しろ菜とは
しろ菜はアブラナ科・アブラナ属の野菜です。漢字で書くと「白菜」ですが「白菜(ハクサイ)」とかぶってしまうため、一般には「しろ菜・しろな」または「シロ菜」と表記されます。白菜と漬け菜の一種である体菜(たーさい・たいさい)が交雑して生まれた品種とされ、古くから大阪周辺で栽培されていました。現在でも「なにわ野菜」の1つとして、大阪や京都や奈良で栽培されています。
しろ菜は明治時代に中国から関東へ輸入されたのが始まりといわれているけど、大阪では江戸時代から「大阪しろな」という野菜を栽培していたんだよ。
別名「大阪しろな」の由来
しろ菜の別名は「大阪しろな」「天満菜(てんまな)」です。しろ菜は江戸時代の頃から大阪で栽培されています。大阪で栽培される野菜ということで「大阪しろな」という名前で呼ばれるようになりました。「天満菜」は、明治時代初期はおもに天満橋周辺での栽培が盛んだったことが由来です。
しろ菜と白菜の違い
しろ菜と白菜の違いは外見です。白菜は幾重にも葉が巻いて結球する野菜ですが、しろ菜は結球せず、小松菜などに近い外見をしています。しろ菜は白菜と体菜、または山東菜と体菜を交雑させて生まれた野菜であるため、白菜とは「とても近い仲間」であるといえるでしょう。このため外見は違いますが、味や食感は白菜に似ているといわれています。
しろ菜の特徴
特徴①品種によって旬の時期が違う
しろ菜には複数の品種があり、収穫時期の違いによって「早生種」「中生種」「晩生種」の3種類に分けられています。それぞれの旬の時期は早生種が夏頃、中生種が秋頃、晩生種が冬頃です。品種による収穫時期の違いが季節ごとに旬の時期を迎え、通年おいしく食べられます。
しろ菜の早生種と中生種をいっしょにして「早生種」「晩生種」と2種類に分ける場合もあります。
しろ菜の収穫時期の違いがわかれば、どちらの分類法でもかまわないよ。わかりやすいほうを選んでね。
特徴②夏が旬とされているが冬のほうが甘い
しろ菜を栽培している大阪では、しろ菜の旬の時期は初夏~夏とされていました。ほかの葉野菜が少なくなる夏の時期に、早生種のしろ菜が出回るからです。このため長い間、しろ菜は夏が旬の葉野菜として扱われていました。しかし実際は、晩秋~冬に収穫される晩生種のほうが肉厚で甘味も増します。このため、近年は冬もしろ菜の旬の時期として扱われるようになりました。
特徴③傷みやすい軟弱野菜
しろ菜は「軟弱野菜」と呼ばれる、非常に繊細な野菜です。傷みやすく流通が困難なため、運送が短距離で済む「都市近郊型野菜」として栽培されていました。このため関西の市場ではポピュラーな野菜ですが、それ以外の市場では、あまり出回っていません。流通が難しい性質から、近年は扱いやすいほかの野菜に切り替える農家が増えています。
しろ菜は運送が難しいことから、流通量を増やして収益を上げるのが難しいです。実際に近年、しろ菜の栽培農家は減少傾向にあります。
特にしろ菜から小松菜へと作付け転換が進んでいるそうだよ。しろ菜は歴史ある野菜だけど、伝統を守って育てていくのは大変なんだ。
しろ菜の食べ方
しろ菜は加熱してから食べるのが一般的です。生で食べることはほとんどありません。おひたしやサラダにする場合も、下ゆでします。味は甘くアクやクセがほとんどないため、使える料理の幅は広いです。食感は火の通し加減で調節します。生で食べるような歯触りを残したいなら軽めに、くったりした状態にしたいならしっかり火を通すとよいでしょう。
しろ菜は味にクセがないため、いろいろな料理に使えますが、おひたしや和え物、煮物や汁物が一般的です。
しろ菜は、基本的には白菜や小松菜と使い方は同じだよ。煮物や汁物のほか、炒め物もよくあうんだ。次ページは「しろ菜のおいしいレシピ6選」だよ。
しろ菜の交配親については白菜と体菜のほかにも、山東菜(さんとうさい)と体菜とする説もあります。