モリチャバネゴキブリとは?
基本情報
分類 | ゴキブリ目チャバネゴキブリ科 |
体長 | 1.1cm~1.2cm |
分布 | 本州~奄美大島 |
活動期 | 春~秋(幼虫は越冬可能) |
食性 | 雑食性 |
モリチャバネゴキブリは森や山野、草むらに生息する森林性ゴキブリです。日本では福島県より南の太平洋沿岸から九州、沖縄地方まで分布しています。建物へ積極的に侵入する都市型のゴキブリとは異なり、家に侵入しても巣を作ったり、卵を産んだりして人間を害することはほとんどありません。
モリチャバネゴキブリの特徴
特徴①外見
モリチャバネゴキブリは茶色の体に透明な羽をもち、胸部に2本の黒い縦筋が特徴です。大きさは約10mmと、クロゴキブリの半分ほどしかありません。モリチャバネゴキブリは飲食店や家屋でよく発見されるチャバネゴキブリの一種のため、非常によく似た外見をしています。
特徴②生息地
モリチャバネゴキブリは名前のとおり、森の中で暮らすゴキブリです。海岸に近い平地や松林などにもよく生息しており、主食となる落ち葉や枯れ枝が積もった、湿気の多い環境を好みます。害虫としてなじみ深い都市型ゴキブリのように、住宅や食品工場に侵入して巣を作ることはありません。
特徴③飛翔能力
モリチャバネゴキブリは低空を自由に飛べます。一般的なゴキブリは驚異的なスピードで走りますが、飛翔するのは苦手です。長い助走距離が必要なうえ、気温が高くないと飛べないためです。一方、モリチャバネゴキブリは高い飛行能力をもっており、さほど暖かい時期でなくても飛び回れます。
モリチャバネゴキブリの生態
活動期
夏場活動的になる都市型のゴキブリよりも、屋外に住むモリチャバネゴキブリはやや寒さに強いです。本格的に寒くなる時期のぞけば、春先や晩秋といった気温が低いときでも活動します。真冬は活動できませんが、幼虫の姿で越冬可能です。
食性
モリチャバネゴキブリはほかのゴキブリと同じ雑食性です。落ち葉の中で腐葉土や昆虫の死がいをエサにしています。木の樹液や菌類なども好物です。モリチャバネゴキブリの幼虫も成虫と同じ食性で、成虫のような羽はなく、脱皮を繰り返しながら成長します。成虫、幼虫ともに動植物の死がいを、土に返す役割をもっています。
モリチャバネゴキブリとチャバネゴキブリの見分け方
モリチャバネゴキブリとよく混同されるのが、チャバネゴキブリです。チャバネゴキブリは黒光りする体が特徴のクロゴキブリと並び、屋内に侵入して害をもたらします。人口の多い都市や一般住宅、飲食店などによく入りこんでくるうえ、驚くほどのスピードで大量発生するやっかいなゴキブリです。
チャバネゴキブリの外見と生態
チャバネゴキブリの成虫は、大きさが1.5cm程度です。背中に黒っぽい縦すじが2本あり、見た目の特徴はモリチャバネゴキブリとそっくりです。チャバネゴキブリは暖かい場所を好み、冷蔵庫のモーターやコンロの周辺といった場所に生息しています。クロゴキブリよりも小さく短命ですが、年間を通していつでも産卵をおこなえます。
見分け方①見た目
チャバネゴキブリは茶色の体に透明な羽をもっており、モリチャバネゴキブリと非常によく似た大きさと見た目をしています。違いは背中にある2本の黒い筋です。チャバネゴキブリの模様が平行で細いのに対して、モリチャバネゴキブリは太くカーブした模様になっています。模様の違いはパッと見た程度だと、見分けるのはまず不可能でしょう。
ボタニ子
サイズが小さいし、見た目で見分けるのは無理!
ボタ爺
幼虫なら成虫よりも見分けやすいかもしれんのう。モリチャバネは真っ黒な体で、チャバネは背中に白い斑点があるんじゃ!
見分け方②生息環境
モリチャバネゴキブリとチャバネゴキブリは生息環境が違います。モリチャバネゴキブリは落ち葉の多い木のそばで生息しているのに対し、チャバネゴキブリは屋外で生きられません。チャバネゴキブリは20℃以下の環境で産卵できないため、建物の中へ積極的に侵入します。家の中で茶色いゴキブリを発見した場合、チャバネゴキブリである可能性が高いです。
見分け方③飛行するか
モリチャバネゴキブリとチャバネゴキブリの大きな違いは、飛べるかどうかです。一般的な都市型ゴキブリと同様にチャバネゴキブリの飛翔能力は低く、うまく飛べません。対して、モリチャバネゴキブリは危険を感じると、飛びまわって逃げられます。チャバネゴキブリとモリチャバネゴキブリを見分けるときは、飛翔能力の有無で判断するとわかりやすいでしょう。
見分け方のポイント
- チャバネゴキブリは走るが、モリチャバネゴキブリは飛んで逃げる
モリチャバネゴキブリの防除方法
方法①薬剤を使う
モリチャバネゴキブリは自分から屋内に浸入しないため、家の中にいることはまずありません。家の中で発見される原因は、外出先から持ち込んだり、洗濯物についたりして入りこむ人為的なものです。家に侵入したモリチャバネゴキブリは、放っておいても特に害はありません。対処する場合は、外に逃がしてやるか、スプレー式のゴキブリ用殺虫剤が効果的です。
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内容量 | 450mL |
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有効成分 | イミプロトリン(ピレスロイド系) |
方法②落ち葉を定期的に取り除く
落葉樹の下や側溝に落ち葉が積もっていると、モリチャバネゴキブリが大量発生しまうこともあります。枯れ葉はこまめに取り除いて、産卵できる環境をつくらないように気をつけましょう。落ち葉が減れば、モリチャバネゴキブリの数は少しずつ減っていきます。屋外用害虫駆除剤を使う手もありますが、モリチャバネゴキブリは行動範囲が広いため、効果はあまり期待できません。
モリチャバネゴキブリには落ち着いて対処しよう!
モリチャバネゴキブリは森や草原で暮らしており、家屋に浸入する種類と、全く異なる生態をもつゴキブリです。特にチャバネゴキブリと大きさや見た目が似ていますが、危険な害虫ではありません。そのため、もし家の中で発見しても、慌てずに対処しましょう。
筆者描画