甘夏とは
甘夏とは、大分県の果樹園で突然変異によりうまれた、柑橘類の果物です。果樹園の持ち主である、川野豊氏によって栽培されたため「川野夏橙(カワノナツダイダイ)」が正式な呼び方です。柑橘類の中でも甘みが強く夏に収穫時期を迎えることから、甘夏柑や夏ミカンなどとも呼ばれています。この記事では、甘夏の特徴やおいしく食べられる方法を紹介します。
甘夏の基本情報
科目 | ミカン科ミカン属 |
原産地 | 日本 |
開花時期 | 4~5月 |
収穫時期 | 1~3月 |
主な産地 | 鹿児島、熊本、愛媛など |
夏ミカンと呼ばれることがある
夏ミカンは、5月頃に収穫されるミカンの仲間のことをいいます。この夏ミカンの木が成長途中で変異してできた果物が、甘夏といわれています。夏ミカンは酸味が強く、色づきも遅いため、栽培数が少なくなりつつあり、現在では甘夏のことを夏ミカンとさすことが多いです。
甘夏の特徴
品種にもよりますが、一般的な甘夏は冬に出回るミカンに比べるとやや黄色みがかった皮の色をしています。その皮は厚いので、手でむくのは一苦労です。味は、甘味と酸味のバランスがよく、やや苦みを感じる場合があります。野菜との相性もよく、サラダのトッピングに用いるのもおすすめですよ。
甘夏の品種
甘夏の品種には「紅甘夏」や甘夏と文旦をかけ合わせた「駿河エレガント」、突然変異からうまれた「新甘夏」などがあります。それぞれの栽培地域の特産品として扱われており、ふるさと納税の返礼品として受け取れます。品種による違いをチェックして、食べ比べてみてください。
品種名 | 特徴 |
紅甘夏 | 皮が濃いオレンジ色をしていて、甘味が強い。鹿児島県の特産品。 |
新甘夏 | 甘夏の突然変異でうまれた品種。サンフルーツや、ニューセブンなど地域によって呼び方が違う。 |
駿河エレガント | 酸味が少なく、さわやかな甘みが特徴。静岡県の特産品。 |
甘夏の旬
甘夏の旬は、3~5月頃です。甘夏の収穫は1月頃からはじまりますが、その頃はまだ酸味が強く食べられません。収穫後に追熟させてから出荷されるため、春になってからおいしく食べられれます。
おいしい甘夏を見分けるポイント
甘夏は、皮に張りがあってヘタが緑色のものがおいしい証拠です。皮につやがあるかどうかも、確認します。品種によって色に違いがありますが、どの品種もしっかり色づいているものを選びましょう。
こんな甘夏は要注意!
皮に張りがなくヘタが茶色い甘夏は、食べ頃を過ぎてしまったものです。また、手に持って軽いと感じたものも果汁が少なく、中がスカスカの可能性があります。
おいしい甘夏のポイント
- 皮が張っていて、つやがある
- ヘタが緑色
- 重みを感じるものがよい
甘夏に含まれる栄養
甘夏は、ビタミンB群やカリウムを多く含みます。体内の代謝を高め、不要な水分を排出するため、むくみの予防や肌の健康を保つことに期待が持てます。また、疲労回復にも役立つとされるクエン酸を多く含むのも特徴です。甘夏は、健康を保つのにぴったりの果物といえます。
甘夏の食べ方
皮のむき方
甘夏は皮が厚く、手でむこうとしても指が入らないことがあります。ナイフやオレンジの皮をむくためのカッターを使うのが便利ですよ。ここでは、ナイフを使った基本的な皮むきの方法を紹介します。
フルベジ オレンジカッター
参考価格: 484円
オレンジなど、硬い皮をむく専用のカッターです。むきにくい皮も、スルッとむけてストレスを感じられません。1本あると便利ですよ。日本製というところもうれしいポイントです。
皮のむき方
- ヘタがついていないほうに、十字に切り込みを入れる
- 切り込みに指をいれて、外側の皮をむいていく
- 内側の白い薄皮を手でむく
ボタニ子
甘夏は、やや大きめの種が入っているよ。誤飲しないように、取り除いてね!
