コブシの花によく似た花と見分け方
早春に真っ白い花をつけるこぶしの花は咲く時期に注目するのが簡単な見分け方なのです。しかし、全国各地が生育地の植物なので地域によって開花時期も違い、似た植物と見分けにくいことがあります。そこでこぶしの花とよく似た花やつぼみをつける植物を4種と、こぶしの花との見分け方をわかりやすく紹介します。
①シデコブシ
こぶしの花と開花時期が重なるシデコブシは、本島中部地域の中でも愛知・岐阜・三重の一部にしか生育していない絶滅危惧種に指定されている植物です。別名「ヒメコブシ」と呼ばれる落葉樹ですが木丈はそれほど大きくないので、生育地では庭木として栽培されることもあります。
見分け方
シデコブシとこぶしの花の見分け方は、花弁の枚数と花弁の長さをチェックする方法がおすすめです。こぶしの花は短い花弁が6枚しかないので全体的に小ぶりですが、シデコブシは細長い花弁が15枚前後つくためボリュームがあります。さらにシデコブシは薄紅色の花もあるため、花の色の違いが見分け方のポイントです。
②タムシバ
タムシバは四国や九州など温暖でやや乾燥した地域を好む、落葉小高木です。生育地ではこぶしの花よりも開花時期が早いのですが、全国各地でみられる植物ではないためこぶしの花のような知名度はありません。なおつぼみや花の形・開花時期などがこぶしの花と酷似するため、見分け方が難しい植物としても有名です。
見分け方
タムシバの見分け方のポイントは「生育地」と「葉の有無」の2つです。全国各地でみられるこぶしの花に対して、タムシバは本州中部以北ではほとんど見られません。さらに花弁の数や大きさ・色はこぶしの花にそっくりですが、タムシバは花の下に葉がついていないので葉の有無でも見分けられます。
③モクレン
全国各地に分布しているモクレンは、こぶしの花に並ぶ人気の植物です。落葉小高木なので街路樹や公園などでよくみられますが、庭木としても人気があります。なおモクレンは薄い紫色の花なので色の違いで見分けられるのですが、こぶしに似た植物には薄い紫色の花を咲かせる種類もあるため、初心者は間違えやすいです。
見分け方
薄い紫色がモクレンの花の特徴ですが、こぶしの花も基部に紫色の筋が入っています。そのため白色が強いモクレンの花とこぶしの花の見分け方は難しいのですが、一般的なモクレンの花は全体が薄い紫色をしているため、色の違いで見分けるのがポイントです。
④ハクモクレン
ハクモクレンはコブシの木と同じく、北海道から九州まで全国に分布する植物です。落葉樹なので冬になると葉が落ちますが、3月には花が咲きます。栽培もしやすく開花したときの花の香りがよいことから、公園や街路樹だけでなく庭木としても人気があります。
見分け方
ハクモクレンはタムシバの次に見分けるのが難しい植物です。花が咲く時期や花弁の枚数、さらに花の色も同じなのでほとんど見分けがつきません。ただし木丈が最大6mのタムシバに対してコブシは10m以上の高木なので、木丈から判断することができます。さらに花の下に葉がついていないことも、こぶしの花との違いです。
こぶしの花の花言葉
こぶしの花の花言葉は、花が咲くまでの形や実の形、色の特徴が由来にあります。なお地域によってもこぶしの花の花言葉には違いがあるのですが、共通しているのは「愛らしさ」「友情」「信頼」「友愛」「歓迎」で、いずれの花言葉も人に関係しているのが特徴です。
「愛らしさ」の花言葉とは?
咲く前のこぶしの花は、つぼみの頃のぎゅっと握りしめた拳のイメージとは違い、小さな子供が軽く手を握っているような愛らしさがあります。そんな開花前の柔らかい印象が、「愛らしさ」というこぶしの花言葉のイメージにぴったりあいます。
「歓迎」の花言葉とは?
早ければ3月上旬に満開の季節を迎えるこぶしの花は、雪解けの山に春が訪れるのを歓迎するかのように華やかに咲きます。春の澄んだ青い空に真っ白い花を無数につけるこぶしの花は、見る側を楽しませるだけでなく自らも春の訪れを喜んでいるようです。そんなこぶしの花には「歓迎」という花言葉がよく似あいます。
「友情」の花言葉とは?
こぶしの花の色は、一片の曇りもない美しい白い色をしています。嘘や偽りがある様子を表す言葉には「曇り」や「影」が使われますが、「純白」には無条件で信じられる強い意志も感じられます。そのため真っ白い花をつけるこぶしの花には、「信頼」という力強い花言葉がつけられているのでしょう。
こぶしの花によく似ているため、見分け方が難しい植物。