日本にいる毒虫の種類【かみつく毒虫】
かみつく毒虫①ヒアリ
2017年6月、日本で初めてヒアリが確認されました。本来ヒアリは南米中部に生息していますが、船や飛行機のコンテナや貨物に紛れ込んで世界に広がり、2000年代には中国や台湾でも発見されるようになりました。ヒアリは赤い体で、刺されたときにやけどをしたような強い痛みを伴うため「fire ant(火蟻)」という名前がつきました。
分類 | ハチ目スズメバチ上科アリ科 |
体長 | 25~60mm |
生息地 | 国際貨物が到着する港・空港、コンテナや貨物の中 港から陸送されて倉庫に運びこまれた荷物の中 海外製品の箱の中 |
活動活発期 | 35℃以下 |
毒の種類 | アルカロイド系の毒 |
症状 | ・刺されると熱く感じるような強い痛みが生じ、小さな赤みの中央に膿がたまったようになる ・体質などによっては強いアレルギー反応を起こすおそれがある |
かみつく毒虫②ムカデ
ムカデは多数の種類がいますが、多くが毒性をもっています。しかし、ムカデは自己防衛のためにかみつくだけで、近づかなければ襲ってくることはありません。被害にあうと1週間くらい症状が続くため、ムカデを見つけたら攻撃を受けないように距離をおきましょう。
分類 | 節足動物門多足亜門ムカデ綱 |
体長 | 1~10cm |
生息地 | 自然豊かな公園、森林、山 |
毒性 | ヒスタミン、セロトニンなどのアミノ系 ペプチド系 |
症状 | 激痛で腫れあがる |
かみつく毒虫③カバキコマチグモ
カバキコマチグモは、世界最強の毒を持つともいわれる毒グモです。ほかのクモと違ってクモの巣を作らず、夜間の草むらで昆虫を捕食するのが特徴です。イネ科の植物の葉を丸めた中に作る巣は、脱皮や交尾などの用途ごとに作りかえています。産卵期や育児期のメスは攻撃性が高まっており、巣を壊そうとするとかまれることがあります。何種類もの毒を持っているため、巣を見つけても触らないように気をつけましょう。
ボタニ子
分類 | クモ目フクログモ科コマチグモ属 |
体長 | 10~15mm |
生息地 | 日本全国のススキなど大型イネ科植物 |
活動活発期 | 6~8月 |
毒性 | 神経毒、カテコールアミン、セロトニン、ヒスタミン他 |
症状 | ・患部の激痛と出血 ・発熱や頭痛 ・稀にショック症状が起こる |
ボタニ子
カバキコマチグモは、卵からかえって1回脱皮をした幼体たちが、みんなで母親を食べてしまうんだって!ギョエ~!
かみつく毒虫④セアカコケグモ
セアカコケグモは外来種の有毒グモです。日本では、1995年11月に大阪府で初めて発見されました。体は丸くて黒く、胸腹部の背中側には2つのひし形の赤い模様、腹面には砂時計のような形の赤い模様があるのが特徴です。有毒を持っていますが基本的にはおとなしい性格のため、素手で触らなければかまれることはありません。セアカコケグモは特定外来生物に指定されているため、発見した場合は自治体に連絡しましょう。
分類 | クモ目ヒメグモ科ゴケグモ属 |
体長 | 4~10mm |
生息地 | 日本全国のベンチの下や側溝の蓋の裏側などの、地面に近くて日光が当たらない場所 |
活動活発期 | 7~8月 |
毒性 | α-ラトロトキシン |
症状 | ・強い痛みがあり腫れあがる ・発熱や発汗などの全身症状がでることもあるが、重症化することは少ない |
日本にいる毒虫の種類【触ってはいけない毒虫】
触ってはいけない毒虫①アオバアリガタハネカクシ
アオバアリガタハネカクシは、体液に有毒物質ペデリンを含んでいる毒虫です。灯火に飛来してくるため人の手に触れてしまいがちですが、素手で触ると火ぶくれのように腫れあがるため、触らないように気をつけましょう。死骸にも体液が残っていることがあり、素手で触るのは危険です。
ボタニ子
体液が付着するとやけどの跡のような火ぶくれができるので、「やけど虫」という名前も付けられています。
分類 | コウチュウ目ハネカクシ科 |
体長 | 7mm |
生息地 | 日本全土、灯火に飛ぶ |
活動活発期 | 夏期 |
毒性 | ペデリン |
症状 | ミミズ腫れ(綿状皮膚炎) |
触ってはいけない毒虫②マメハンミョウ
マメハンミョウは、触ったり潰したりすると毒がでる有毒昆虫です。毒に触ると皮膚がかぶれ、水ぶくれの症状が数日間続きます。イナゴやバッタの卵塊の側に卵を産み、ふ化した幼虫は卵塊を食べて成長します。成虫はダイズの葉やナス、トマトなどを食害するため、防除するときはゴム手袋をはめて捕殺しましょう。
ボタニ子
マメハンミョウの毒は、昔は毒薬にも使われていたんだって!
分類 | コウチュウ目ツチハンミョウ科 |
体長 | 14~19mm |
生息地 | 本州、四国、九州 |
活動活発期 | 8~9月 |
毒の種類 | カンタリジン |
症状 | 水疱性皮膚炎のような水ぶくれ |
触ってはいけない毒虫③ヒメツチハンミョウ
ヒメツチハンミョウは、退化して飛ぶことのできない羽を持ち、大きな腹を引きずるように歩くのが特徴の有毒昆虫です。捕まえると黄色い液体を出しますが、触れると水泡ができたり水ぶくれになったりするため、素手で触らないようにしましょう。
分類 | コウチュウ目ツチハンミョウ科 |
体長 | 10~23mm |
生息地 | 本州~九州 |
活動活発期 | 4~6月、10月 |
毒の種類 | カンタリジン |
症状 | 水疱や水ぶくれ |
触ってはいけない毒虫④アオカミキリモドキ
アオカミキリモドキは、黄橙色の体で複眼は黒藍色をしており、金属のような光沢を帯びている有害昆虫です。幼虫や蛹も有毒ですが、夜間の灯火に向かって飛ぶ成虫の被害が多いため、触らないように注意しましょう。
分類 | コウチュウ目 カミキリモドキ科 |
体長 | 10~15mm |
生息地 | 北海道、本州、四国、九州 |
活動活発期 | 5~7月 |
毒の種類 | カンタリジン |
症状 | 2~6時間の痛みと水ぶくれ |
有害な毒虫から身を守ろう
毒虫は身近な生活圏にたくさん生息しています。刺されたりかまれたりすると、痛いだけでなく発熱するなど、極めて危険な存在です。地を這うだけでなく、飛ぶ毒虫もいることから、虫が多く生息していそうな場所では注意が必要です。アウトドアや家庭菜園、近くの公園で遊ぶときなども、なるべく皮膚を保護する服装で毒に触れたり刺されたりする危険から身を守りましょう。
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コマチグモ属の中でも体色が黄色いことから、「カバキ(樺黄)コマチグモ」という名前がついたそうです。