はじめに
植物は、古くから人間の生活に彩りをそえ、人の営みになくてはならないものでした。そのようすは神話や伝承にもつづられています。この記事では、日本やギリシャなどの神話に出てくる植物を紹介します。
日本神話に出てくる植物2選
春夏秋冬の季節がはっきりとしている日本は、その豊かな自然を反映するように、神話にもさまざまな植物が登場します。ここでは、日本神話に登場する有名な植物を2つ紹介します。
日本神話に出てくる植物①桃
日本神話の代表ともいえる、イザナミとイザナキの神話に出てくる重要な植物の1つが桃です。死んでしまった妻・イザナミを黄泉の国まで迎えに行ったイザナキは、見るなといわれた妻の死後の姿をのぞき見してしまいます。怒ったイザナミがイザナキを追いかけ、いよいよ捕まりそうになったときに、桃の実を投げつけて打ち勝ったという神話が残されています。
桃の基本データ
学名 | Amygdalus persica |
科名 | バラ科 |
属名 | モモ属 |
原産地 | 中国中北部 |
草丈・樹高 | 2~4m |
開花時期 | 3~4月 |
花色 | 白、ピンク |
桃の特徴
桃は、中国原産の落葉中高木です。歴史の古い植物で、原産地の中国では3000年前から食用として栽培されていたといわれています。春の季節に華やかな白~ピンクの花を咲かせ、みずみずしい実をつける桃は、災いを避ける神聖な植物として扱われてきました。日本に伝わった時期は現時点では不明ですが、少なくとも縄文時代には渡来していたといわれています。
桃の花言葉
桃の花言葉は「私はあなたのとりこ」「気立ての良さ」「天下無敵」です。桃の華やかな花が女性を思わせることや、邪気を払う魔よけの植物と考えられていたことから、このような言葉が生まれたといわれています。
日本神話に出てくる植物②ガマ
日本神話を知らなくても、因幡の白兎は聞いたことがあるという方は多いのではないでしょうか。一羽のウサギが、サメをだまして海を渡ろうとしましたが、最後の最後でサメを馬鹿にしてしまいます。怒ったサメに皮をはがれて泣いているところを、通りかかったオオクニヌシに助けられ、ウサギはオオクニヌシに予言をします。このときにウサギの治療に使われたのが、ガマの穂でした。
ガマの基本データ
学名 | Typha latifolia |
科名 | ガマ科 |
属名 | ガマ属 |
原産地 | 日本、インド、オーストラリア |
草丈・樹高 | 1.5m~2m |
開花時期 | 7月~9月 |
ガマの特徴
ソーセージのようなふわふわとした穂が特徴のガマは、水辺に自生する植物のひとつです。名前の由来は、花穂の形が鎌のようであることから名づけられたといわれています。夏から秋の季節に開花し、その後見慣れた特徴的な穂の状態になります。古くから、食用・傷薬・生薬・むしろの材料などに利用されており、人の生活に密着してきた植物といえるでしょう。
ガマの花言葉
ガマの花言葉は「素直」「救護」「予言」「従順」「慈愛」などです。オオクニヌシと因幡の白兎の伝説に由来し、このような言葉が生まれたといわれています。