ブラッドオレンジとは
ブラッドオレンジはオレンジの仲間です。イタリアのシシリー地方やスペインを原産とする果物で、甘口のオレンジの突然変異種と考えられています。近年はイタリアだけでなく、アメリカ合衆国でも栽培されるようになりました。日本でも柑橘系果物の主要生産地である愛媛県、和歌山県、大分県の一部の農家で栽培が始まっています。
名前の由来
ブラッドオレンジの名前の由来は濃赤色の果肉です。オレンジの種類には珍しい濃赤色を血(blood:ブラッド)の色にたとえました。この独特の色はアントシアニンという色素が含まれているためです。オレンジの仲間でアントシアニンを含む果物は珍しいため、とても目立ちます。
ブラッドオレンジの種類は何種類?
ブラッドオレンジのおもな種類は「サングイネッロ種」「タロッコ種」「モロ種」の3つです。サングイネッロ種はスペインを原産としています。モロ種はイタリアのシチリア島東部のカターニア平原を原産とする品種です。タロッコ種はサングイネッロ種の変異種と推測されている品種で、イタリアで特にポピュラーなブラッドオレンジと呼ばれている品種でもあります。
日本で栽培されているブラッドオレンジは、タロッコ種とモロ種の2種類です。
日本のスーパーや青果店で見かけるブラッドオレンジは、タロッコ種が多いといわれているんだよ。
ブラッドオレンジの特徴
特徴①果肉が赤い
ブラッドオレンジの特徴で真っ先にあげられるのは、名前の由来にもなっている赤い果肉です。一般的なオレンジの品種と比べると色合いが濃く、とても目立ちます。ブラッドオレンジの鮮やかな赤い色は加工するとよく映えるため、ジュースやジャムとしても人気が高いです。品種によって色合いが異なるという特徴もあります。
3種類のブラッドオレンジの比較
ブラッドオレンジの品種 | 果肉の色 |
モロ種 | 果肉の赤色が特に濃く黒味がかっている 皮の色も赤みがかっている |
タロッコ種 | モロ種に比べると色が薄い 果肉の色合いは赤紫色がさす程度 |
サングイネッロ種 | モロ種と同じくらい濃い色 皮の色も赤っぽくモロ種に似ている |
特徴②甘さが強くコクのある味
ブラッドオレンジの味は、甘さが強くコクがあるのが特徴です。柑橘類特有のさわやかな酸味もあるので、濃厚な甘さのわりには後味もよく、すっきりしておいしいですよ。生食はもちろん、ジュースやジャムなどに加工してもおいしく食べられる果物です。
ブラッドオレンジのなかで、特に強い甘さを感じると評されているのはタロッコ種です。酸味もあるので後味もすっきりしていますよ。
ブラッドオレンジのなかで、タロッコ種がイタリアでポピュラーなのも、濃厚な味わいが好まれているんだろうね。
特徴③食べ頃の季節は春
ブラッドオレンジの食べ頃の季節は春です。地域や品種によって違いはありますが、食べ頃となる時期、つまり旬の時期のピークは3月中旬~4月上旬とされています。日本でも栽培されているタロッコオレンジの場合は、2月下旬に収穫してしばらく貯蔵された後、3月中旬~4月初旬に出荷します。
ブラッドオレンジは地域や品種によって、食べ頃や旬の時期が異なります。これも大きな特徴ですね。
たとえばアメリカ産のモロ種の食べ頃は1月下旬~4月なんだけど、日本産モロ種の食べ頃は4月中旬~5月と少し時期が遅いんだ。
ブラッドオレンジの栄養成分
栄養成分①アントシアニン
アントシアニンはブラッドオレンジに含まれている色素成分です。強い抗酸化作用を持っているため、抗老化や血管の拡張、動脈硬化の予防効果などが期待されています。また、アントシアニンに期待されているもう1つの効果は、視覚機能の健康維持です。アントシアニンには視覚信号を脳に伝える重要な成分ロドプシンを助ける働きが確認されています。
ロドプシンは視神経細胞の色素成分です。分解と再生を繰り返す成分ですが、加齢や目の酷使で再生が遅れることがあるんですよ。
ロドプシンの再生の遅れは、眼精疲労や視力低下の原因になりやすいんだ。アントシアニンには、ロドプシンの再生を助ける働きがあるんだよ。
栄養成分②ビタミンC
