ほかの品種との違い
ここでは「ぶどう山椒」「朝倉山椒」「高原山椒」の香りと風味などの違いを比較してみましょう。それぞれに特有の特徴がありますよ。
ぶどう山椒 | 朝倉山椒 | 高原山椒 | |
香り | 柑橘系+甘い香り | 柑橘系の香り | 強い |
風味 | ピリッと刺激的 | マイルド | 強い |
大きさ | 大 | 中 | 小 |
生産地 | 和歌山県有田川町 | 兵庫県八鹿町 | 岐阜県高山市 |
その他 | 薬用成分多い・生産性高い | 棘なし・歴史古い | 深い緑色・長期保存 |
香り
ぶどう山椒には、柑橘系のスッキリとした香りのほかに、他の山椒よりも成分が多く含まれている「ゲラニオール」によりバラのような甘い香りを楽しめます。ただ爽やかなだけではなくその中にほのかな優しさが漂う香りは、ほかの山椒にはない特徴の一つです。
風味
ぶどう山椒は、強い刺激と辛みが特徴です。山椒の刺激を効かせたい料理に使うと、その存在感は圧倒的です。マイルドな味を楽しみたいのであれば朝倉山椒を、香りと風味のバランスを味わいたいのであれば高原山椒がおすすめです。
収穫時期による特徴
ぶどう山椒には、「生山椒」「乾山椒」の時期によって特徴やおすすめの加工方法が異なります。ここではそれぞれの旬の時期と特徴・食べ方を詳しくお伝えします。
開花時期(4月~5月)
特徴
4月になると5mm弱の花房がつき、黄色い花を咲かせます。またこの時期の若葉を収穫して食用として利用できます。
利用方法
雄木の花は「花山椒」と呼ばれ、佃煮にして薬味に利用されます。花山椒・粗挽き胡椒・七味唐辛子を加えて炒ってから麺つゆを加えて絡めると完成です。豆腐や焼肉などの薬味に使うとおいしいですよ。また、この時期の若葉は「木の芽」としてタケノコなどに和えて使います。調理する前に少し叩くと葉の油室から成分が飛び出すため、より強い香りを楽しめます。
初期(5月~6月)
特徴
初期のぶどう山椒は明るい緑色をしており、種も柔らかくそのまま生でも食べられます。香りや風味がさわやかで、山椒が苦手な方でも食べやすいでしょう。「生山椒」や「青山椒」と呼ばれます。
利用方法
生山椒は種のまま佃煮やペースト・塩づけにしたり、ぬか漬けに入れて風味づけをしたり防腐効果を高めたりする場合に使います。加工する前には、茹でてから冷水に1時間~2時間漬けておき下処理を行いましょう。佃煮にするには下処理した生山椒に水と酒・醤油・みりんを加え、汁が少なくなったらみりんで照りを出して仕上げます。
中期(7月~8月)
特徴
実が充実してきて大きく成長します。この時期の山椒は「乾山椒」と呼ばれ、乾かした後に枝や種を取り除いてから加工されます。香りが強く風味も辛みが強くなります。
利用方法
この時期の山椒は皮が固くなるため、乾燥させて粉山椒などの香辛料や漢方の原料として利用されます。家庭で粉山椒を作る場合は、実山椒を1/3程度に乾燥させてから種を取り除いて、コーヒーミルまたはすり鉢などで細かく粉砕しましょう。時間が経つと香り・風味とも落ちてしまうのでなるべく早く食べきります。最近ではミル付きの粒山椒も販売されていますよ。
後期(9月~10月)
特徴
この時期の山椒は「赤山椒」と呼ばれ、緑色だった果実が黄~赤色に変化します。樹木に負担がかかるため赤山椒を作っている農家が少なく大変貴重な山椒です。緑の時期よりもすっきりとした辛さが特徴です。
利用方法
乾燥させて種を取り除き、粉山椒として加工します。えぐみや渋みが少なく山椒本来のすっきりとした味を存分に楽しみたい方におすすめです。ウナギのかば焼き・うどん・そばなどはもちろん、麻婆豆腐に使うとピリッとした辛みがきわ立っておいしいですよ。
その他
山椒は実だけではなく木も利用されます。堅く解毒効果がある木はすりこぎとして昔から愛用されてきました。冬場の水分量が少ない時期に剪定して、1年ほど乾燥させてから加工します。
まとめ
ぶどう山椒は和歌山県が原産地であり、実が大きくぶどうのようになる見た目から名付けられた山椒です。芳醇な香りとしっかりとした風味が特徴であり、時期によってさまざまな商品に加工されています。味だけではなく、基礎代謝が上がる効果があるぶどう山椒を日々の生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。いつもと違った料理のおいしさが広がりますよ。
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朝倉山椒出典:写真AC