【海外】果実・植物を投げる祭り4選
海外の果実や植物を投げる祭りは、日本のものに比べるとダイナミックなものが多いのが特徴です。世界中から観光客が訪れたり、テレビ番組の取材がきたりするなど、国際的に有名な祭りもあります。特に有名なのはイタリアのオレンジ祭りと、スペインのトマト祭りでしょう。もちろん海外には、この2つ以外にも有名でダイナミックな祭りがありますよ。
果実・植物を投げる海外の祭り①オレンジ祭り
イタリアのオレンジ祭りはイタリア北部の村イブレアで開催される祭りです。参加者たちは馬車に乗った領主チームと道を歩く市民チームにわかれ、オレンジをぶつけあいます。その激しさから「オレンジ投げ合戦」とも呼ばれる名物イベントです。イタリアでは、1月~2月にキリスト教を起源とする大きな祭り「カーニバル」が行われます。イブレアのオレンジ祭りはカーニバル期間中のイベントのひとつです。
この時期のイタリアはイブレアのオレンジ祭りのように、各地で独特の祭りを行っているんだよ。
オレンジ祭りの由来
イタリア北部イブレアのオレンジ祭りは、1930年代に始まったとされていますが、起源は12世紀にさかのぼります。当時のイブレアの領主は大変な暴君で、民衆は圧政に苦しめられていました。そしてついに民衆は反乱を起こし、自由を取り戻したと伝えられています。祭りが始まった当初はインゲン豆が使われていたのがリンゴに変わり、第二次世界大戦後、現在のオレンジに固定されました。
オレンジ祭りに使うオレンジは、イタリアのシチリア島から取り寄せています。その数量は数百トンにおよぶといいますから、すごいですね。
オレンジ祭りに使うのは農業用のオレンジなんだ。祭りが終わった後は全部回収して堆肥や家畜の飼料にするんだよ。
基本情報
開催地 | イタリア北部イブレア村 |
開催日時 | 毎年1月~2月の間(年によって異なる) |
果実・植物を投げる海外の祭り②トマト祭り
スペインのトマト祭りとは、スペインバレンシア州にあるブニョール街で開催される祭りです。8月の最終水曜日に行われる祭りで、現地では「La Tomatina(ラ・トマティーナ)」と呼ばれています。ブニョールは人口1万人未満の小さな街です。しかしトマト祭りの期間中は、世界中から訪れる参加者や観光客で大いににぎわいます。
トマト祭りのメインは参加者によるトマトの投げあいです。一方で街中に屋台や移動遊園地がやってくるため、とても華やかな祭りとなります。
一部の家屋やトマトをぶつけられたら困るものは、事前にビニールシートで覆って保護するんだ。市から補助金も出るんだよ。
トマト祭りの起源
スペインのトマト祭りは1940年代半ばに始まりました。起源については、野菜を売る屋台の前でケンカが始まりトマトを投げあった説、階級闘争説、町政に不満があった住人が町議会議員にトマトをぶつけた説など、諸説ありますが不明です。トマト祭りの期間中は大量のトマトを積んだ数台のトラックが走り、市の職員が参加者に向かってトマトを投げつけ、参加者がそれを投げ返します。
トマト祭りは「トマト戦争」と呼ばれるほど、激しくトマトをぶつけあう祭りです。その過激さから、1950年代には中止されたこともあります。
トマト祭りは収穫を祝う「収穫祭」でもあるんだ。だからアメリカやコロンビア、コスタリカなど、スペイン以外の国にもあるんだよ。
基本情報
開催地 | スペインバレンシア州ブニョール街 |
開催日時 | 毎年8月の最終水曜日(前夜祭あり) |
果実・植物を投げる海外の祭り③ブドウ祭り
スペインのブドウ祭りとは、スペインの東側に位置するマヨルカ島のビニサレム町で開催される祭りです。ワイン祭りとも呼ばれています。マヨルカ島は紀元前時代からワインの名産地として有名です。そのため毎年9月は収穫祭として、街の住人全員でディナーを楽しみます。そのほかブドウを投げあうブドウ合戦、ワイン付き人形劇など、ワインにちなんだイベントで盛り上がります。
最高のワインのための祭り
ブドウ合戦に使われるブドウの果実は、収穫前に間引かれたものです。地元のブドウ畑では最高のワインを作るため、収穫前に生育の悪い果実を間引く作業が行われます。このとき間引いた果実を投げあうのがブドウ合戦です。ブドウ合戦の起源も、間引いた果実を投げあったことから始まったといわれています。
基本情報
開催地 | スペインマヨルカ島ビニサレム |
開催日時 | 毎年9月の最終週末 |
果実・植物を投げる海外の祭り④花投げ祭り
花投げ祭りは、タイのバンコク郊外サムットプラカン県バンプリー郡ワット・バンプリー・ヤイナイ寺院前のサムローン運河で開催される祭りです。雨季が終わる前日に開催されます。寺院前の運河に仏像を乗せた船を通し、船に向かって蓮の花を投げ入れるという、一風変わった祭りです。投げ入れた蓮が船に乗れば、願いが叶うといわれています。
タイの花投げ祭りは、タイ語で「プラペニー・ラップブア」といいます。プラペニーは「伝統」、ラップは「受け取る」、ブアは「蓮」という意味です。
タイの花投げ祭りの開催日は、出安居(であんご:雨季の終わりという意味)の前日なんだ。でもこの日は年によって違うんだよ。
タイの花投げ祭りの起源
タイの花投げ祭りの起源は古い風習です。昔、この地域には「恋人が欲しい」と願った青年が蓮を投げ入れ、女性がその蓮を受け取れば恋が成就するという、おまじないのような風習がありました。この風習が時代とともに変化し、ワット・バンプリー・ヤイナイ寺院の本尊を乗せた船に蓮を投げ入れる祭りとなったのです。大きなご利益があるとされる祭りのため、平日でも多くの人々がつめかけます。
基本情報
開催地 | タイバンコク郊外 ワット・バンプリー・ヤイナイ寺院前 |
開催日時 | 暦上のオークパンサー前日 (年によって異なる) |
オークパンサーはタイ語で出安居、つまり雨季の終わりという意味だよ。
果実を投げる祭りの場所と産地は一致しない
果実、野菜、花を投げる祭りの開催地は、必ずしもそれらの名産地とは限りません。たとえば世界的にも有名なスペインのトマト祭りが開催される場所はバレンシア州のブニョールという村は、トマトの名産地というわけではありません。祭りに使うトマトも村外から買いつけています。
イタリアで開催されるオレンジ祭りに使うオレンジも、開催地のイブレアではなくシチリア島から運んでいます。
果実を投げる祭りの注意点
果実を投げる祭りというと、とてもユニークな印象がありますが、果実によっては注意が必要です。たとえばイタリアのオレンジ祭りの場合、オレンジは皮が厚くて硬いうえに全力で投げるので、体に当たるとかなりの痛みが襲います。このため祭りに参加しない人には、防護ネットで囲った安全ゾーンや、当ててはいけない印とする赤い帽子が用意されています。
ユニークな祭りを楽しもう
世界には果実や花を投げる祭りのほかにも、びっくりするようなユニークな祭りがたくさん存在しています。しかし意外な歴史があったり、先人の真摯な願いがこめられていたりと、奥深い背景が存在していることも少なくありません。ただ祭りを楽しむのもよいですが、興味がわいたら起源や歴史も調べてみましょう。楽しい祭りがさらに楽しくなりますよ。
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カーニバルはキリスト教の行事「復活祭(イースター)」を起源とする祭りです。春の到来を祝う意味もあるんですよ。