金柑の概要
金柑は中国原産のミカン科キンカン属の果樹です。樹高は約3mほどに育ちます。日当たりのよい場所を好み、水やりも夏場に土が乾燥したらあげる程度で済み病気にも強いため、初心者でも簡単に栽培ができます。食用や民間療法の薬用、観賞用として古くから人気のある果樹です。
金柑の基本情報
名称 | 金柑(きんかん) | 科目 | ミカン科キンカン属 |
原産地 | 中国 | 収穫時期 | 1月~3月 |
栽培難易度 | 初心者向け | 生育環境 | 日当たりのよい場所を好む |
金柑の旬
金柑が美味しい旬は「冬」です。金柑を日本で主に生産しているのは宮崎県、鹿児島県で、栽培は温室栽培やハウス栽培、露地栽培で行われます。温室栽培の金柑は早いと11月ごろに収穫され、露地栽培の金柑は1月~3月ごろに収穫されるため、スーパーや青果店などの店頭には旬である11月~3月ごろまで並びます。
金柑の保存方法
金柑は常温で1週間ほど保存できますが、長持ちさせたい場合は金柑が乾燥しないようビニールやフリーザーバックなどに入れて野菜室で保存します。冷蔵保存では2週間ほど保存が可能です。金柑を乾燥させてしまうと香りや味が落ちるため、早めに食べましょう。長期保存する場合は軽く水で濡らして急速冷凍させ、調理する場合は甘露煮やジャムするとよいでしょう。
ボタニ子
冷凍の場合は2カ月ほど保存が可能です。
金柑の栄養・効能
栄養・効能①風邪予防・疲労回復
金柑には多くの「ビタミンC」が含まれています。ビタミンCは風邪予防や疲労回復に効果があるといわれ、肌や粘膜の形成にも必要不可欠な栄養素です。また金柑には咳止めの効果があるといわれる「シネフリン」が含まれています。寒い時期は風邪をひいたり、暖房などからの乾燥で肌も荒れがちになったりするため、金柑を食べることでそれらの予防につながるでしょう。
栄養・効能②高血圧予防
ビタミンPともいわれる「ヘスペリジン」は、金柑の皮部分に含まれる栄養素です。ヘスペリジンは高血圧の原因になる活性酸素を抑え、ビタミンCの吸収を高めるといわれます。血行を促進する効果も期待できるでしょう。
栄養・効能③整腸効果
金柑はまるごと食べることが多いため、皮やスジなどを余すことなく摂取できます。金柑の皮や白いスジの部分には多くの「食物繊維」が含まれており、腸内環境を整えるともいわれています。金柑の摂取で腸内環境が整うと、便秘解消などの嬉しい効果が期待できるかもしれませんね。
栄養・効能④リラックス効果
金柑などの柑橘類に含まれる芳香成分には、ストレスの緩和やリフレッシュの効果があるといわれています。そのため、柑橘類はアロマオイルなどにもよく利用されます。金柑は煮ても香りがよいのが魅力です。生で食べるとよりフレッシュな香りが楽しめます。
栄養・効能⑤骨や歯をつくる
金柑は果実では珍しくカルシウムを豊富に含みます。カルシウムは骨や歯のもととなり、神経の興奮や緊張をやわらげる効果があるとされます。
ボタニ子
果物でカルシウムが含まれているものって初めて聞いたかも!金柑は栄養満点だね。
金柑の品種
品種①ニンポウキンカン
名前 | ニンポウキンカン (寧波金柑) |
別名 | ネイハキンカン メイワキンカン (明和金柑) |
特徴 | 生食用 果実は卵型 |
味 | 甘い |
ニンポウキンカンは寒さや病害虫に強いとされ、初心者にも栽培しやすい品種です。品質がよいことから、生食用に市販されている多くの金柑がこのニンポウキンカンだといわれています。
品種②マルミキンカン
名前 | マルミキンカン (丸実金柑) |
別名 | マルキンカン ヒメタチバナ (姫橘) |
特徴 | 果実が球形で小さい 枝にトゲがある |
味 | 甘い |
マルミキンカンは、どんどん分枝(ぶんし)して成長します。若い枝にはトゲがあるため注意が必要です。夏~秋に白い花をたくさん咲かせ、秋が終わるころに2cmほどの球形の小さい実をつけます。
品種③ナガミキンカン
名前 | ナガミキンカン | 別名 | ナガキンカン キンキツ(金橘) |
特徴 | 果実は長球形 枝にトゲはほぼない |
味 | 酸味が強い |
ナガミキンカンは、果実の重さが10~12gほどで長球形をしています。ほかの品種の金柑にくらべて形が特徴的でわかりやすいです。種の数が少なく生食用として販売されていますが、酸味が強いのも特徴のひとつです。
品種④マメキンカン
名前 | マメキンカン | 別名 | キンズ(金豆) |
特徴 | 観賞用 盆栽に利用される トゲがある |
味 | ー |
マメキンカンは、1gほどの小さな果実を実らせる観賞用の品種です。茎にはするどいトゲがあるため、取り扱う際には注意が必要です。盆栽として園芸店に並びます。
品種⑤チョウジュキンカン
名前 | チョウジュキンカン | 別名 | フクシュウキンカン (福州金柑) フクジュキンカン (福寿金柑) |
特徴 | 果実が大きい 観賞用 |
味 | 酸味が強い |
チョウジュキンカンは、果実が1個あたり30~40gほどとほかの品種の金柑よりも大きく、酸味が強いため食用には不向きといわれています。チョウジュキンカンは別名「福寿金柑」ともいわれ、縁起物として観賞用や干支の飾り物と一緒に装飾用として用いられます。
品種⑥プチマル
名前 | プチマル | 別名 | ー |
特徴 | 種無し金柑 小ぶり |
味 | 甘い |
プチマルは、農林水産省が育成した種のない品種です。ナガミキンカンと四倍体ネイハキンカンを交配して作られました。種がなく小ぶりのため子どもも食べやすく、生食でも美味しいのも魅力です。
ボタ爺
いろんな品種があるんじゃな!食用じゃないものもあるから注意が必要じゃな!
出典:筆者撮影