父への感謝を伝える「父の日」
父の日とは、家族のために日々奮闘している父親に対して、感謝の気持ちとともにプレゼントや花束を贈る日のことです。日本では6月の第3日曜日に制定されています。親に感謝する日という意味では母の日と同じですが、制定されたのは母の日よりも少し後のことです。
母の日が祝われた最初の日は、1908年5月10日とされているよ。1914年に正式にアメリカの記念日になったんだ。
国によって違う父の日
日本の場合、父の日といえば6月の第3日曜日ですが、父の日は国によって異なっています。たとえばイタリアやスペインなどのカトリック信仰が盛んな国の父の日は3月19日です。3月19日がイエス・キリストの父・聖ヨセフの日であることから、この日を父の日としました。ドイツでは「昇天日」という国の休日が父の日です。
昇天日は、キリストの復活を祝う復活祭の39日後の木曜日のことだよ。
キリストが復活後、天へあげられたことを記念するキリスト教の祝祭日です。ドイツのように国の休日に制定している国もあるんですよ。
父の日の起源
父の日を始めた人物は、ソノラ・スマート・ドッドというアメリカ人女性です。1909年に亡き父ウィリアムのために父の誕生月の6月に礼拝したのが、父の日が生まれるきっかけになったといわれています。そのきっかけは、南北戦争の勃発にありました。
6人の子供を育て上げた父
ソノラが幼かったころ、アメリカで南北戦争が勃発しました。父が戦争に召集されたため、ソノラを含めた6人の子供たちは母が1人で育てることになったのです。やがて戦争が終結し、父も家族のもとへ帰ってきましたが、長年の無理がたたって母はまもなく亡くなってしまいました。以降は父が、再婚もせずに1人で子供たちを育てます。その父も、子供たちが全員成人した後に亡くなりました。
「母の日」のように
当時すでに、母に感謝する「母の日」が始まっていました。ソノラは自分をずっと守り育ててくれた亡き父を思い、牧師教会へ「母の日のように、父に感謝する日を作りましょう」と嘆願し、ついに1910年6月19日に初めての父の日の祝典が行われます。この活動は次第に認められていき、1966年にアメリカは6月の第3日曜日を「父の日」と定め、1972年に正式に国の記念日としました。
母の日が記念日に制定されたのは1914年だったから、50年以上の差があるんだよ。
父の日が母の日に比べて影が薄いのも、この差の大きさが影響しているのではないかといわれています。
赤いバラと白いバラ
1910年に行われた最初の父の日の祝典では、YMCA(キリスト教青年会)の青年たちが父親を讃えるためにバラの花を身に着けて参加しました。このとき父親が故人である人は白いバラを、父親が元気でいる人は赤いバラを身に着けていたと伝えられています。
父の日はバラの花が定番だよ。ソノラが父の墓前に白いバラを供えたことに由来するんだ。
これらの逸話から、アメリカでは父親が元気な場合は赤いバラの花束、故人の場合は白いバラの花束を贈るのが定番とされています。
父の日といえば黄色い花?
日本の定番は黄色いバラ
日本にも父の日の習慣が持ち込まれ、毎年父の日を祝うようになりました。ところがアメリカと違い、日本で父の日といえば「黄色いバラ」を贈るのが定番とされています。アメリカでは赤、もしくは白いバラをプレゼントするという風習が、日本では黄色いバラに変わったのには日本ならではの理由がありました。
黄色は父の日のイメージカラー
日本で父の日が広く知られるようになったのは、1980年代以降のことです。この普及に貢献したのが、1981年に設立された「日本ファーザーズデイ委員会」という団体でした。この団体では家族の愛情や尊敬、幸福の象徴である黄色を父の日のイメージカラーとし、「父の日黄色いリボンキャンペーン」を開催しています。これがバラを贈る風習にも影響を与えました。
父の日のイメージカラーと、父の日の定番花が一緒になった結果が「黄色いバラ」なんだね。
1910年の6月19日に、父の日の最初の祝典が行われました。この時点で、母の日はすでに始まっています。