ギャザリングとは
ギャザリングとは、根がついた状態の植物を花束のように組み合わせて植えこむ園芸技術のことです。植えこんだ時点ですでに華やかで完成されているため、贈り物にもおすすめです。花柄摘みや水やりなどの手入れをすることで、花束のようにすぐに枯れる心配がないことから「長く楽しめる花束」として人気があります。
ボタニ子
ギャザリングと寄せ植えの違いとは
ギャザリング | 寄せ植え | |
苗の数 | たくさん植えられる | 限られる |
根鉢 | ほぐす | 崩さない |
見ごろ | 植え付け直後から | 苗がある程度育ってから |
デザイン | さまざまな表現ができる | 表現が限られる |
ギャザリングと寄せ植えの違いは、植物の扱い方とデザイン性です。ギャザリングは根鉢をほぐして苗を細かく分けて植えるため繊細なデザインができ、植えてすぐに見ごろを迎えます。寄せ植えは1つの鉢に植えられる数が限られ、表現が限定されます。根鉢は崩さず植え込み、一つひとつの苗が育った状態が完成なので、整うまでに時間が必要です。
初心者向けギャザリングに必要なもの【道具】
①鉢などの入れ物
ギャザリングは花束とは異なり、手入れをしながら育てていく必要がありますが、植木鉢やプラスチック容器、カゴ、ガラス容器など、基本的にどんなものにでも植えられます。初心者の方には扱いやすい植木鉢、贈り物にするときには華やかな入れ物にするなど、用途にあわせた選び方をしましょう。
②鉢底ネットと鉢底石
一般的な植え付けと同じように、ギャザリングにも鉢底ネットと鉢底石が必要です。短くてもワンシーズンは楽しめるのがギャザリングの魅力なので、植物が心地よく育つ環境作りを心がけましょう。特別なものを用意する必要はなく、園芸店やホームセンターで売っている一般的なもので大丈夫です。
③作業用トレー
ギャザリングに必要なものとして忘れがちなのが「作業トレー」です。植物を植え付ける前に「根鉢をほぐして苗を分ける」作業が必要になります。ほぐした苗がバラバラにならないように置いておくために使うのが作業トレーの役割です。どんなものでもかまいませんが、浅くて広い大きめの受け皿のようなものが使いやすくておすすめです。
④手洗い水
ギャザリングを始める前に、手洗い水の用意をしましょう。ギャザリングでは根を支えながら花束を作っていく作業が不可欠です。根や土部分に触れる回数が多く、土で汚れた手で花束作りをすると葉や花に土が付着してしまいます。手が簡単に洗える小さめの洗面器や、汚れてもいいボウルなどに水を入れて用意してください。
⑤ハサミ
葉や茎を切るのにはもちろんですが、ギャザリングでは根を切るのにハサミをよく使います。根は雑菌が入り込みやすいので、ギャザリングを始める前に、アルコールや熱湯などで消毒を済ませておきましょう。一般的に使われている園芸用のハサミで十分です。
初心者向けギャザリングに必要なもの【材料】
①植物
ギャザリングには向いている花と向いていない花があります。根鉢を細かくほぐしたり切り分けたりするので、根の弱いタイプやデリケートな植物はギャザリングには使えません。植物選びは慎重にしましょう。寄せ植えとは異なり、たくさんの苗が必要です。7号~8号鉢に苗6つほどを目安にしてください。
②ベラボン
ベラボンとは、ヤシの実から作られたチップのことです。吸水性、保水性、排水性に優れており、植物の成長を促進します。軽くて清潔で長持ちするため、用土に混ぜたり土の代わりに使ったりと用途はさまざまです。ギャザリングに必要なものなので、ぜひ揃えておきましょう。
③用土
ギャザリングはベラボンだけでもできますが、ベラボンに慣れていない人や土を好む植物を植える場合には、「用土」の準備をしておきましょう。用土は一般的な園芸用の土でかまいません。ギャザリングは鉢植えだけでなくガーデニングにも使える技法です。ガーデニングの際はベラボンではなく、園芸用土を使用してください。
③水苔
ランク3A以上の水苔
ギャザリングに必要なもののなかでも、忘れてはいけないのが「水苔」です。水苔は、植物の保護や苗と苗のつなぎの役割を果たします。種類によって長さや硬さ、使い勝手が異なります。一般的な水苔は短く硬くギャザリングに向かないため、購入する際は3A以上のランクのものを選びましょう。
ギャザリング水苔
ギャザリング水苔とはひも状の水苔のことで、ギャザリング創始者の青木英郎先生が開発した資材です。ギャザリングに必要なものの1つで、細かく分けた苗を組み合わせて花束を作るときに使います。全体的にけば立っているため、縛らず巻くだけで苗を固定できます。腐ることがなく、長く何度も使える点も魅力です。
④肥料
ギャザリングをする際、肥料入りの草花用培養土を使用するときは必要ありませんが、それ以外の場合は植え付け時に元肥を施しましょう。元肥には「マグアンプ」などの緩効性肥料が適しています。マグアンプの効力は約1年間です。
ギャザリングに追肥は必要ですか?
ギャザリングで植え付けた花は、短くてワンシーズン、長いと数年間咲き続けるため、花の種類にもよりますが追肥は必要です。元肥としてマグアンプなどの効き目が1年続くものが施されている場合は、初年度は追肥の必要がありません。それ以外のときは、月に1回液体肥料を与えてください。
初心者向けギャザリングのやり方【準備】
やり方①鉢の準備
最初に、鉢や入れ物の準備をしましょう。鉢に鉢底ネットを敷いて、その上に鉢底石を入れます。鉢底石は土漏れを防ぐのが主な目的なので、なければ水苔で代用してもかまいません。根腐れ防止剤を使用したい人は、このタイミングで入れるようにしてください。
ボタニ子
水苔は水に浸して戻してから使ってね!
やり方②土と肥料を入れる
次に、鉢の半分くらいの高さまで用土を入れます。後ほど植物を植え付けていくため、土は押し固めたりせずにふんわり入れておきましょう。その上からベラボンを、土と同様に押し固めずにふんわりと、鉢の上から1cm下あたりまで入れてください。上からマグアンプなどの肥料をパラパラとまいて土の準備は終わりです。
やり方③苗の準備
1つの苗ポットに1苗のみ入っている場合
苗をポットから取り出し、苗の大きさが1回りほど小さくなるように、ぐるりと1周土ごと根を切り落とします。下のほうについている葉や中に埋もれている葉、枯れている花などを手で摘み取ってください。これで準備完了です。ほかの苗の準備ができるまで、作業トレーの上に並べて置きましょう。
1つの苗ポットに複数の苗が入っている場合
苗ポットから苗を取り出します。すぐに苗どうしを引きはがそうとすると、根や茎が折れて枯れてしまう原因になるため、まずは根鉢を手でもみほぐしてください。その際、余分な土は取り除いておくと後の作業がしやすいです。根鉢がほぐれたら、苗を1つずつ引きはがして分解していきます。終わったら、作業トレーに置きましょう。
ボタニ子
次は、初心者向けギャザリングの作る工程を紹介していくよ!
ギャザリングは根がついた植物をたくさん使うから「プランツアレンジメント」とも呼ばれているよ!