トチノキってどんな樹木?
トチノキの基本情報
トチノキは北海道、本州、四国、九州の山地帯に分布する落葉高木です。樹高は20~25m、直径は1m以上になることもあります。適度に水分のある土壌を好み、自然の状態では谷筋などに多く自生することが特徴です。近縁種である西洋トチノキのことをフランス語で「マロニエ」と呼ぶため、トチノキも「マロニエ」と通称されることもあります。
学名 | Aesculus turbinata |
分類 | トチノキ科トチノキ属 |
形状 | 落葉高木 |
樹高 | 20~25m |
花期 | 5~6月 |
分布 | 北海道、本州、四国、九州の山地帯の谷筋など |
近縁種 | 西洋トチノキ(Aesculus hippocastanum) |
トチノキの特徴
トチノキは、葉の形や大きさ、花や実などについても、ほかの樹木には見られない特徴があります。ここでは、トチノキのさまざまな特徴について解説します。
葉の特徴
トチノキの葉は10~20cmの楕円形の葉が6~7枚程度、まるで手のひらのように集まった形をしており、このような形状の葉を掌状複葉(しょうじょうふくよう)といいます。木も大きいですが、葉っぱも大きく、葉っぱ全体で50cmくらいになるのが特徴です。葉の縁にはギザギザとしたノコギリ状の鋸歯(きょし)がみられます。
花の特徴
トチノキは5月~6月頃に花を咲き、1~2cmの小さな花が集まった花穂が円錐状の形になるのが特徴です。円錐状の花穂が一斉に立ち上がって咲く姿はとても美しく、人々に愛されてきました。トチノキの蜜はミツバチが好むため、花の時期になるとトチノキの花にはたくさんのミツバチが訪れます。
実と種子の特徴
トチノキの実の季節は初秋です。いがの中には通常2~3個の実が形成されており、熟してくると、割れて種子を落とします。種子はドングリに似ていますが、球体に近い形をしている点が特徴的です。種子にはサポニンという有毒の成分が含まれるため、野生動物はほとんど食べることはありませんが、人間は古来より種子をアク抜きをして食用にしてきました。通称「とちの実」と呼ばれます。
ボタニ子
ボタ爺
人間は古来からトチノキをふんだんに利用してきたのじゃ。
トチノキは栃木県の「県木」
栃木県にはトチノキにちなんだ名前が多い
トチノキは栃木県の県木として、1966年に認定されました。栃木県内には「マロニエプラザ」や「トチノキファミリーランド」などトチノキにちなんだ名前の施設や観光スポットなどが数多く存在します。バスなどの公共機関にも「とちのき号」や「マロニエ号」などの名称が採用されており、県庁所在地である宇都宮駅や県庁周辺にはトチノキの街路樹が多いのも特徴です。
トチノキにちなんだマスコットキャラクター
栃木県には「とちまるくん」というマスコットキャラクターがいます。2011年に栃木県で開催された第24回「スポレク"エコとちぎ"」のイメージキャラクターとして2009年にデビューした後、栃木県のイメージキャラクターとして定着しました。「栃木県庁前の栃の木から生まれた」という設定です。
トチノキは「モチモチの木」のモデル?
「モチモチの木」は1972年に発表された児童文学作家の斎藤隆介氏と切り絵作家の滝平次郎氏の作品です。教科書にも掲載されました。「モチモチの木」のモデルとなった樹がトチノキです。作品の中で実を餅にして食べるとほっぺたが落ちるほどおいしいというくだりがあり、子どもの頃にどんな餅なのかなあと想像を膨らませた方も多いのではないでしょうか。
次のページからはトチノキの育て方について解説していきます。
とちの実ってトチノキの種子のことだったんだね!