タラノキとはどんな植物?
みなさんは、タラノキという植物を見たことはありますか。タラノキは、ウコギ科タラノキ属に属する植物です。沖縄・奄美・小笠原など離島以外の日本各地に自生するほか、朝鮮半島・中国(主に中南部)・千島列島・サハリンなどにも自生が確認されています。成長しても2~5mの高さに留まるのが特徴です。冬は、枝や葉を殆ど落としてしまうので、まるで立ち枯れしているように見える植物です。
山のバター
早春になると、日本料理店の中には山菜料理を出す店が数多くあります。中でもタラの芽の天ぷらや酢味噌和えは、大変人気が高い一品です。その濃厚な味わいは、料理通をして山のバターと呼ばれています。今では、市中の青果店で当たり前の様に並ぶタラの芽で、最近は人工栽培する農家も増えましたが天然物は激減し、都内高級スーパーの中には天然物のタラの芽が1パック3,000円前後で販売されるなど高級食材となっています。
別名タランボ
タラの芽は、早春の2月中旬~4月中旬にかけて生えます。その中でも、最も早く生えた若い新芽は「タランボ」と呼ばれます。主に北海道・東北地方でタランボと呼ぶそうですが、九州地方でもタラの芽の新芽をタランボと呼ぶ地域もあります。その年一番に採れたタラの芽の新芽は、かなり広い地域でタランボと呼はれるようです。
そのほかにも別名がある
タラノキは、別名で呼ばれることの多い植物です。とげが多いタラノキは原種に近いものとして「ノダラ」と呼ばれます。これに対し、原種の中でとげが少なく、芽の採取用として農家が栽培している物は「メダラ」と呼ばれます。一般に農家で栽培されているタラノキは、その殆どが人工栽培で株分けられた「メダラ」です。
カリウム&食物繊維たっぷりなタラの芽
タラの芽には、非常に多くのカリウム(100g当たり260mg)が含まれています。カリウムは摂取することで、体内の塩分を外に出す効果があり、高血圧症やむくみ症状の改善が見込めます。また食物繊維の含有量も非常に高く(100g当たり水溶性1.1g・不水溶性2.5g)腸内環境の改善が期待できます。
皮がお茶や薬になる
タラノキは、タラの芽が食用になるだけではありません。樹皮は乾燥させ、タラノキ茶として美味しく飲めます。また樹皮・根皮を乾燥させたものは、生薬として流通しています。一日三回生薬を煎じて飲むと、血糖値が下がるだけでなく、糖尿病や腎臓病の症状改善が期待できます。ただし体を温める作用があるため、のぼせやすい方や妊婦の方の服用は、避けてください。
タラノキを見分ける特徴とは
通常は国内の低木林や里山などに原生しているタラノキですが、タラの芽も含めて似かよった姿の植物も多いので、一般人が簡単に見分けるのは難しいと言われます。では、素人でも簡単にタラノキを見分けられる特徴はどのようなものでしょうか。
姿や形が似ている植物が多い
タラノキは、幹に鋭いとげがあるのが特徴ですが、その特徴に似た植物が数多くあります。ハリハギがよくタラノキと間違えられることが多いそうです。同じウコギ科の植物ですが、ハリハギのほうがとげが鋭く、葉っぱの裏が白くなく細長いそうです。また、山椒の仲間のカラスサンショウも、よくタラノキと間違えられます。タラノキは、中身がスカスカなのに対し、カラスサンショウは履物の材料にされるほどしっかりしています。
タラの芽も似ている植物もある
タラの芽も、似ている植物が多いことで知られています。タラの芽と共に食用となり、タラの芽の代用品として知られるコシアブラの芽が最も有名ですが、そのほかにヤマウルシの芽やヤマブドウの芽も、見様によってはタラの芽と間違うケースがあります。
見分ける最大の特徴は「とげ」と「葉の裏」
日当たりの斜面や林道脇に生えているのがタラノキと言われますが、最近は自生状況が変化し、必ずしもそうとも言えません。そこで、タラノキを見分ける最大の特徴として紹介したいのが「とげ」と「葉の裏」です。タラノキのとげは、幹だけでなく茎・葉全体に広がっています。さらにタラノキの葉の裏は白く、産毛が生えています。この特徴は、見分ける決定的な特徴としてチェックしておきたい点です。
出典:写真AC