reticulate |
和名 | マンダリン・マンダリンオレンジ |
英名 | Mandarin orange |
分類 | ミカン科ミカン属 |
原産地 | インド(アッサム地方) |
分布 | インド・中国・日本・アメリカ・中近東・地中海地方など |
花 | 白色 5月~6月に開花 |
果実 | 秋~冬に甘くだいだい色の実が生る |
利用 | 果肉:食用 皮:薬用(陳皮) 精油:香料・アロマオイル |
マンダリンオレンジとオレンジの関係とは?
マンダリンオレンジは、「オレンジ」という名前が付いていますがカリフォルニアオレンジなどのオレンジの仲間ではなく実はミカンの仲間なのです。「マンダリン」という言葉は清朝時代の中国の官僚が着ていた服の色から付けられたもので、中国産のミカンのことを英語で「マンダリンオレンジ」と呼ぶようになりました。
マンダリンオレンジと温州ミカン
マンダリンオレンジはインドのアッサム地方が原産で、中国に伝わり栽培されるようになりました。中国では温州産のミカンが最上のものといわれていて、その温州産のミカンが1600年ごろ日本に伝わったとされています。その後、鹿児島県出水郡の長島という島で温州産のミカンの突然変異が生まれ、これが現在の温州ミカンのはじまりだといわれています。
カラマンダリンとは
日本で「マンダリン」として一般的に知られているものは「カラマンダリン」と呼ばれる種類のかんきつ類です。カラマンダリンは、1935年(昭和10年)にカリフォルニア大学のフロスト博士が尾張系温州ミカンとキングマンダリン(ミカンとオレンジの交配種)を交配して生み出した品種で、日本には1955年(昭和30年)に導入されました。カラマンダリンは4月~5月が旬で、甘みが強く皮が手で向けるほど薄いのが特徴なので、手軽に食べることができる人気の高いミカンの仲間です。
まとめ
「マンダリン」という言葉は、中国の清朝時代までにいた官僚が語源になっていて、そこから官僚が着ていた服の色や官僚が使っていた言葉からできた現在の中国の標準語などさまざまな意味へと広がっていきました。日本ではカラマンダリンというかんきつ類のことを指す言葉なので、外国の人とマンダリンについて話す時には誤解が生じないよう、ぜひ覚えておいてください。