アブラナ科の野菜とは?
アブラナ科野菜には、普段の食事で頻繁に消費する野菜が多いです。手ごろな値段でいろいろな料理に使える便利な野菜ですが、病気の予防や健康維持に有効な成分を多く含んでいます。また、辛味や苦みがあるのもアブラナ科野菜の特徴で、香辛料や薬味にも使われます。
基本情報
学名 | Brassicaceae Burnett |
分類 | アブラナ目アブラナ科 |
英名 | Cruciferae Family |
アブラナ科の野菜の種類【根菜類】
アブラナ科に属する根菜類は、普段使いできる野菜が多いです。アブラナ科野菜の特徴である辛味や苦みの強い種類が多いですが、素材そのもののおいしさを楽しむ煮物やサラダに適した種類もあります。特に辛味や苦みの強い種類は、香辛料や薬味として人気です。
根菜類①ダイコン
生育適温が17~20℃の大根は、気温が低い時期に旬を迎えるアブラナ科野菜です。ダイコンの辛み成分は種類や部位で変わります。そのため種類や部位によって食べ方や調理法を変えるのが、ダイコンを食べる際のポイントです。ダイコンは根だけでなく葉も食べられますが、主な栄養成分は部位によって異なります。
主な栄養素 | 【根】ナトリウム、カリウム、βカロテン、イソチオシアネード 【葉】カロテン、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン |
特筆すべき効能 | 食物の消化吸収を助ける、殺菌、頭痛、鼻詰まり、鼻血、口内炎、虫歯、肩こり、神経痛、冷え性、保湿効果、糖尿病による痒み緩和 |
根菜類②カブ
カブは、スズナ(鈴菜・菘)、カブラ、カブラナなどさまざまな別名を持つ、アブラナ科の根菜類です。品種改良が盛んにおこなわれた野菜で、地域ごとに特徴の異なる地域品種があります。主に食用とするのは根ですが、葉も食用可能です。しかもダイコンと同じく、カブの葉も栄養成分が豊富に含まれています。
主な栄養素 | 【根】アミラーゼ、ビタミン類 【葉】βカロテン、ビタミンC、カリウム、カルシウム |
特筆すべき効能 | 抗酸化作用 |
根菜類③ラディッシュ
ラディッシュは、和名がハツカダイコンというアブラナ科の野菜です。収穫までの栽培期間が短いことが、和名の由来といわれています。実際の平均栽培期間は20日ではなく30日が平均です。ラディッシュには、美容と健康維持に効果が期待できる栄養が多く含まれています。水分が多く食感もよいので、生食がおすすめです。
主な栄養素 | ジアスターゼ、ビタミンC、βカロテン、葉酸、食物繊維 |
特筆すべき効能 | 消化不良の改善、胃酸過多、胃もたれ、胸やけ |
根菜類④ワサビ
ワサビは、アブラナ科特有の辛み成分を持つ野菜です。ワサビの辛味はアリルイソチオシアネートによるもので、体内に潜む病原菌だけでなく、食物の殺菌にも高い効果があります。特徴的な辛味に注目が集まるワサビですが、爽やかな香りも魅力の野菜です。
主な栄養素 | アリルイソチオシアネート、スルフィニル、チオヘキシル |
特筆すべき効能 | 消化・吸収の促進、消臭、抗菌、新鮮物の鮮度保持効果 |
アブラナ科の野菜の種類【葉菜類】
アブラナ科野菜の中で種類が多いのが、葉野菜です。日常使いする葉野菜の多くはアブラナ科の仲間ですが、種類によって特徴が違います。アブラナ科野菜の特徴である辛味や苦みが強い種類もありますが、加熱することで甘みが増す種類も多いです。
葉菜類①キャベツ
キャベツは「食べる薬」といわれるほど、薬効成分を多く含む野菜です。これはキャベツの祖先が、有効な薬効成分を豊富に含んでいるケールであることと関係しています。そんなキャベツはアブラナ科野菜の中でも、特にイソチオシアネードの含有量が多いです。
キャベツの薬効を期待するなら食べすぎは禁物
