エンバクの用途
エンバクは、昔から食品や飼料用として、また緑肥としてなど、さまざまな用途で栽培されてきました。実には私たちの体に欠かせない栄養が豊富に含まれているうえ、葉や茎には畑の土に必要な栄養成分をため込んでいます。また、野菜のそばに植えることで、センチュウなどの害虫から野菜を守る効果があります。
オートミールの原料
エンバクの実を脱穀し、押しつぶして作られるのが、オートミールです。アメリカなど世界各国では、フルーツと合わせたグラノーラが主に朝食でよく食べられています。また、おかゆにして食べることもでき、ポリッジと呼ばれています。こちらは昭和天皇が朝食として食べていたことでも知られています。栄養豊富なエンバクを朝食で食べることは、健康を維持するコツでもあったのです。
ダイエットに特に効果的
エンバクは、穀類の中でも特に低いGI値を持つことで知られている、ダイエットに人気の食品です。GI値とは、含まれる糖類がどのくらいの速度で体内に吸収されるのか、ということを表す値です。つまり、GI値が低いものほど太りにくい、ということです。高い栄養成分と低いGI値を併せ持つエンバクは、ダイエットに最適の穀物といえます。
飼料としての用途も多い
またエンバクは、家畜の飼料として用いられることも多くあります。特に、同じく古くから飼育されてきた馬にとっては代表的な飼料です。食物繊維が豊富でデンプンが少ないエンバクは、現代でも多くの競走馬のために栽培されています。また、エンバクは成長が早いため、馬や羊の放牧にも利用されています。
猫草にも使われる
エンバクはまた、猫草としてもよく利用されています。猫草とは、猫が飲み込んでしまった毛を毛玉として出したり、排泄をよくするために食べる草のことです。特に草丈の低いイネ科の植物をよく食べるため、成長が早くあまり草丈が大きくならないエンバクは最適です。
緑肥としても大人気
エンバクはまた、緑肥としても用いられます。緑肥とは、収穫が終わったあとの畑に植える植物のことで、成長したあとそのまま畑にすき込んで利用します。エンバクは成長が早く、また光合成で作った栄養をそのままため込んでいるので、畑にすき込むと連作障害を防いでくれます。
エンバクの栽培方法
エンバクは、主に畑の緑肥のために栽培されます。緑肥としては、土に与える栄養が豊富なほか、害虫を抑制するという効果もあります。また、猫草を自分で育てたいという人は、プランターで育てることもできます。また、病気に強い品種が多いため、初心者にもおすすめです。
種まき時期は春夏2回
エンバクの播種(はしゅ)時期は年2回、春まきと夏まきに分かれます。種をまいて2カ月ほどで収穫を迎えます。ただし、耐寒性が低く冬越しが苦手なため、寒冷地では早めにまくことをおすすめします。麦類の中では水気を好むので、水やりはたっぷりと行うようにしましょう。
畑にはすじまきがおすすめ
エンバクを畑にまくときには、ばらまきをするのでなく、すじまきにするのがおすすめです。ばらまきの場合、収穫がしづらく手間がかかり、また見た目も休耕田のようになりがちです。猫草用のプランター栽培の場合は、プランター一面に密集するようにまくと、見た目もよく猫も食べやすいのでおすすめです。
緑肥や敷きわらなど使い道はさまざま
エンバクは成長が早く、2ヶ月もすると茶色く色づいて収穫時期をむかえます。他の麦と同じように切ってから乾燥させ、脱穀をします。茎や葉の部分は敷きわらとして、野菜の根元にほどこすことができます。一方、緑肥としての用途の場合は、まだ葉が青いうちに土にすき込みます。上の方から細かく裁断していき、土の中に混ぜ込んで利用します。
おすすめの品種は「極早生スプリンター」
極早生スプリンター【タキイ種苗】
【緑肥】 タキイ種苗 えん麦 ネグサレタイジ
参考価格: 503円
緑肥として利用するときにおすすめの品種は、「極早生スプリンター」です。他の品種に比べて栄養が豊富で、とても丈夫な畑になります。また、成長がとても早いので、暖地であれば秋のはじめにまいて冬のはじめにすき込みをする、ということも可能です。
まとめ
エンバクは、古くから人間の身近なところで育ってきた植物です。病気に強く、やせた土地でもよく育つため、寒い地域の人々の生活を長らく支えてきました。馬の飼料や畑の緑肥のほか、オートミールやポリッジにすることで食べることもできます。栄養豊富でダイエットにも効果的なため、今人気を集めています。
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出典:写真AC