内側の白い皮に、苦みを感じる成分が含まれています。苦手な人は取り残しがないように、気をつけてください。
甘夏の保存方法
甘夏は、冷暗所で常温保存します。日持ちしますが、2週間ほどを目安に食べ切りましょう。購入した甘夏を追熟させたい場合にも、常温で保存してください。ダンボール箱などで保存する場合は甘夏を新聞紙で包み、隙間ができないように詰めるのがポイントです。
冷蔵はNG!
甘夏は、冷蔵庫に入れると苦みが増します。皮も乾燥してしなびてしまうため、おいしくありません。涼しい場所を確保できないなどの場合は厳重にラップで包み、皮がしなびる前に食べましょう。
冷凍はOK
甘夏は、冷凍保存が可能です。冷凍保存する場合は、皮をむき、保存袋を使いましょう。氷の膜が甘夏を乾燥から防いでくれます。凍らせた甘夏は、シャーベットのような食感を楽しめますよ。暑くなり始める初夏のおやつにぴったりです。
甘夏のおすすめレシピ
甘夏は、果肉だけではなく皮も調理に使えます。野菜や肉との相性もよいので、甘夏を使ったアレンジレシピを楽しむのもおすすめです。甘夏を使ったおいしい食べ方を3つ紹介します。
レシピ①ジャム
ジャムは、甘夏の皮も余すことなく楽しめる調理法です。甘夏の皮の苦みが苦手という人は、使用する皮の量を減らしましょう。熱湯消毒をした清潔なビンに入れて冷蔵庫で保存します。1カ月ほど保存可能なので、甘夏をたくさん手に入れたときに作ってみるのもおすすめです。
材料
- 甘夏:15個
- 砂糖:1袋
作り方
- 皮をむいた甘夏と砂糖を鍋にいれて、中~弱火で煮る
- 15分ほど煮込む
- 水分がなくなり、とろみがでてきたら完成
- 粗熱がとれたら、清潔なビンに詰めて冷蔵保存する
レシピ②甘夏のフルーツソース
甘夏を使ったオレンジソースは、パンケーキなどのスイーツのほかにサラダや肉との相性がよく、さっぱりとした味わいが楽しめます。作り方のポイントは、甘夏に砂糖を加えてから1日おいておくことと、果肉を壊さないように皮をむくことです。ぜひ、透き通ったきれいなソースを作ってみてください。
材料
- 甘夏:2個
- グラニュー糖:果肉量の40%
作り方
- 皮をむいて取り出した果肉と砂糖を袋に入れて、1日ほど置く
- 1を鍋に入れて、あくを取りながら中火で15分ほど煮たら完成
レシピ③甘夏ケーキ
甘夏を皮ごと使った、さわやかな酸味とほろ苦い味わいが楽しめるケーキのレシピです。ヨーグルトを加えると、しっとりと仕上がります。苦みが苦手な人は、皮の分量を減らしましょう。そのまま食べてもおいしいですが、はちみつをかけて風味の変化を楽しむのもおすすめです。
材料
- 薄力粉:100g
- 砂糖:50g
- ベーキングパウダー:小さじ1
- 卵:1個
- ヨーグルト:85g
- バター:大さじ3
- 甘夏:1個
- はちみつ:適量
作り方
- 甘夏は果汁を絞り、皮はすりおろしておく
- バターを電子レンジで溶かす
- 卵、バター、ヨーグルト、甘夏の皮と果汁を混ぜあわせる
- 薄力粉、砂糖、ベーキングパウダーをふるい入れて、混ぜあわせる
- ケーキ型に生地を入れて、170℃に予熱しておいたオーブンで30分焼く
- つまようじをさして生地がつかないようなら、粗熱をとってから冷蔵庫で冷やして完成
バターがない場合は、マーガリンで代用できます。牛乳パックにクッキングシートを敷くとケーキ型になりますよ。
まとめ
甘夏は皮が厚いため、果肉にたどり着くまでが大変ですが、さっぱりとしていておいしい果物です。日持ちもするので、食べるまでの間、テーブルなどに置いて香りを楽しむのもおすすめです。ぜひ、旬のうちにおいしい甘夏を味わってください。
甘夏のさわやかな香りは、リラックス効果があるといわれています。ぜひ、香りも楽しんでみましょう!