キャベツにはさまざまな薬効を持つ栄養成分が含まれていますが、食べすぎは逆効果です。特にキャベツには体内の熱を放出させる作用があるため、食べすぎると深部体温を下げるリスクがあります。キャベツは加熱しても薬効が期待できるので、冷え性の人はみそ汁やスープの具材にするのがおすすめです。
主な栄養素 | ビタミンC、ビタミンU、ビタミンK、葉酸、カリウム |
特筆すべき効能 | 胃潰瘍、十二指腸潰瘍、止血作用、血液中のカルシウムイオン増加、胸やけ、吐き気、食欲増進効果、整腸作用、抗菌活性、抗炎症作用、高血圧、肥満、痛風、下痢、聴覚不全、頭痛 |
キャベツには胃潰瘍や十二指腸潰瘍を改善する効果があり(抗潰瘍因子)、その名前にちなんだ医薬品も開発されました。
キャベツの汁には、以下の2つが確認されています。
①胃潰瘍や十二指腸潰瘍の治療を短縮すること
②小腸や大腸の炎症に効果があること
葉菜類②ハクサイ
全体の約95%が水分のハクサイは、アブラナ科野菜の特徴である辛味や苦みはほぼありません。含まれる栄養成分の種類は多いですが、それぞれが少量ずつ含まれているのも特徴です。100gあたり14kcalと低カロリーですし、加熱すると甘みが増すため、ダイエット食材に適しています。
主な栄養素 | ビタミンB群、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン |
特筆すべき効能 | 消炎作用、高血圧、のぼせ、腸管の消化促進と代謝促進、食欲増進 |
葉菜類③クレソン
クレソンはアブラナ科オランダガラシ属の野菜のため、和名を「オランダガラシ」といいます。ワサビと同じく清流で栽培する水生植物ですが、栽培方法の研究により近年は大量生産や家庭菜園が可能です。辛みとほのかな苦みを持つクレソンは、脂肪の過剰摂取も抑制するため、脂っこい料理や肉料理のつけあわせに適しています。
主な栄養素 | ミロシナーゼ、カルシウム、マグネシウム、ビタミン類、食物繊維 |
特筆すべき効能 | 利尿効果、食欲増進 |
葉菜類④コマツナ
小松菜は、苦みと辛味を持つアブラナ科の葉菜類です。ホウレンソウと栄養成分が似ていますが、ホウレンソウほど灰汁がないので、生でも食べられます。生で食べるのが苦手な場合は、みそ汁やスープにするのがおすすめです。この方法なら加熱に弱いビタミンCも効率よく摂取できます。
主な栄養素 | カリウム、βカロテン、ビタミン類、カリウム、鉄 |
特筆すべき効能 | 浸透圧の調整、ナトリウムの排出 |
葉菜類⑤芽キャベツ
芽キャベツは1本の茎に平均40~50個の実をつけるため、「子持ちキャベツ」という別名があります。ミニキャベツともいわれますが、キャベツと違い苦みと灰汁があるため、加熱調理して食べるのが一般的です。栄養成分も豊富で、中でもビタミンCはキャベツの4倍も含んでいます。
主な栄養素 | ビタミンC、ビタミン類、葉酸、カロテン、イソチオシアネード |
特筆すべき効能 | 抗酸化作用 |
葉菜類⑥ミズナ
ミズナは冬が旬の葉菜類です。苦みやえぐみがないのでサラダにしてもおいしいですし、冬の旬食材なので鍋の食材にもなります。調理がしやすいので炒め料理もできますが、ミズナに多く含まれるビタミンCは加熱すると壊れやすいため、生食がおすすめです。
主な栄養素 | ビタミンC、カリウム、葉酸 |
特筆すべき効能 | 抗酸化作用 |
葉菜類⑦チンゲンサイ
チンゲンサイは、ビタミン類と葉酸を豊富に含んでいる葉菜類です。肉厚で水分を多い茎は、油で炒めるとシャキシャキとした食感が楽しめます。苦みや辛味がないので、葉菜類が苦手な子どもでも食べやすく、野菜不足の解消におすすめです。
主な栄養素 | ビタミンC、ビタミンA、カルシウム、葉酸 |
特筆すべき効能 | 抗酸化作用 |
引用元:聖マリア医科大学