ビタミンCは柑橘類に多く含まれている栄養成分です。ブラッドオレンジにもたっぷりと含まれています。ビタミンCは肌のしわやたるみを防ぐ働きを持つ成分コラーゲンの生成や、肌の保湿力に関わる成分ヒアルロン酸を作る細胞を増やすという、美容面で重要な働きを持つ栄養成分です。ビタミンCには抗酸化作用もあるため、抗老化や疲労回復効果も期待されています。
栄養成分③葉酸
葉酸はビタミンB群に属する栄養成分です。赤血球を作る働きがあることから「造血のビタミン」とも呼ばれています。このほかにも、葉酸には血液をサラサラにする効能があるため、鉄分やビタミン12などの血液の正常な活動に関係する栄養成分といっしょに摂取すれば、すばらしい健康効果が期待できるでしょう。
葉酸とは、水溶性のビタミンB群の一種で、ビタミンB12とともに赤血球の合成に働きます。この働きから、造血のビタミンとも呼ばれます。
ブラッドオレンジの食べ方
ブラッドオレンジの食べ方の基本は生食、またはジュースです。ブラッドオレンジ独特のコクのある甘さと強い香りは、加工して食べる場合もジュースのようにできるだけ生に近い状態が楽しめます。生食は通常のオレンジと同じように剥いて食べましょう。ジュースにする場合、栄養成分を壊さず摂取したいならスロージューサー、素材をまるごと摂取したいならミキサーの使用がおすすめです。
ブラッドオレンジのアレンジレシピ3選
レシピ①サラダ
サラダは生の果物の風味と香りをいかせる料理の定番です。ブラッドオレンジにもよくあいます。このレシピでは柑橘類と相性のよいクレソンと組み合わせ、シンプルに仕上げました。ドレッシングにもレモン汁を使い、柑橘類のさわやかな香りと酸味をたっぷり詰め込んだサラダにしています。
材料 (2人分)
ブラッドオレンジ1個
クレソン1束
塩少々
レモン汁小さじ1程度
グレープシードオイル大さじ1程度
作り方
- ブラッドオレンジは皮を剥いて食べやすい大きさに切り、ボウルに入れておく
- 食べやすい大きさに切ったクレソンを加え、塩を振ってから混ぜあわせる
- レモン汁とグレープシードオイルを振りかけ、さらに混ぜあわせる
- 皿に盛りつけてできあがり
レシピ②ゼリー
ブラッドオレンジジュースを使ったゼリーもおすすめです。ミカン感も利用した、よりフルーティーなレシピです。砂糖の量はジュースの甘さで加減しましょう。最後の生クリームはお好みで、入れなくてもかまいません。
材料 (プリンカップ10個分)
ブラッドオレンジジュース300cc
ゼラチン5g
お好みで砂糖大1
お好みでブランデーかリキュール大1
お好みで生クリームお好みで
ミカン缶適量
作り方
- ジュース、砂糖、リキュール類、ゼラチンを鍋に入れて火にかけ、ゼラチンを溶かす
- 器にミカンを入れ、1の液を注ぎ入れ、冷蔵庫に入れる
- 固まったら取り出し、好みで生クリームをのせてできあがり
レシピ③ジャム
ブラッドオレンジジャムは皮ごと使うため、味も香りも奥深いジャムができあがります。オリーブオイルを最後に加えるのは、ジャムにコクとまろやかさを追加するためです。グラニュー糖の量は好みで加減しましょう。
材料
ブラッドオレンジ(小さめ)4個(約360g)
グラニュー糖144g(オレンジの重さの40%)
100%オレンジジュース150cc
レモンの絞り汁大さじ1
オリーブオイル小さじ2
作り方
- ブラッドオレンジはヘタを除去し、粗塩をこすりつけてから流水で洗う
- 鍋に水とブラッドオレンジを入れて茹でた後、水に浸けておく
- ブラッドオレンジを粗く刻み、種や芯は取り除く
- 鍋にブラッドオレンジ、グラニュー糖、オレンジジュース、レモンの絞り汁を入れて中火にかける
- 沸騰したらアクを取り除き、蓋をして弱火で10分煮る
- 煮込んだ後、粗熱が取れたらブレンダー、もしくはミキサーにかける
- 再度火にかけ、とろみがついたらオリーブオイルを加えてできあがり
色鮮やかなブラッドオレンジの風味を楽しもう
濃赤色の果肉が印象的なブラッドオレンジは、コクのある甘さと強い香りが魅力的な果物です。鮮やかな果肉の色は、ジュースやゼリーにするとすばらしく映えます。機会があればブラッドオレンジの独特の風味をしっかりと味わいましょう。
出典:写真AC