温州みかんとは?
みかんにはさまざまな品種がありますが、日本で一般的に食べられている「みかん」は「温州(うんしゅう)みかん」のことを指します。日本原産の果物で、主に関東以南で栽培されており、収穫時期は9~1月と品種によってさまざまです。収穫時期や栽培地域によって味わいが変わるので、食べ比べてみて、お好みの産地を見つけるのも温州みかんの楽しみの1つです。
基本情報
学名 | Citrus unshiu |
別名 | みかん、冬みかん |
科・属名 | ミカン科・ミカン属 |
原産地 | 鹿児島県 |
開花時期 | 5月 |
花色 | 白 |
収穫時期 | 9~12月(品種により異なる) |
名前の由来
温州みかんの「温州」という名前は、中国のみかんの産地にあやかってつけられたものです。しかし、温州みかんの原産地は中国ではありません。もともとは江戸時代初期に中国から渡来してきた早橘(そうきつ)などの柑橘類が偶発実生した品種で、原産地は日本の鹿児島あたりといわれています。その後しばらくは九州のみで育てられていましたが、明治時代から全国的に栽培が本格的になりました。
ボタ爺
いつも食べてるみかんは日本で生まれた品種だったのね!
温州みかんの特徴
特徴①食べやすい果実
温州みかんは、手で簡単にむいて食べられるほど皮が薄いことが大きな特徴です。また皮をむいたあとの薄皮も柔らかくて種もなく、皮をむいたらそのまま食べられます。オレンジや甘夏、はっさくなど一般的な柑橘類は皮が厚く、ナイフや包丁を使って実を取り出すので、食べるときに少し大変です。しかし、温州みかんは小さな子どもや年配の方も食べやすい果物です。
特徴②収穫時期でさまざまな味わい
温州みかんは旬が長いため、出回る時期によって味わいが変わります。秋ごろから出回り始める「早生(はやて)」と呼ばれる種類は皮が緑色で、さっぱりとした酸味とフレッシュな甘さが魅力です。11月くらいになると、やや黄色みのある皮色に変化し、味わいも甘さが増してきます。12~1月以降の「晩生(おくて)」と呼ばれる種類になると甘さはピークになり、酸味が和らぎます。
主な品種の収穫時期
極早生 | 岩崎早生、上野早生、紀宝早生など | 9~10月頃 |
早生 | 小原紅早生、三保早生など | 10~12月頃 |
中生 | 大津4号、久能温州、南柑4号など | 11~12月頃 |
晩生 | 青島温州、十万温州など | 1月以降 |
「早生」や「晩生」ってなんのこと?
ボタ爺
みかんは品種に関係なく、収穫時期によって「早生(わせ)」や「晩生(おくて)」と呼ばれるんじゃ!
特徴③豊富な栄養素
温州みかんには豊富な栄養素が含まれています。代表的なものは、ビタミンCです。美肌効果や風邪予防が期待できるため、冬は特に積極的に食べたい果物の1つです。また、薄皮には便秘予防の作用があるペクチンが含まれています。皮をむいた後の白い筋にはフラボノイドが含まれており、高血圧や動脈硬化の予防に効果があるとされます。栄養たっぷりで、さらに食べやすいのが温州みかんの魅力ですね。
温州みかんの選び方
栄養のたっぷりつまった温州みかんは、おいしく熟したものを選んで食べましょう。スーパーや八百屋で山積みにされていることが多い温州みかんですが、選び方を知っておくとよりおいしく食べられますよ。
選び方①果実の形
果実の形は、ほどよい扁平形が好ましいです。おいしく熟した温州みかんの果実は、果汁が詰まっていて重くみずみずしいです。みかんを手で持ったときにずっしりとした重さがあるものを選びましょう。
選び方②皮の色や手触り
温州みかんの皮に張りがあり、色合いが鮮やかできれいなものがおすすめです。また、触ったときに皮が薄めで、表面のつぶつぶがきめ細かいものを選びましょう。ヘタの切り口の色が薄く小さめなものも、果実がみずみずしい証拠です。
