キハダとは
外皮を削ると黄色いコルク質の樹皮が現れる黄檗(キハダ)の木、健胃や整腸のための漢方薬、湿布薬、スキンケア成分、染料などさまざまに利用される頼もしい樹木です。そんなキハダについてくわしく見ていくことにしましょう。
基本情報
科 | ミカン科 Rutaceae |
属 | キハダ属 Phellodendron |
学名 | Phellodendron amurense |
英名 | Amur Corktree |
和名 | キハダ(黄檗、黄蘗、黄膚、黄柏) |
別名 | キワダ、ニガキ |
生薬名 | オウバク |
分類 | 落葉高木 |
分布 | 北海道、本州、四国、九州、朝鮮半島から中国東北部の山間部 |
キハダの名前の由来
黄檗、黄蘗、黄膚、黄柏、どれもキハダを表す漢字です。すべてに黄という文字が充てられる理由はキハダの木の皮の色にあります。もっとも外側の樹皮と木部の間にある内皮が目を惹くような鮮やかな黄色なので、「黄色い肌」からキハダとなりました。
京都の黄檗駅の由来
京都に黄檗(おうばく)という駅がありますが、この名前の由来は仏教の黄檗宗に由来し、駅の近くには、黄檗宗の大本山である萬福寺があります。
別名
和名の黄柏(キハダ、黄色いカシワの意)が訛って「キワダ」と呼ばれるようになり、黄檗はキハダの漢名でオウバクともキハダとも読みます。また、鮮やかな黄色の内皮に強烈な苦い味があることからニガキと呼ばれることもあります。
学名
キハダの学名Phellodendron amurense(フェロデンドロン アムレンセ)のPhellodendronは、ギリシャ語でフェロス「コルクガシ、コルク」+デンドロン「樹木」、amurenseは「アムールの、アムール産の」の意味です。この学名はキハダの樹皮がコルク質であることに由来します。
分布
日本では北海道から本州、四国、九州、沖縄の全土に分布し、アジア東北部の朝鮮半島、中国(河北省から雲南省)、台湾、ヒマラヤの産地に自生します。
植物としての特徴
キハダは樹高10~20mほど、雌雄異株の落葉高木です。目通り(目の高さで測る立木の太さ)は30cmほどにもなります。葉は対生、奇数羽状複葉、小葉は約6~7枚、長さ5~10cmほどの長楕円形で縁は波状、裏側は白っぽいのが特徴です。
花と実の特徴
キハダの開花時期は5月末~7月初旬ごろ、枝先に円錐花序に多数の小さな黄緑色の花をつけます。果実は核果で直径約10mmの球形、未熟では緑色、成熟すると黒褐色になります。核の部分は柿の種のような形です。完熟した実はミカン科特有の香りと少し苦い味をもち、「シケレペ」と呼ばれアイヌ料理の食材として使用されます。
樹皮の特徴
外樹皮は縦に深い溝がある淡褐灰色で、内樹皮は鮮やかな濃黄色で肉厚のコルク質です。このコルク質の樹皮をはがして乾燥させると、生薬のオウバクとなり、薬用としての利用の他、染料としても古くから活用されてきました。漢方薬はもちろん、キハダのエキスはスキンケア成分としても利用されます。この樹皮に苦い味の成分が含まれます。
次のページではキハダの効能と利用法についてご紹介します。
出典:筆者撮影