こぶしの花の特徴
こぶしの花は、独特な花の形や漢方薬の原料として有名なことに名前の由来があるのが特徴です。それ以外にもさまざまな特徴がありますよ。春の訪れを甘く爽やかな香りとともに伝えてくれるため、満開の季節を楽しみにしながら栽培している人も多いです。そんなこぶしの花には、あまり知られていない特徴もあります。
①形
つぼみの状態のこぶしの花は、「拳」の和名の通り硬く握りしめているような形をしています。開花の時期に近づくにつれ少しずつ花弁は広がりますが、満開になっても花の大きさはそれほど大きくありません。花弁は6枚なので遠目からはサクラのように見えますが、花のすぐ下に葉が1枚ついているのがこぶしの花の特徴です。
つぼみの形も特徴的
こぶしの花のつぼみは、花とは違ったかわいらしさがあります。小さなつぼみには産毛のような小さな毛に覆われ、太い枝にしがみつくようにして冬を過ごします。このときのけなげに耐えるつぼみを1度でも見れば、暖かな春風に吹かれて気持ちよさそうに花を咲かせる様子がより愛しく感じられるようになるかもしれません。
②色
早春の青い空に生える美しい白が、こぶしの花の色の特徴です。遠目から観察すると白1色に見えるのですが、近くで観察すると花弁の基部がうっすらと紫色の筋が入っているのがわかります。ただし基部の筋はよほど近くで観察しない限り見えにくいので、初心者が基部の色でこぶしの花を見分けるのは難しいです。
③庭木としての開花時期
日本が原産地のこぶしは北は北海道、南は九州まで広く分布しています。ただし気候区分よって開花時期が違うため、庭木としての開花時期も気候区分でずれがあります。なお気候区分が暖地の地域では3月、温暖地では4月、寒地・寒冷地では5月が庭木の開花時期の目安です。
3月にこぶしの花が開花するエリア
気候区分が暖地に分類されるエリア(年間の平均気温が15℃~18℃の地域)では、3月中旬~3月下旬が庭木のこぶしの花の開花時期です。主に九州・四国・中部地方がこの条件に該当しますが、首都圏や関東地方でも平野部・丘陵地では3月中に花が咲くこともあります。
4月がこぶしの花が開花するエリア
温暖地と寒地が入り混じる関東甲信越地方や中部地方・東北地方の一部では、4月上旬から庭木のこぶしの花が咲き始め、4月下旬まで花が楽しめます。さらにこぶしの花の開花時期終盤は寒地のサクラの開花時期と重なるため、タイミングがあえば同じ時期にコブシとサクラの開花が楽しめます。
5月にこぶしの花が開花するエリア
寒冷地にあたる北海道では、早い地域では4月中旬~5月下旬、遅い地域でも5月上旬~5月下旬に庭木のこぶしの花が開花時期のピークを迎えます。なお北海道ではこぶしの花のことを「キタコブシ」と呼ぶのが主流で、庭木の販売コーナーでも「キタコブシ」の名前で販売されます。
④食べられる
民間薬や漢方薬には乾燥させてから使うこぶしの花は、採りたてであれば花を食べることもできます。初春は山菜狩りが始まる季節でもあるので、旬の山菜と一緒に薄く衣をつけて天ぷらにすると美味しいですし、こぶしの花の天ぷらは見た目にも春を感じられるので季節限定のおもてなし料理にもおすすめです。