選び方③箱買いの場合は要注意
温州みかんを箱で買うときは、底のほうのみかんもチェックするといいでしょう。温州みかんは果実の柔らかさが魅力ですが、その分傷みやすく、カビも生えやすいです。通気性の悪い箱に入れられていた場合、底のほうのみかんがかびてしまっている可能性もあります。箱買いのときや、ざるで買うときは、なるべく底のみかんを見るように心がけましょう。
温州みかんのおすすめの食べ方
甘くみずみずしい温州みかんは、そのまま食べても勿論おいしいですが、ほかにもさまざまな食べ方があります。お気に入りの食べ方を見つけてみてくださいね。
おすすめの食べ方①ミックスジュース
温州みかんは、ほかの果物とあわせてミックスジュースにするととてもおいしく、食欲のない日の朝ごはんにぴったりです。レシピでは、バナナを使ったミックスジュースを紹介しますが、ほかにもイチゴやリンゴなどの果物との相性も抜群です。お気に入りの組みあわせを見つけてくださいね。
材料
- みかん:2個
- バナナ:1本
- 牛乳 :200mL
作り方
- みかんの皮をむき、ひと房ずつほぐす
- バナナの皮をむき、ひと口サイズに切り分ける
- 1と2、牛乳をミキサーに入れて攪拌する
- 3をグラスに注ぎ、氷を浮かべて完成
おすすめの食べ方②ジャム
みかんを箱ごと買ったときや、たくさんもらって食べきれないときは、ジャムにすれば長期の保存が可能です。温州みかんで作ったジャムは、市販のマーマレードよりも甘く苦みが少ないので、子どもにもおすすめですよ。
材料
- みかん :作りたい分量(1~2kgがおすすめ)
- 砂糖 :みかんの総量の40%
- レモン汁:カレースプーン2~3杯ほど
作り方
- みかんは皮をむき、ひと房ずつほぐす
- 1のみかんをミキサーにかけ、液体状にする
- 鍋に2と砂糖、レモン汁を入れて火にかける
- 中火で30分ほど煮込み、とろとろになってきたら完成
おすすめの食べ方③コンポート
冷やしたコンポートは、洋酒が効いていて大人のおやつにぴったりです。そのまま食べてもおいしいですが、タルトの具やケーキの飾りに使うのもおすすめですよ。
材料
- みかん :10~15個
- 砂糖orはちみつ :大さじ3
- 洋酒(ラム酒やキュラソー):適量
作り方
- みかんは皮をむき、鍋に入れる
- 水をみかんがひたひたになるくらいまで入れる
- 2を沸騰しないくらいの火加減で数分ゆでる
- いったん火を止め、みかんの白い筋をそっと取り除く
- 4に砂糖と洋酒を加え、再び火にかける
- 弱火で20~30分ほど煮込んで火を止め、粗熱を取る
- 冷蔵庫でじっくり冷やして完成
温州みかんと紀州みかん
紀州みかんとは?
「紀州みかん」は、その名のとおり、紀州(現和歌山県近辺)で育てられているみかんのことで、温州みかんとは別の品種です。実は、温州みかんの栽培がさかんになる明治以前では、この紀州みかんが「小みかん」と呼ばれ、一般的なみかんとして人気がありました。
温州みかんと紀州みかんとの違いは?
紀州みかんと、普通のみかんとの違いの1つは、果実の大きさです。紀州みかんのほうが果実は小ぶりで、温州みかんと比べると1/4ほどの大きさです。また、紀州みかんには小さな種があることも特徴です。その小ささを活かして、正月に鏡餅に載せるみかんとして使われることもあります。
まとめ
温州みかんは、一般的に食べられているみかんの品種です。やわらかい皮とジューシーな甘さが魅力の温州みかんは、収穫時期で味が変わることも特徴です。好みの季節で採れたものをぜひ味わってみてくださいね。違う品種の紀州みかんと食べ比べをしてみるのもおすすめですよ。
果樹が自然に交配して新しい品種が生まれることを「偶発実生(ぐうはつみしょう)」というんじゃよ。